ご挨拶

大段 秀樹 この度、第48回日本臓器保存生物医学会学術集会を2022年11月4日、5日に広島県医師会館において開催させていただくことになり、光栄に存じております。会の開催に際し、ご指導とご支援を賜ります会員の皆様に熱く御礼申し上げます。本学会は1993年5月に土肥 雪彦先生が第20回臓器保存研究会、2004年5月に浅原 利正先生が第31回日本臓器保存生物医学会を主催され、当教室としては3回目の開催となります。本学会の歴史を感じるとともに、臓器・組織・細胞の保存と機能再生、機能不全の治療と予防に多大なご貢献をされた皆様に深く敬意の念を表します。

20世紀の奇跡の医療と言われた臓器移植は、我が国においては脳死下臓器提供の普及に課題を残しているものの、優れた免疫抑制薬の開発や医療技術・体制の向上を経て、今や成熟期を迎えています。21世紀となった今、臓器不全に対する移植医療のブレイクスルーとして期待が掛かる課題としては、高齢者への適応拡大や免疫寛容の誘導、革新的な臓器保存方法の開発、再生医療の新展開などが挙げられます。超高齢社会における少子・高齢化の人口構造は、臓器移植のドナー・レシピエント間の年齢制限に少なからず影響を与えています。今後は、年齢に関わる移植医療の限界を掌握する共に、なぜ老化とともに臓器が衰え、合併症が発症するのか、即ち「老化」の実体を解明することが課題となるでしょう。また、保存時間の飛躍的な延長やマージナルドナーからの臓器の回復が見込める革新的な臓器保存方法が開発されれば、ドナーソースが飛躍的に拡大できると期待されます。臓器再生が現実のものになれば、救命される患者が格段に増加するでしょう。

そのような背景から、Go To the 100 year life —Cell and Organ Biologyが拓く人生100年時代— を今回の学会テーマとして掲げました。

今後の医療を革新する課題について、議論を深めていただきたいと期待しております。予想もしなかった新興感染パンデミックを被りましたが、今後は治療薬の開発も進み、人類史上未曾有の危機も終焉に向かうよう願っております。条件が許せば、是非、広島にお越しいただき、Cell/Organ Biologyの発展を願う同士と一緒に、情報交換や親交を温める有意義な時間を過ごしていただけるよう準備をしてお待ちしております。沢山の皆様のご参加をお願い申し上げます。

第48回 日本臓器保存生物医学会学術集会
会長 大段 秀樹
(広島大学大学院 消化器・移植外科学 教授)