日程・プログラム

日程表
記念講演・シンポジウムランチョンセミナー
一般演題プログラム 12月3日(火)一般演題プログラム 12月4日(水)
一般演題 抄録

第27回日本慢性期医療学会 記念講演・シンポジウム企画

学会1日目 12月3日(火)

9:00~9:50 開会式
10:00~12:30 シンポジウム1
テーマ “令和”時代の慢性期医療はこうなる!
座長 小山秀夫(兵庫県立大学大学院特任教授)
シンポジスト 吉田学(厚生労働省医政局長)
松田晋哉(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)
上西紀夫(公立昭和病院院長・日本長期急性期病床研究会会長) 
武久洋三(日本慢性期医療協会会長)
主旨 高齢化のピークはあとわずか6年後の2025年に迫ってきた。厚生労働省はこれに対する医療政策として機能分化と病床数の削減を軸とした地域医療構想と、地域包括ケアシステムを両輪として進めてきた。慢性期分野においても各病院で、従来であれば急性期病院に長期入院していたと思われるより重症な患者を受け入れ、医療度の高い患者でも在宅復帰を目指せるように介護施設や在宅医療への転換が各地域で準備されつつある。
一方、欧米に比し日本の平均在院日数が長く、病院病床数が多いことは明らかであり、これが機能分化、病床数削減という構想の根底に存在し、その方向に舵を切ってきた。
しかし、日本の高齢化率(2017年)は27%と世界第1位で、2位のイタリアとでも4%もの差があり、米国とは12%の開きがある。日本は高齢化社会における超先進国であり、未知の分野を歩いている。他国の医療体制を考慮しつつも、世界が参考にするような、さらに進んだ医療体制作りが今後必要になると考えられる。平成時代が幕を閉じ、令和元年の開催となった本学会では新時代の医療体制、特に慢性期医療に何が求められ、何を提供していくべきなのか、すなわち舳先をどこに向けるかを問う必要があると考える。本シンポジウムでそれが少しでも浮かび上がればと考えている。
幸いシンポジストとして、行政側からは厚生労働省医政局長の吉田学氏に参加いただけた。加えて日本長期急性期病床研究会会長の上西紀夫氏、地域医療構想の元となるデータ解析を担当された産業医科大学教授の松田晋哉氏、日本慢性期協会会長の武久洋三氏と豪華メンバーに集まっていただくことができた。さらに、各シンポジストの本音を引き出すのが世界で一番上手な兵庫県立大学特任教授の小山秀夫氏に座長をお願いした。きっと何かが起こる!そんな気にさせるこのシンポジウムに今からワクワクしている。(井川誠一郎)
13:40~14:50 記念講演
テーマ サイバニクスが拓く医療・介護最前線、そして未来への取り組み
座長 井川誠一郎(第27回日本慢性期医療学会 学会長)
演者 山海嘉之(筑波大学サイバニクス研究センター 教授・研究統括 CYBERDYNE株式会社 代表取締役社長/CEO)
主旨 大学の先輩でもある手塚治虫氏が描いた鉄腕アトムがテレビ化されたのは私が小学校時代であったと記憶する。小さなロボットであるアトムが大きなトラックを片手で軽々と持ち上げたり、重い荷物を抱えたおばあさんを丸ごと抱えて目的地に運んだりする姿に単純にすごいと思ったものである。ロボットと言えば、どうも人間には巨大ロボを操縦したいという欲望があるようで、機動戦士ガンダムを代表とする、乗り込んで操縦桿で巨大ロボを操縦するアニメも多くある。考えるだけで動かせるロボットはないかと探したところ、見つけた!機動戦艦ナデシコでは操縦者の意思をダイレクトに機体に反映させるイメージフィードバックシステム(IFS)を採用して、全高約6mの人型機動兵器エステバリスを操縦していた。
こんなロボットが介護してくれたら介護者不足は存在しないなとか、脊損の人が歩けるようになるぞと考えると同時に、いずれにしてもアニメの世界で現実社会ではまだまだ先の話だろうなぁと思っていた。ところがこんな夢みたいなことを真面目に研究し、ついに世界初の装着型サイボーグ技術を世に送り出し、医療機器として身体機能を改善させる「サイバニクス治療」や自立支援・作業支援の実現に成功した科学者がいると耳にした。それが今回お話しいただく筑波大学サイバニクス研究センター教授の山海嘉之氏である。サイバニクスは山海氏が提唱する人・ロボット・情報系を融合複合した新科学領域であるそうだが、それに込めた思いや、サイバニクスによって現在、医療・介護分野ではどのように役立っているのか、そして将来どのようなものを目指して研究を進めていかれるのかなどをお話しいただけるものと思う。座長は学会長である私が務めさせていただくが、全くの視聴者となってしまう可能性が高く、講演後のフロアからの積極的な質問に期待している。(井川誠一郎)
15:00~17:30 シンポジウム2
テーマ 療養病床の今後を考える ~選択と集中! 療養病床の生きる道~
座長 池端幸彦(日本慢性期医療協会 副会長)
シンポジスト 横田裕行(日本医科大学大学院救急医学分野教授、日本在宅救急医学会代表)
久保俊一(日本リハビリテーション医学会 理事長)
仲井培雄(地域包括ケア病棟協会 会長)
矢野諭(日本慢性期医療協会 副会長・看護師特定行為研修委員会委員長)
主旨 平成30年度診療・介護報酬同時改定から既に2年近くが経過し、次期診療報酬改定の議論が熱気を帯びてきている。本シンポジウムでは、午前中のシンポジウム1を受ける形で、本学会のメインテーマ「“令和”時代の慢性期医療」の中でもその中核的役割を担うべき「療養病床」が、これからの地域医療構想や地域包括ケア推進の担い手として、「スキルとエビデンスの融合」の中で果たすべき役割とは何かを大いに議論したい。
幸いにも、今回はそれぞれの分野で日本のトップランナーのお一人とも言える4名のシンポジストにご登壇頂くことが出来た。まず日本救急医学会前理事長で現在は日本在宅救急医学会代表も兼務されている日本医科大学大学院救急医学分野教授の横田裕行氏には、在宅を含めた日本の救急医療の現状と共に、高度急性期医療からみた療養病床へ期待を込めたメッセージを頂ければ幸いである。次に日本リハビリテーション医学会理事長の久保俊一氏には、リハビリテーション医学の第1人者として、療養病床に求められる今後のリハビリテーションのあり方と方向性をお示し頂ければと思う。更に地域包括ケア病棟協会会長で日本慢性期医療協会常任理事でもある仲井培雄氏には、回復期機能としての地域包括ケア病床と療養病床における機能分化と連携について、自院の経営戦略にも触れながら御指南頂きたい。そして日本慢性期医療協会副会長で看護師特定行為研修委員会委員長でもある矢野諭氏には、先進的な療養病床経営者としての経営戦略のノウハウと共に、療養病床における看護師特定行為研修修了者の現状と課題、今後への期待も語って頂きたい。
最後に私からは中医協入院医療等調査・評価分科会における議論の最新情報も少し紹介させて頂き、更に待ったなしの対応が求められつつある医師の働き方改革にも触れながら、近未来の療養病床の在り方をフロアも交えて皆で熱く語り合えることを期待したい。(池端幸彦)

学会2日目 12月4日(水)

9:20~11:20 シンポジウム3
テーマ 慢性期医療におけるペインコントロール
座長 井川誠一郎(第27回日本慢性期医療学会 学会長)
シンポジスト 小川節郎(JR東京総合病院 麻酔科・痛みセンター、日本大学名誉教授)
保岡正治(保岡クリニック論田病院 理事長)
井上雅之(愛知医科大学 運動療育センター 理学療法士、日本ペインリハビリテーション学会 理事)
主旨 肩こり、腰痛、頭痛をはじめとして、痛みは我々にとって日常生活の中では当たり前に存在するものとなり、よほどひどくならなければ病気として認識すらしない。痛いときはどうするか?鎮痛剤は胃に悪いからできるだけ痛いところを動かさない。それでしのいでいることも多いのではないだろうか?若い人はこれでおそらく問題ないと思う。しかし慢性期医療の現場ではなかなかそうもいかない。なぜなら対象者の多くが高齢者であり、高齢者が動かなければ容易にフレイルが加速することを慢性期医療に携わる我々はよく知っているからである。虫歯の痛みが原因で嚥下障害から食欲不振に陥ったり、腰痛のために臥床時間が増え、そのまま寝たきりになるということはしばしばみられる。大腿骨骨折で手術したにも関わらず寝たきりになってしまう。こんな症例にリハビリをしても在宅復帰後には、再び痛みのためにまたフレイルが進行する。痛みをとらなければと何剤もの鎮痛剤が投与され、polypharmacyになってしまった。慢性期医療においては「たかが痛み、されど痛み」であり、何らかの対応が必要な疾患であると私は考えている。
そこで本シンポジウムでは痛みの第一人者、日本大学名誉教授の小川節郎氏、当協会で痛み治療の必要性を常日頃訴えておられる保岡正治氏、そして慢性疼痛に薬剤ではなく運動療法という方向からアプローチし成果をあげている愛知医科大学運動療育センターの井上雅之氏の3氏にご登壇いただき、それぞれの立場からご発言いただくこととした。座長は学会長の私が務めさせていただき、慢性期医療における痛み対策の一助になればと期待している。(井川誠一郎)
12:30~14:30 シンポジウム4
テーマ 今後どうなる介護医療院 ~介護医療院の深化と進化~
座長 江澤和彦(日本医師会 常任理事)
演者 眞鍋馨(厚生労働省老健局老人保健課長)
鈴木龍太(日本介護医療院協会 会長)
猿原大和(和恵会ケアセンター 理事長)
主旨 平成30年4月より創設された「介護医療院」は、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設である。
さまざまな優遇策や加算で、介護・医療療養病床、転換型老健からの移行が促進されており、将来10万床に達すると想定されている。
創設から1年以上が経過したが、10床前後の小規模な施設から、400床を越える大規模な施設も見られる。また、未だに介護医療院への移行に消極的な施設、介護療養病床を一部残して、一部を介護医療院とした施設、病床全てを介護医療院とした施設等、対応はさまざまだ。介護医療院の機能では、従来の介護療養病床と同様の重介護者、看取りの機能だけでなく、自宅として在宅復帰患者を受け入れ、リハビリテーションを提供して在宅復帰の機能も併せ持つこともできるようになった。生活の場として、従来の療養病床との違いを鮮明にしている施設も多くなっている。
本シンポジウムでは日本介護医療院協会の調査結果も含めて、介護医療院の現状と、介護医療院の新しい利用法、また病院を全て介護医療院に移行された施設の視点から発表していただき、これからの介護医療院の深化と進化を討論したいと思う。(鈴木龍太)
14:40~16:40 シンポジウム5
テーマ ACP(アドバンス・ケア・プラニング)~その理解と実践~
座長 中川翼(日本慢性期医療協会副会長)
シンポジスト 木澤義之(神戸大学医学部附属病院 緩和支持治療科 特命教授)
武久洋三(日本慢性期医療協会会長)
田中志子(内田病院理事長)
斉藤あけみ(永生病院 看護部長)
主旨 2017年に私どもの目の前に、突然現れたACPを前にして、半ば狼狽しつつも、その内容を理解しようと努めてきた。2017年8月3日の、厚生労働省医政局主宰の第1回「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」で、神戸大学の木澤義之先生が膨大な資料を基にACP(アドバンス・ケア・プラニング)~いのちの終わりについて話し合いを始める~と題する講義を行った。その後、2018年厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を改定し、ガイドラインにACPの重要性を追加した。
私共も、2017年11月11日の総合診療医認定講座でACPを取り上げ、また、2018年春には日慢協の会員病院にアンケートを行い、ACPの認知程度を調査した。さらに、2018年10月11日の日慢協の鹿児島学会で「多死社会を支える意思決定支援~現状と課題~」と題するシンポジウムを開催し、ACPについても大いに議論した。座長を勤めさせていただいた私は、このシンポジウムの成果を次のようにまとめさせていただいた。「ACPの普及が、人生の最終段階におけるケアへの反映と、これまで私共が行ってきた本人(家族)の文書による意思表示の増加に繫がることを、大いに期待している。」
このテーマは、私共が病院内では日常当たり前のように実施している行為に工夫を凝らし、磨きをかけていくという側面と、病院外で療養や生活をしている人々にその内容を理解してもらい、普及させていくという側面の二つに分けられるように思われる。
私共の役割はもちろん前者で、後者は付随的な役割になろうか。このシンポジウムが皆様のなんらかのお役に立つことができれば幸である。(中川翼)
16:40~16:50 次期学会長挨拶
16:50~17:20 閉会式