会長挨拶

 第51回日本人工関節学会を2021年3月19日(金)と20日(日)の2日間、2020年4月にオープンする新施設「パシフィコ横浜ノース」で開催させていただきます。
 本学会は人工関節に関する臨床的ならびに基礎的研究の進歩、発展を図ることを目的に昭和46年(1971年)に発足し、現在まで半世紀という長い歴史を積み重ねながら発展を遂げ、会員数3000名余に至る大規模な学会となりました。
 2020年に節目の50年を迎え、2021年の本会はこれからの50年を見据え、新たな歴史を繋ぐためのスタートラインと考えております。そして、今後どのように人工関節医療を発展させるのか、その課題や可能性について多角的な視点から議論する場にしたいと考えております。
 このような思いから、今回のテーマは「TASC(タスク)」とさせていただきました。「TASC」とは「Technology(科学技術)」、「Art(人の手による芸(わざ))」、「Science(手術すべてにわたる科学的・客観的理解)」、「Continuity(これまでに得られた技術・エビデンスの継承・発展)」それぞれの頭文字をとった造語です。人工関節医療のこれからの50年を考えるにあたり、本領域の発展に不可欠なファクターを表現しました。
 このテーマを達成するために、本学会ではこれまでにないプログラムとして、医工連携出展エリアを設け、参加される方々との交流の中から新たな技術の発展・導入の一助となれば幸いです。又、発足半世紀後初回の学会という意味を含め、AAHKS(アメリカ股関節・膝関節学会)とのcombined meetingとアジアからも先生を招聘し、グローバルな意見交換を考えております。
 そして、これからの50年を見据えて思うことは、人工関節の手術手技やインプラントの機能向上によって患者の長期に続くADL・QOLの獲得はもちろんのこと、働く環境や教育にも注力しなければならないということです。
 時代とともに医療者に求められる役割や機能は多様化し、昨今では働き方改革といった医療現場に大きな変革をもたらす議論も進められており、本学会でも向き合わなければならない課題であると認識しています。この意味においてもコメディカルの協力は必要不可欠であり、特に手術室看護師の教育も重要と考え手術室看護師にもインプラント術式に慣れ親しんでもらうべく教育も取り入れました。
 最後になりますが、本会が人工関節医療の新たな可能性や発展の一助となれるよう鋭意準備を進めてまいります。そして、この新たな歴史のスタートを皆さまと共に踏み出せることを大変光栄に存じます。ご参加を心よりお待ち申し上げます。

第51回日本人工関節学会 会長 松原正明(公益財団法人 日産厚生会 玉川病院)

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