第21回 日本クリニカルパス学会学術集会

プログラム

1.理事長講演

座長: 副島 秀久 (済生会熊本医療情報調査分析研究所)
演者: 山中 英治 (若草第一病院)

2.会長講演

座長: 伊藤 淳二 (青森県立中央病院 整形外科)
演者: 石井 政次 (済生会山形済生病院)

3.招待講演

招待講演1

芸術はこころの病院

座長: 石井 政次 (済生会山形済生病院)
演者: 中山ダイスケ (東北芸術工科大学)

招待講演2

鶴岡サイエンスパークが創る、未来の健康社会

座長: 三原 美雪 (庄内南部地域連携パス協議会)
演者: 冨田  勝 (慶應義塾大学先端生命科学研究所)

4.特別講演

特別講演1

限界集落に建つ「老朽、弱小、貧乏水族館の逆転劇」

座長: 三原 一郎 (山形県鶴岡地区医師会)
演者: 村上 龍男 (鶴岡市加茂水族館)

特別講演2

「食は生命なり」とドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」(農林水産大臣賞受賞)

座長: 阪西 通夫 (済生会山形済生病院)
演者: 岡田まさえ (協同組合山形給食センター)

5.特別教育講演

教育とハラスメントの分岐点

座長: 今田 光一 (若草第一病院 スポーツ整形外科/医療情報部)
演者: 松崎 一葉 (筑波大学)

6.特別企画

特別企画1
『ePathプロジェクトの報告と展望:看護師にもわかる情報の解釈とパスの改定
 ~ePathプロジェクト実証施設での事例から~』

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 2018年10月に開始したAMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」通称、ePathプロジェクトでは標準クリニカルパスシステムの開発、標準データリポジトリおよび解析基盤の構築を進めてきた。標準クリニカルパスシステムは大手4ベンダーに実装でき、標準パッケージ化の検討も進められている。また、標準データリポジトリを済生会熊本病院、九州大学病院、四国がんセンター、NTT東日本関東病院に構築し、パスデータ(アウトカム、観察項目、バリアンス、結果値、バリアンス記録など)やDPCデータ(様式1、EF統合ファイル、Dファイル、Hファイル)、SS-MIX2データ(検査結果、処方、注射)を格納できた。それらのデータを可視化/解析の目的に合わせ、結合し、解析基盤に蓄積している。解析基盤に蓄積したデータを可視化/解析することで、クリニカルパスの改善を加速できた。本セッションでは、ePathプロジェクトの概要と現状について報告し、実証施設でのクリニカルパスの改善事例について、データをどのように可視化/解析したのか、その結果をどのように解釈し、クリニカルパスを改定したのか、「ひな型パスの作成」「運用面での共有やデータの取り方」「パス改善」をキーワードに実際に関わった看護師の方々の生の声をお聞きいただきたい。さらに、重症度、医療・看護必要度のB項目についての可視化/解析やそのための記録についても紹介する。ディスカッションでは、ePathプロジェクトの内容に則して「自施設に生かす方法は何か?」を最初のテーマとして議論する。さらに、看護師の方々が悩んであろうと思われる「可視化/解析に何を求めるか?」「可視化/解析するための記録とは何か?」などを聴衆の皆様と共有したい。最後に、医療情報の将来像について、日本医療情報学会代表理事の中島直樹先生に話して頂き、議論を深めたいと思います。
座長: 羽藤 慎二 (独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
北村佳代子 (九州大学病院)
コメンテータ: 副島 秀久 (済生会熊本医療情報調査分析研究所)
若田 好史 (徳島大学病院)
演者: 村木 泰子 (NTT東日本関東病院兼DX推進部門)
片山 洋子 (独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
荒木千恵子 (九州大学病院)
高山 洋平 (済生会熊本病院)
村岡 修子 (NTT東日本関東病院)
中島 直樹 (九州大学病院)

特別企画2
『新型コロナウィルス感染症(COVID-19)治療計画~当院ではこうしている~』

セクション主旨を表示
 全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症。急激な感染拡大による患者数、重症者数、死亡者数の増加が連日のように報道されている。ワクチン接種が進められているが、令和3年8月現在、国民にワクチンがまだ十分に行きわたっていない。治療法も確立されておらず、軽症・中等症・重症の段階により、薬物療法、酸素療法、人工呼吸療法、さらには体外式膜型人工肺(ECMO)などが考慮される。薬物としてレムデシビル、ファビピラビル、デキサメタゾン、トシリズマブ、バリシチニブなどが使用されているが、特効薬というものはなく病院によって治療は様々である。軽症、中等症患者では、呼吸器専門医がいなくても診療を余儀なくされることも少なくない。治療法が確立されていない疾患でも標準化できる医療・ケアのプロセスはないか?COVID-19のパスはどのように作成すれば良いのか?パスを運用する際の工夫は?
 この特別企画では、COVID-19のパスを導入している各病院の治療やケアの取り組みを重症度別にご発表いただき、多職種で討論し合う。本企画を通じて専門外の医療従事者でも利用できる治療・ケア指針の提案、さらには治療アウトカムの向上に繋げることができれば幸いである。
座長: 岡本 泰岳 (トヨタ記念病院)
杉野 安輝 (トヨタ記念病院)
コメンテータ: 副島 秀久 (済生会熊本医療情報調査分析研究所)
演者: 奥村 隼也 (トヨタ記念病院)
加藤真由美 (社会医療法人若弘会若草第一病院)
須永 直人 (国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院)
管田  塁 (済生会熊本病院)
中村  造 (東京医科大学病院)

7.シンポジウム

シンポジウム1
『肺炎パンデミック~増加する肺炎診療にクリニカルパスを活用しよう~』

セクション主旨を表示
 肺炎は誰でも罹患しうる疾患であり、高齢者の肺炎は確実に増えています。肺炎は2019年死因構成割合の9.8%を占め死因第3位です。肺炎の原因は多種多様であり、病状は個人差が大きいため、病態に合わせた細やかな治療が必要とされます。誤嚥性肺炎は治療に難渋することが多く再発も問題であるため、多職種の介入が必須であり地域連携も重要です。肺炎診療にクリニカルパスを活用できればより良い治療ができるはずです。世界中で猛威を振る新型コロナウイルス肺炎パンデミックにも対応できる可能性を秘めています。
 本シンポジウムでは、「肺炎診療にクリニカルパスを活用している事例」を公募します。市中肺炎、院内肺炎、介護・療養肺炎、誤嚥性肺炎、肺炎地域連携、新型コロナ肺炎等、どんな肺炎でも結構です。実践で役立つ知識を共有し、肺炎診療の質を改善させる方策を議論します。多くの職種の方からの応募をお待ちしております。肺炎クリニカルパスをうまく使用できずに悩んでいる方もぜひご参加ください。
座長: 鈴木 俊郎 (岩手県立胆沢病院 呼吸器内科)
高橋 奈美 (岩手県立中部病院)
演者: 鈴木 俊郎 (岩手県立胆沢病院)
杉野 安輝 (トヨタ記念病院)
廣幡 千春 (富山赤十字病院)
山下  裕 (春日井市民病院)
河野 雅人 (聖隷浜松病院)

シンポジウム2
『多職種チーム、地域連携で取り組む心不全診療とクリニカルパス』

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 超高齢社会の到来とともに、近年、心不全患者は増加傾向にある。心不全は、再入院率が高く、また入退院を繰り返しながら身体機能が低下していくのが特徴であり、予後不良な疾患である。
 急性・慢性心不全診療ガイドライン(日本循環器学会/日本心不全学会)によると、薬物治療や基礎心疾患への手術治療などの適切な治療介入だけでなく、運動療法や栄養療法、生活習慣の改善を促す患者教育などの多職種チームによる介入(=心臓リハビリテーション)が推奨されている。入院中の急性期から退院後の回復期・維持期にかけて、多職種で連携しながら地域の医療資源を効率的・効果的に活用し、継続的に患者を支援していくことが課題となっている。
 本シンポジウムでは、多職種チームや地域連携、そのクリニカルパス活用の観点から、シームレスな心不全の疾病管理のあり方について議論したい。
座長: 菅原 重生 (日本海総合病院 循環器内科)
瀬戸 初江 (東北医科薬科大学病院)
演者: 飯塚 敦士 (山形県立新庄病院)
丹下 正一 (前橋赤十字病院)
沓澤 大輔 (山形大学医学部附属病院)
黒部 昌也 (長崎大学病院)
住友 和弘 (東北医科薬科大学)

シンポジウム3
『癌の地域連携パス~なぜ軌道にのらないのか~』

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 がん拠点病院が指定され、がん連携クリニカルパスの整備・運用が求められてから10年以上が経過した。各都道府県のがん連携協議会が中心となり、連携パスを整備しつつあるが、その運営体系や普及には地域差があるのが現状のようである。連携システムがうまく活用されれば、がん医療全体の質の向上が得られ、患者への恩恵がもたらされるが、そのためには患者と医療者側の双方で地域連携の有用性が実感されなければならない。医療者側としては患者への啓蒙とPDCAサイクルによるパスの洗練が必須である。当セッションでは連携が軌道にのっている地域の運営・活動状況・工夫点を拠点病院、行政(組織作り)の面から提示していただき、また連携医療機関側からみた問題点(手間や保険点数など)、できれば患者側の満足度も表出させ、今後連携パスをさらに推進するためには何が求められるのかを浮き彫りにし、全国的ながん地域連携の向上につなげたい。
座長: 若月 俊郎 (松江市立病院 消化器外科)
川口  清 (済生会山形済生病院)
演者: 坂口 清美 (済生会熊本病院)
北村 嘉隆 (兵庫県立がんセンター)
舩田 千秋 (東海国立大学機構 医療健康データ統合研究教育拠点)
稲葉 一樹 (藤田医科大学)
山田  誠 (岐阜市民病院)
三原 美雪 (庄内南部地域連携パス協議会)

シンポジウム4
『チーム医療を推進するための記録を考える-多職種による看護記録の活用-』

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 「看護記録に関する指針(日本看護協会)」では、他職種と看護を必要とする人の情報を共有することは、効果的で効率的な看護のために必須であることから、看護記録は他職種と情報共有する際の重要なツールの1つとして位置づけられている。さらに看護職は看護を必要とする人の情報を網羅的に収集することから、他職種にとっても看護記録の有用性は高いことも述べられている。クリニカルパスを導入することの目的の1つは、チーム医療の推進であり、その前提として、クリニカルパスの記録を通じた多職種間での情報共有が上手くいっていることがあげられる。本シンポジウムでは、クリニカルパスにおける看護記録が、職種や立場が異なる者や連携を考慮した自施設以外の実践の場(介護、福祉等)の専門職でも理解できるような用語などが用いられ、有効な情報共有となり、ケアの質の向上やケアの継続性を担保できる記録になっているのかどうかということを中心に事例を踏まえながら、議論を行い、今後の課題と対応を明確にしたい。
座長: 小林 美亜 (千葉大学医学部附属病院)
田中 和美 (社会福祉法人恩賜財団済生会山形済生病院)
演者: 吹矢三恵子 (福井総合クリニック)
日高  淳 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院)
小枝 伸行 (八尾市立病院)
高崎 美幸 (鶴巻温泉病院)
本間 真臣 (地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院)

シンポジウム5
『地域包括ケアシステムにおける地域連携パス-多職種・多施設での共有-』

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 団塊の世代が75歳となる2025年を目途に住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう医療・介護・予防・住まい・生活支援の包括的確保の実現が地域包括ケアシステムです。そのため病院・かかりつけ医・介護福祉施設・訪問看護ステーション・ボランティアグループ等が協働してサービスの一体的提供を調整します。そして全国中学校区程度の生活圏での活動が推奨されています。しかし地域によって、サービス内容は限界があり活動はまちまちです。またサービス提供者間の連絡も難しい。我々医療・介護従事者の観点からみると徐々にシステム構築が進んでいるようにみえますが、はたしてそうでしょうか。生活周辺つまりは老人クラブ・ボランティア・自治会から見た観点は、理解していません。このシンポジウムは、地域連携パスのデータ活用と各職種の観点からみたシステムの問題点を挙げ、よりよい地域包括ケアシステムへの提言ができればと考えます。
座長: 石井 政次 (済生会山形済生病院)
重田 由美 (一般社団法人 日本地域統合人材育成機構)
演者: 鈴木  哲 (株式会社ストローハット)
三原 一郎 (山形県鶴岡地区医師会)
岡田 晋吾 (北美原クリニック)
森田 亜希 (済生会特別養護老人ホーム・ケアハウスめずら荘)
土井原奈津江 (慶應義塾大学SFC研究所)

シンポジウム6
『BOM(Basic Outcome Master)を広く使っていただくために』

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 BOMは徐々に多くの病院で使われるようになってきて、学会アンケートによると会員施設で52.7%(126/239)導入されていた。一方、非会員施設では32.3%(86/266)と1/3にも満たない。さらに連携施設ではほとんど使われていないため、地域連携などでベンチマークをするのは現段階では困難である。前回のパス学会ではBOMに関するシンポジウム等の企画は6本にも及び、いろいろな切り口で有意義な議論が繰り広げられた。BOMは特定の病院のみで使用するものでなく、すべての病院・医療施設で共通に使うべき目的で作られた非常に志の高いツールである。現在のBOMの普及状況を考えたとき、今一度BOMの目的を確認し、施設での導入にどのようなハードルがあり、それを取り払うためにはどのような対応をしなければいけないかを考えるために本シンポジウムを企画した。各職種・立場からのお話を伺い、BOMが今後広く普及していくステップになることを本シンポジウムのアウトカムにしたい。
座長: 伊藤 淳二 (青森県立中央病院 整形外科)
佐藤 勝彦 (大原綜合病院)
演者: 佐藤耕一郎 (岩手県立磐井病院)
山田 邦代 (医療法人社団 青嶺会 松戸整形外科病院)
米田 良平 (平内町国民健康保険 平内中央病院)
黒川 礼子 (社会福祉法人恩賜財団済生会支部福井県済生会病院)
町田 二郎 (あきた病院)

シンポジウム7
『認知症のある人が、本当に地域で生き生きと暮らしていくためにできることとは
 ~クリニカルパスの視点から~』

セクション主旨を表示
 我が国は世界でも有数の長寿国となり、類をみないスピードで高齢社会を迎えています。そのなかで認知症のある人は増え続け、2015年には約700万人に上ると推計されています。
 認知症ケア加算など国の手厚い認知症施策により、認知症のある人への医療者の対応能力も向上してきました。しかし依然として多くの課題があるように思います。さらに新型コロナウイルス感染症流行により、面会の禁止やデイサービス参加方法などに戸惑いがある日々です。認知症があっても、暮らしのなかで張り合いや楽しみを感じながら過ごすためには多くの支えが必要です。
 病院と地域での暮らしをつなぐサポーターであり、パートナーであるべき私たちは、どのような情報を共有し、どのような連携をすべきでしょうか。 チーム全員が協同して同じゴールを目指すクリニカルパスの視点から、一緒に考えていきましょう。
座長: 下村裕見子 (北里大学大学院医療系研究科臨床医科学群精神科学)
三原 美雪 (庄内南部地域連携パス協議会)
基調講演: 大石  智 (学校法人北里研究所北里大学)
演者: 姜  善貴 (北里大学)
富樫千代美 (鶴岡市立荘内病院)
中村 光成 (医療法人成風舎西原クリニック)
加藤 忠相 (株式会社あおいけあ)

シンポジウム8
『パスと教育-ありがちなパスの弱点を克服しよう!』

セクション主旨を表示
 日常的な診療活動に占めるパス運用の割合が多くなり、コロナ禍においても効率的なベッドコントロールによる医療提供と安全な医療の遂行を担えるツールとしての意義は高まっている。しかし、ひとたびパス適用してしまうと対策を考えなくなりワンパターンの行動となりがち、という弱点も併せ持っている。
 その要因には、治療や看護における標準化の理解不足や、バリアンス発生時のアセスメント不足などが考えられる。日々の患者の状態から、アウトカム・バリアンスを評価し、「今の患者の状態は、パスどおりでよいか」「パスの内容は変えなくてよいか」を考え判断していくことが必要である。
 このセッションではさまざまな職種からパス運用を正しく導く活動(取り組み)を提示いただき、個別性についての工夫やパスをきちんと使う指導などについて会場の皆様と考える場にしたい。パスが持つ弱点を克服すべく、多職種の応募を期待し、会場でのコメント・質問を交え貴重な経験を共有し持ち帰る企画である。
座長: 齋藤  登 (獨協医科大学埼玉医療センター 総合診療科)
大間 依子 (函館五稜郭病院)
演者: 浜  良輔 (社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院)
藤川 千春 (医療法人社団 愛友会 上尾中央総合病院)
渡邉まどか (福井総合病院)
小野里 渉 (医療法人財団 良心会 青梅成木台病院)
加治 正知 (済生会熊本病院)

シンポジウム9
『クリニカルパス業務と医療のタスクシェア/シフト~明るい職場の働き方~』

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 日本は人口あたりのベッド数が世界トップでありながら医師数はOECD加盟国中下位で医師一人当たりのベッド数が他国に比べて突出して多い状況にある。また医療業務の多くの決定権と責任が医師に集中されており、伝統的に献身体制で厳しい労働環境を維持してきた。しかし過労死や事務的作業の増加、不眠状態での執刀など医療安全問題が顕著化し医療現場でも労働規制が2024年に施行されることが決まり医師の働き方改革と業務のタスクシェア/シフトの検討が急ピッチで進められている。さらに少子高齢化が進む本邦では医療スタッフの高齢化と減少が確実なものとなっており医療提供体制の質をどのように担保するかが社会的問題になっている。
 すでに医師事務作業補助者体制の導入や認定看護師による特定行為の研修、法改正によるコメディカルスタッフの業務拡大など徐々にタスクシェア/ シフトが進んでいるが医療安全と業務責任に関し現場や患者の不安も報告されている。各職域団体では研修カリキュラムやガイドラインの策定が進められており、本学会では電子クリニカルパス操作の代行操作に関する指針を発表し、現場の適切なパス業務を啓発しているところである。今回の学会ではパス業務の各職種業務の実態と問題点を共有するため、現状についてアンケートを実施した。シンポジウムではこの結果を発表するとともにパス以外の業務についても医療現場のタスクシェア/シフトの実践と方向性について医師・看護師・事務職それぞれの立場から講演頂き、医療業務を安全かつ高質にシェア/シフトできる体制を作るためのポイントを共有し、政策へのメッセージも出したいと考えている。
アンケートの回答にご協力ください
以下のアドレスにアクセスして皆さんの病院の現状を教えてください。全国のパス仲間と課題や解決法を共有するため、ご多忙のところ大変恐縮ですが、6月末までにご回答のご協力を何卒お願い申し上げます。
パス業務の役割分担に関するアンケート
https://forms.gle/75y6a3mUVFXAKdzF6
右のQR コードからもアクセスできます
シンポジウム9
座長: 今田 光一 (若草第一病院 スポーツ整形外科/医療情報部)
斎藤利香子 (山形県立新庄病院看護部)
演者: 山中 英治 (若草第一病院)
樋口 幸子 (東京都済生会中央病院)
矢口 智子 (NPO法人日本医師事務作業補助研究会)
斎藤利香子 (山形県立新庄病院)

シンポジウム10
『地域で活躍するメディカルスタッフ~地域連携パス、退院支援、在宅医療~』

セクション主旨を表示
 クリニカルパスは日本の医療界にチーム医療、多職種協働という考え方を広く普及させた。今では病院では多職種が参加するチーム医療は当たり前になっている。その後在院日数の短縮、病院の機能分化の流れに従って医療は病院内だけではなく地域全体で行うものとなっており、さらに最近では在宅や施設での看取りを含めて医療だけでなく介護を含めた多職種によるチーム医療が必要とされるようになっている。しかしいつでも集まることができる病院内とは違い地域で質の高い医療・介護を提供するためにはしっかりとした連携システム、確実な情報共有、多職種協働のためにアイデアやツールが必要となる。このシンポジウムでは各地域で地域連携パス、退院支援、在宅医療などに関わりながら活動しているメディカルスタッフにそのノウハウや課題について紹介していただき今後の発展について議論したいと思っている。是非いろいろな職種の方々に積極的に応募・参加していただきたきたいと考えている。
座長: 岡田 晋吾 (北美原クリニック)
宮埼 美子 (医療法人社団東光会 戸田中央総合病院)
演者: 金谷 法好 (株式会社アインファーマシーズ)
星  利佳 (ほし薬局)
小川 豊美 (株式会社 とよみ)
木下 優子 (函館五稜郭病院)

8.パネルディスカッション

パネルディスカッション1
『病院経営を意識したパスの作成・運用・見直し-各専門職の目線で-』

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 診療報酬が改定されるたびに全国平均在院日数といわれているDPC入院期間Ⅱに合わせたパス期間の設定が課題にあがる施設が多いと思います。
 DPC導入の目的は、「医療・ケアの質向上」や「効率性の向上」です。これらはクリニカルパスの概念ともいえます。クリニカルパスは、専門職がそれぞれの立場で役割を遂行し、患者の治療に参画している証であり、診療報酬に直結しています。
 本セッションは、経営管理の視点から在院日数短縮に向けた取り組みや、DPC期間を意識したパスの作成や見直しなどについて討論したいと考えます。
 パス活動が病院、患者そして医療者にとってWin-Win-Win(トリプルウィン)であることを実感できるようなセッションにしたいと思います。
 他施設での取り組みを参考に、自施設のパスをブラッシュアップしましょう。
座長: 松波 和寿 (松波総合病院)
コメンテータ: 渡辺  優 (野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー株式会社)
演者: 鈴木 克典 (山形県立中央病院)
目黒 康平 (独立行政法人国立病院機構東京医療センター)
松本 武浩 (長崎大学病院)
秋山 茂雄 (厚生中央病院)
佐藤耕一郎 (岩手県立磐井病院)
小山 浩明 (藤沢市民病院)
金井 和夫 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)

パネルディスカッション2
『バリアンスの失敗体験・成功体験』

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 バリアンスへの対応とバリアンス分析による改善の提案が、医療の質の向上に必須であることは、すでに周知の事実と思います。しかし、現場ではシステムの不備や周囲の理解不足などの多様な原因で、スムースにいっていないという声を耳にします。学術集会でも毎年のようにバリアンス関連の企画が開催されますが、パス運用で困っている点のアンケートで「バリアンス収集分析」がダントツの1位で、2位が「バリアンス収集」となっています。正論を振りかざして挑んで挫折した施設の方が多いと思いますが、小さな工夫が大きなキッカケとなる可能性があります。そこで、今回のパネルディスカッションでは、こんなとんでもない失敗をやらかしました、いまだにこんなことで困っています、このように工夫したら解決できました、という発表を募集します。統計学的解析や文献的考察は不要です。ぶっちゃけトークが繰り広げられることを期待します。
座長: 村上 廣野 (独立行政法人国立病院機構水戸医療センター)
勝尾 信一 (福井総合病院)
演者: 清田 麻里 (大阪国際がんセンター)
後沢 絢香 (相模原協同病院)
豊後あゆみ (社会福祉法人恩賜財団済生会山形済生病院)
道山 貴司 (公立大学法人 横浜市立大学附属病院)
坂田 美香 (国立病院機構高崎総合医療センター)
山中真美子 (独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター)
志田 真澄 (松戸整形外科病院)
烏谷  力 (済生会西条病院)

パネルディスカッション3
『大腿骨頚部骨折地域連携パスにおける多職種連携-2次骨折予防に向けて-』

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 大腿骨近位部骨折地域連携パス(以下、連携パス)が運用されてから15年以上経過し、入院期間の短縮および退院時のADL向上など一定の効果が報告されている。近年では骨折の連鎖を断ち切ることも連携パスの重要なアウトカムとされ、達成に向けて術後早期から骨粗鬆症治療および機能回復訓練を進め、さらには回復期・維持期まで骨粗鬆症治療と、日常生活動作訓練や転倒予防を含めた運動療法、また薬剤・栄養指導等各職種の専門性を生かした質の高い医療を継続していくことが重要である。こうした包括的な治療体系において、連携パスは重要な役割を果たしている。
 本パネルディスカッションでは、大腿骨近位部骨折診療における地域連携パスの運用例、二次骨折予防に向けて成果を上げている各職種の実例を紹介し、連携パス活用の実際と課題、発展について議論したいと考える。
座長: 伊藤 博紀 (能代厚生医療センター)
遠藤 武秀 (済生会山形済生病院リハビリテーション部)
演者: 原田 義史 (青森県立中央病院 整形外科)
林  綾野 (済生会横浜市東部病院)
渡部 美穂 (鶴岡市立荘内病院)
市橋 直子 (笹菊東明薬局)
大芝 彩子 (医療法人社団英志会 富士整形外科病院)

パネルディスカッション4
『これからの緩和ケアとクリニカルパス』

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 がんや慢性心不全などの様々な難治性疾患の治療・症状緩和、フレイルの状態を含む療養上の問題は、これからの緩和ケアのテーマであると同時に、地域包括ケアを考えるうえでの課題となっています。また、多職種チームでの介入は緩和ケアの基盤であり、クリニカルパスの最大のアウトカムは「チーム介入の点を線につなげること」です。
 そこで今回のパネルディスカッションでは、緩和ケアにおけるクリニカルパスの運用について緩和医療専門医の神谷医師より話題提供を行い、症状緩和についてのクリニカルパス、病状の変化に合わせた意思決定支援(ACPを含む)、地域連携パスなどについて討論を行います。
 第19回の本学術集会において「地域包括時代における緩和ケア」と題して先進地域の発表が行われました。さらに新たな変化の時代を迎え、その人らしさを支える治療やケアの進め方について、共に考える場にしたいと思います。
座長: 神谷 浩平 (一般社団法人MY wells地域ケア工房)
菅原 早苗 (鶴岡市立荘内病院)
演者: 神谷 浩平 (一般社団法人MY wells地域ケア工房)
上林沙希子 (鶴岡市立荘内病院)
工藤  葵 (医療法人社団 三喜会 鶴巻温泉病院)
小林 美貴 (福井大学医学部附属病院)

9.クリニカルパス教育セミナー(企画:企画・教育委員会)

セクション主旨を表示

 以下の4講演を企画しました。各テーマの基本を押さえながら、その具体的な取り組み方、技術、成果などについて詳しく解説します。日頃感じている疑問や問題点は、これを機に解消しませんか!?教育セミナー1~3は、各々のテーマと関連性の高い学術集会企画と連動する形式としました。それらの企画と一緒に聴講することで、クリニカルパス活動推進に役立つ有用な情報と技術を学ぶことが可能です。是非、合わせてご参加ください。

教育セミナー1 テーマ:バリアンス分析(初~中級者向け)
演  者:村上 廣野(水戸医療センター)
連動企画:パネルディスカッション2 「バリアンスの失敗体験・成功体験」

教育セミナー2 テーマ:クリニカルパスと看護記録(初級者向け)
演  者:小林 美亜(和洋女子大学 看護大学院設置準備室/教授)
連動企画:シンポジウム4 「チーム医療を推進するための記録を考える―多職種による看護記録の活用―」

教育セミナー3 テーマ:BOMの活用(中級者向け)
演  者:中熊 英貴(済生会熊本病院)
連動企画:シンポジウム6 「BOM(Basic Outcome Master)を広く使っていただくために」

教育セミナー4 テーマ:医療ケアの質改善(初~中級者向け)
演  者:若月 俊郎(松江市立病院 消化器外科)

オーガナイザー: 企画・教育委員会委員長 岡本 泰岳 (トヨタ記念病院)

教育セミナー1(初~中級者向け)
『やってみよう!バリアンス分析』

座長: 小林美津子 (社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院)
演者: 村上 廣野 (独立行政法人国立病院機構水戸医療センター)

教育セミナー2(初級者向け)
『看護記録とパス-看護記録の目的を達成するために-』

座長: 森崎 真美 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院)
演者: 小林 美亜 (千葉大学医学部附属病院)

教育セミナー3(中級者向け)
『BOMを自在に使いこなすテクニック』

座長: 今田 光一 (社会医療法人若弘会 若草第一病院)
演者: 中熊 英貴 (済生会熊本病院)

教育セミナー4(初~中級者向け)
『医療ケアの質改善』

座長: 岡本 泰岳 (トヨタ記念病院 形成外科)
演者: 若月 俊郎 (松江市立病院)

10.優秀英語論文賞報告

11.論文の書き方セミナー(企画:編集委員会)

テーマ:「論文の受理と採択を目指すために」

座 長: 高瀬 浩造 (前 編集委員会 委員長、東京医科歯科大学大学院)
小林 美亜 (編集委員会 副委員長、千葉大学医学部附属病院)

12.論文発表(企画:編集委員会)

座 長: 高瀬 浩造 (前 編集委員会 委員長、東京医科歯科大学大学院)
小林 美亜 (編集委員会 副委員長、千葉大学医学部附属病院)
発表者: 計4名 (2020年度論文奨励賞より2名、2021年度論文奨励賞より2名)

13.共同企画(J-SUMMITS)

共催: 日本ユーザーメード医療IT研究会

14.一般演題

口頭発表、ポスター発表、クリニカルパス展示

15.ランチョンセミナー

16.日本クリニカルパス学会 第21回学術集会賞

  • ・優秀な演題へ【第21 回学術集会賞】が授与されます。
  • ・プログラム委員会による事前審査によって候補となる演題をノミネートし、当日審査で最優秀賞(1 名)と優秀賞(2 名)が選ばれます。
  • ・表彰は11 月26 日(金)の懇親会にて行います。最優秀賞・優秀賞には副賞が授与されます。

17.日本クリニカルパス学会 第21回学術集会座長賞

一般演題の発表セッションにおいて、セッション終了時に担当座長による評価をもとに1名表彰いたします。