ご挨拶

第35回 日本整形外科学会基礎学術集会
会長 山本謙吾
東京医科大学整形外科学分野 主任教授

 この度、第35回日本整形外科学会基礎学術集会を東京医科大学といたしまして初めて開催させていただくことは大変名誉なことであり、光栄に存じます。 ひとえに日整会会員の皆様のおかげと心より感謝いたしております。
 今回の学術集会のテーマは「行くに径に由らず」という論語の一節からとらせていただきました。整形外科医が基礎研究を行うには基礎医学の険しい大道があります。それを避けて近道を求めてわき道を選べばいずれ必ず行き止まりとなり、もと来た道へ戻らなくてはならなくなります。たとえ回り道に思えても王道を歩むのが大成への道であるという戒めと捉えてテーマに掲げさせていただきました。
 最新の技術や最新の知識を短期間に習得することにとらわれ、結果を急ぎすぎてしまう傾向が恒常化すると、回り道と思えるような地道な基礎研究が敬遠されがちとなることが危惧されます。性急に結論を求めるだけでなく、個々の研究から得られた事象にしっかりと目を向けて、地に足のついた堅実な研究を進めることの重要性を再認識していただける場となるような基礎学術集会を目指したいと考えております。
 本来であれば、東京新宿の京王プラザホテルにおいて本学術集会を開催させていただく予定でしたが、本年初めより国内外において新型コロナウイルス感染が蔓延し、その後も感染者が増加し続けているため、学術集会開催方法に関して日本整形外科学会執行部、理事会の皆様と慎重に協議を重ねてまいりました。 その過程で通常の現地開催、現地ならびにオンラインを複合したハイブリッド開催、あるいはLive-Web開催などさまざまな方法を検討いたしましたが,今後短期間で感染収束が見通せない状況下では、演者、座長をお引き受けいただいた皆様が学術集会直前になってご来場いただけなくなる可能性や、ご参加いただいた皆様の完全な安全確保が困難となるおそれがあることから、最終的にLive-Web開催という開催形式を選択させていただくという結論にいたりました。主催校といたしましても多くの研究者が一堂に会してさまざまな議論を取り交わすことができないのは甚だ残念でありますが、現状をご理解いただけましたら幸いです。しかし、たとえ開催形式は変わりましても冒頭に述べました目標を達成できるような充実した学術集会となるよう日整会会員の皆様ならびに関係各位のご指導、ご助言を頂きながら教室、同門を挙げて準備を進めてまいりたいと存じます。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申しあげます。

© 第35日本整形外科学会基礎学術集会