会長挨拶

第45回日本脳神経外科コングレス総会
会長 近藤 聡英
順天堂大学医学部脳神経外科学講座
近藤 聡英

この度、第45回日本脳神経外科コングレス総会を、2025年5月15日(木)から5月18日(日)の4日間、パシフィコ横浜 国立大ホール・会議センターにて開催させていただきます。
日本脳神経外科コングレスは、脳神経外科関連分野の科学的研究による進歩を、広く国内外の脳神経外科医が共有し、国民の健康および福祉に貢献することを目的とした学会です。1980年の創設以降、途切れることなく開催されてきた総会では、「一人の演者の講演を参会者全員で聞く」という形を継承しております。これは、専門化、細分化の進む医療界にとっては稀な開催方法ではありますが、脳神経外科医の「質」の維持に必要な学びの機会であり、本会でも継続したいと考えております。
この趣旨を明確にするため、本会の主題は「Lifelong learning, lasting legacies—活学活用—」といたしました。これは、本学会の紋章に描かれた「Ancora imparo.」の理念に基づき、生涯学習の必要性を提示しています。また、「legacy」は遺産や伝統という意味よりは、「価値あるもの」の意味として表現しました。つまり、「常に学び続けることで、価値ある知識を次の時代に伝承していくこと」が本会の目指すところであることを表しています。そして、これを明確にするために、中国の故事から“現実と結びつけて学習し、学んだことは現実に適用する”という意味のある「活学活用」をサブタイトルとしました。
これらの意を示すポスターは、横顔を重ね合わせることで、諸先輩方からの教えを大事にしつつ、背景にある最新の事象と知識で適切な医療を選択していく様子を表しています。
本会では、基礎的な知識の復習は専攻医セミナーや手術ビデオセミナーに配置し、脳神経外科学の根幹となります分野の最新の情報についてはプレナリーセッションとしました。本会の主題に沿って、この時間を「活学活用」の場とすべく、演者の先生方には知識の整理に加え、この知識の臨床での応用についてご説明いただく予定です。
脳神経外科学は、現在もなお未知の臓器である中枢神経系を外科的に扱う診療科で高度な専門性を必要とします。一方で、自身の専門性だけでは国民の健康や福祉に貢献することはできず、中枢神経系の専門家としての総合力が求められています。そこで、会長企画としては、社会と脳神経外科の関わり、脳神経外科の現場からの学術的発信に加え、日常診察に用いる脳神経外科関連の医療機器、そして高齢化社会における脳神経外科の役割に焦点を当てた企画を提案していく予定です。
新型コロナウイルスによるパンデミックが収束し、各々の学会は開催形式を現地開催のみとする流れにあります。本会は趣旨のひとつである生涯教育の側面より、ライブ配信およびオンデマンド配信も予定しますが、会員全員が一堂に会し、新しい知識を学び、その意義を話し合うことも本会の趣旨であることも事実であります。是非、会場に足をお運びいただき、日頃、疑問に感じていることを各分野の専門家に気軽に尋ねられる機会として、また分野を超えた交流を深める機会としてお役立ていただきたく考えております。
2025年初夏のみなとみらいで皆さまにお会いできることを心待ちにしております。是非、本会にご参加くださいますよう、心よりお願い申し上げます。