第49回日本股関節学会学術集会

会長挨拶

会長 髙木 理彰

第49回日本股関節学会学術集会
会長 髙木 理彰
山形大学医学部 整形外科学講座 主任教授

このたび、第49回日本股関節学会学術集会を2022年10月28日(金曜日)、29日(土曜日)、山形で開催させて頂くことになりました。伝統ある学術集会を主催させて頂きますことを大変光栄に存じます。今回の学術集会では、「嚆矢濫觴(こうしらんしょう)」というテーマを掲げさせて頂きました。“嚆矢”は昔、戦を始めるときに敵陣に射たかぶら矢をさします。転じて、物事の始まりを意味します。“濫”はひたす、またはあふれる、“觴”は盃を意味します。大河も水源にまで溯れば、盃をやっと浮かべられるほどのわずかな水量になるとの意から、こちらも物事の始まりをあらわします。嚆矢には進取の気概に溢れ時代を切り開こうとする確かな躍動を、濫觴からは温故知新につながる粛然とした先人の英知を感じとることができるように思います。股関節学のはじまりや基本を再認識し、歴史的な治療法から最先端の手術療法、保存療法、さらに治療を支える基礎医学、社会医学にも視野を広げながら、本学術集会が、様々な討論を通してさらなる高みを目指すマイルストーンになればと願っています。

学術集会は、コロナ禍の影響も考慮してハイブリッド型と致しました。オンサイト、オンデマンドいずれでもご参加頂けます。おかげをもちまして盛りだくさんの内容となりました。杉山肇理事長からは日本股関節学会の現状と将来についてメッセージを頂く予定です。特別講演では、京都地域医療学際研究所 久保俊一所長に「股関節外科の未来」についてご講演頂きます。招待講演は海外6名の先生にお願いしました。スタンフォード大学 Stuart B. Goodman教授に「Applying principles of tissue engineering to the treatment of early stage osteonecrosis of the femoral head : Preclinical translational studies」、EFFORT会長、マドリード自治大学 Enrique Gómez-Barrena教授に「Lessons learned from femoral head osteonecrosis treated with expanded MSCs」、アデレード大学 Bogdan Solomon教授に「The importance of press-fit and three-point fixation in treating large acetabular defects with porous tantalum components」、2022年ARCO学会長 慶北国立大学病院 Shin -Yoon Kim教授に「Lessons learned from femoral head osteonecrosis treated with expanded MSCs」、韓国股関節学会会長 Je-Hyun Yoo教授に「Effect of blocking screw on nail/medullary canal mismatch after cephalomedullary nailing in unstable pertrochanteric fracture」、亜洲大学校 Ye-Yeon Won教授に「Osteoporosis and image based microbiomechanics of the proximal femur using micro-CT」と題してご講演頂きます。特別セミナーでは、嚆矢セミナーとして関西福祉科学大学 長谷川幸治教授に「偏心性寛骨臼回転骨切り術の開発経緯と手術手技の伝承」、濫觴セミナーとして済生会山形済生病院 石井政次病院長に「人工股関節再置換術~巨大骨欠損への挑戦~」についてご講演をお願いしています。さらに教育講演16題、シンポジウム10テーマ、パネルディスカッション7テーマ、20のランチョン・イブニングセミナーも企画しました。一般演題524題、ポスター演題246題、Late-Braking ポスター10題をあわせますと実に935の演題数となりました。ご担当頂く講師の先生、ご応募頂いた皆様に厚く御礼申し上げます。また市民公開型の文化講演会企画も用意致しました。NPO法人 森は海の恋人 畠山重篤理事長に「森は海の恋人 人の心に木を植える」と題し、作家と漁師、二つの視座から培い育んだ森と海をつなぎひとを育む活動のご経験、ひとの心の大切さについてお話しして頂く予定です。国立遺伝学研究所 斎藤成也特任教授には「ゲノムから探る日本列島人の起源と成立」と題して日本人のルーツに関する長年の膨大な研究成果をお話し頂けることになっています。お二人のお話は、学術集会のテーマである「嚆矢」、「濫觴」を、それぞれ意識してお願い致しました。このように実に盛りだくさんの充実した内容のプログラムとなりました。お力添え頂いた関係各方面の皆様にあらためて御礼申し上げます。学術集会と合わせて、前日には第8回日本股関節学会教育研修セミナーベーシックコースが開催されます。今年はあらたにアドバンスコースの企画も加わりました。第2日目の夕方には、股オステオトミーを語る会も行われます。

遷延するコロナ禍。頻発する自然災害。戦争や紛争。世界中を見回すと今年も残念なことが次々と起こっています。将来、もしこの時代を振り返る機会があるのなら、激動の渦中にあったと再認識できるように思います。そのような状況にはありますが、つかの間のひととき、是非、学術集会にご参加いただき、山形を楽しんで頂ければと願っています。10月末の山形は晩秋の静寂感につつまれたさわやかで大変良い季節です。山寺として親しまれ、蝉論争でも有名な宝珠山立石寺、修験道で知られる月山、湯殿山、羽黒山からなる出羽三山や、蔵王、飯豊、朝日連峰や鳥海山などの秀峰、さらに天童、上山、蔵王に代表される名湯や秘湯、最上川舟下り、庄内浜など名所旧跡も数多くございます。この機会にあわせて、是非、出羽国、山形を楽しんで頂ければ幸いです。大勢の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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