第33回日本医療薬学会年会

年会長挨拶

第33回日本医療薬学会年会 年会長 三浦 昌朋
秋田大学大学院医学系研究科
 薬物動態学講座

 この度、第33回日本医療薬学会年会を令和5年11月3日(金)から5日(日)の3日間、宮城県仙台市・仙台国際センターをメイン会場にて開催する運びとなりました。
 第33回年会は2011年に起きた東日本大震災から12年を迎える年です。この12年を振り返りますと、多くの先生方のご尽力で薬剤師の臨床業務は大きく変わりました。2012年の病棟薬剤業務実施加算の新設から今日までに病棟・ICU・手術室等に薬剤師が配置され、多職種との連携強化や、タスクシフト/シェアが求められるようになりました。また病院薬剤師と保険薬局薬剤師間の連携も一層強化されるようになり、様々なツールを用いた患者情報の共有化が図られるようになりました。一方で標的分子に対する医薬品の研究開発も盛んに行われ、抗がん剤を中心に12年前と比べて臨床現場で使用できる医薬品の種類や数は著しく増えています。また薬剤師が扱える医療技術の1つである新規TDM対象薬も追加され、遺伝子情報を活用した治療計画立案可能な薬剤も増えています。これら業務変化や医療技術の導入は数多くの根拠あるデータに基づき取り入れられてきました。
 この先の12年、社会の変化や時代のニーズに我々薬剤師も柔軟に対応していく必要がありますが、その都度データを収集し、分析基盤を構築、そしてエビデンスを創出していくことが求められます。加えてより良質な医療を提供するために新規医療技術や新規薬物治療法の開発も求められ、継続的に臨床研究を実施していくことが求められます。しかし一方で、他職種からの要望に柔軟に対応する結果、臨床薬剤師の業務量は増え続けています。薬剤師の業務量を軽減させ、業務時間を短縮させる取り組みも必要であり、現場ニーズに対応した新規医療機器等の開発や導入も求められます。この先12年の未来を創るために、今我々がしなければならないことを共に考え、共有しあえる場となることを願い、本年会のメインテーマを「医療薬学のこの先12年へのメッセージ」と致しました。
 本年会では、現地開催を主として、一部web参加を併用させたハイブリッド形式で開催する予定です。
 本年会にご参加頂くすべての皆様方にとって、実りある場となり、意見交換の場となりますことを心より願っております。皆様のご参加を心よりお待ち致しております。

Copyright © The 33rd Annual Meeting of the Japanese Society of Pharmaceutical Health Care and Sciences All Rights Reserved.