第53回日本脊椎脊髄病学会学術集会の開催にあたって

第53回日本脊椎脊髄病学会学術集会
会長 渡辺 雅彦
東海大学医学部外科学系整形外科学 教授
渡辺 雅彦

 この度2024年4月18日(木)〜20日(土)にパシフィコ横浜会議センターにおいて、第53回日本脊椎脊髄病学会学術集会を開催させていただきます。伝統ある本学会を私ども東海大学が担当させていただけることを大変光栄に存じております。個人的にも1991年第20回からほぼ毎年参加し、脊椎脊髄病学そして先人の先生方の生き様・取り組みを本学会で学び、脊椎外科医として三十余年を歩んで参りました。私にとっても本会は特別な学会であり、活気溢れる、新たな時代の幕開けとなる素晴らしい学術集会にするべく、教室と同門全力で企画、運営にあたっていく所存です。
 脊椎脊髄は運動器の根幹をなす器官であり、その障害は疼痛・運動と感覚障害・排泄排尿障害・整容と多岐にわたり、その病態も先天性・遺伝性・加齢性・外傷性と多岐にわたり、それぞれの患者さんお一人お一人に最適な治療を行うべく約4000人の会員が日々の診療を行い、臨床的・基礎的研究に励み、より良い治療を目指しています。本学会は1974年に発足し50年の歴史を積み上げて参りました。すなわち本第53回学術集会はこれまでの50年の集大成であり、次の半世紀への新たなステップとなる重要な学術集会と言えます。「五十而知天命」、孔子の言葉です。天が私たちに与えた使命を考えた時に、われわれの目指す大きな柱、次の半世紀にすすめるべきもの、それは患者さんにとっても医療者にとっても、診断においても治療においても、肉体的にも精神的にも、やさしい脊椎脊髄病学ではないかと考え、本会のテーマを「天命 やさしい脊椎脊髄病学の実践」とさせていただきました。“やさしい”にはいろいろな意味を込めてひらがなとしました。学会員が診療・研究で扱う多岐にわたる領域で質の高いプログラムを提供し、脊椎・脊髄病医療に関連する全職種の方に興味を持って参加いただける学術集会を目指したいと考えています。文化講演、特別講演、教育研修講演では実践的な脊椎脊髄病学に加えて医療安全、働き方改革、専門医制度、基礎医学等のバラエティに富んだ企画を予定しております。また海外演者も欧米とアジアから多くの先生に来日いただき交流を深めていきたいと思っています。その他、学会主導プロジェクトや各賞受賞者セッション等も企画しています。多くの企画を通じて、本学会の発展、なによりも脊椎・脊髄障害で苦しい思いをされている多くの患者さんのご負担の軽減に、少しでも繋がる学術集会となることを目標に運営して参ります。
 2024年にはコロナも普通の病気となり、通常への復帰元年となることを期待し、また想定しています。皆で横浜に集い、熱いディスカッションを通して次の半世紀への扉が開かれることを期待しております。皆様のご協力を何卒よろしくお願いいたします。