会長挨拶
第54回日本心臓血管外科学会学術総会 会長 椎谷 紀彦 (浜松医科大学 外科学第一講座) |
この度、第54回日本心臓血管外科学会学術総会を開催させていただくこととなりました。本会が浜松市で開催されるのは、先代教授の故 数井暉久先生が2005年に第35回を開催して以来、2度目となります。このような機会を頂きましたこと、私個人と致しましても、教室と致しましても、大変光栄に感じております。ご指名・ご承認いただきました会員の皆様に心より感謝申し上げます。
今回の学術総会のテーマは、Contribution through Education and Innovationとさせて頂きました。Professionalとしての私たちに課された社会貢献Contributionは、より質の高い医療を、より多くの人に、継続性をもってお届けすることだと考えます。このためには、次世代の育成は勿論のこと、生涯教育や、外科医個人の経験・工夫の共有が大切だと思います。EducationとInnovationには、このような意味を込めました。Innovationという言葉には、paradigm shiftを生じるような革新のみならず、より良い結果を目指して日々積み重ねている小さな工夫も含んでいます。
ここ数年で心臓血管外科医療を取り巻く環境は大きく変革しています。低侵襲化の流れや新専門医制度・働き方改革に対応しながら、次世代を担う人材を育成し、医療の質を担保すること、循環器病対策基本法に呼応して良質かつ均質な地域医療を実現し、地域の健康寿命延伸に寄与することは、わが国の心臓血管外科医療にとって待ったなしの課題です。さらには、これらの活動を通して、世界の心臓血管外科学の進歩にも貢献していかなければなりません。これは、日本心臓血管外科学会のミッションでもあり、学術総会は、これを実現するための非常に重要な機会であると考えています。
第54回学術総会では、このような課題を踏まえ、日本心臓血管外科学会が果たすべき役割と進むべき方向性について、皆様と一緒に考えたいと思います。また、学会のさらなる国際化を目指し、EACTSとのjoint workshopを企画しております。一方で私は、学術総会の本分は外科医個人の経験・工夫の共有、すなわちabstract sessionであると考えております。今回は、各領域総勢28名の先生方にプログラム委員をお願いし、教室員、事務局が一丸となって鋭意準備を進めております。学会のテーマであり使命でもある「教育と革新を通じた貢献」に向けて実り多き議論ができるよう、多くの素晴らしい演題のご応募を何卒よろしくお願い申し上げます。
会期は、2024年2月22日(木)、23日(金、祝日)、24日(土)の3日間とし、アクトシティ浜松において開催させていただきます。またEACTSとのjoint workshopは、25日(日)に予定しております。3連休をつぶしてしまうことには、反対のご意見も多いと承知しておりますが、診療への影響が最小限となり、若手が参加しやすくなるという利点もございます。その利点を生かし、前日21日(水)のpost graduate courseに加え、25日(日)には、若手のoff the job trainingの場として複数のhands on sessionも企画しております。COVID-19 パンデミックを経て、学術集会のあり方も大きく変貌していますが、in personの学会の良さもまた再認識されています。With corona、post corona時代の新しい方策の良いところを生かしつつ、時代に即した形態で、心臓血管外科医療に携わる全ての皆様、そして何より、心臓病・血管病を患う患者様に貢献するため、実り多い会にしたいと意気込んでおります。地方都市での開催ということで、ご不便をおかけすることもあろうかと存じますが、多くの皆様のご参加を何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆となりますが、世界を取り巻く環境が一刻も早く平穏を取り戻しますことと、皆様のますますのご健勝とご発展をお祈り申し上げます。