会長挨拶
このたび,第48回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会(JABTS48)の会長を拝命いたしました。まずは,COVID-19に罹患された皆さまにお見舞いを申し上げますとともに,最前線で対応しておられる医療関係者の皆さまに感謝申し上げます。
JABTS48のテーマは,「総合力を鍛える」とさせていただきました。本学会は超音波検査の学会ではありますが,私たちは超音波検査のことだけを知っていればいいというわけではありません。病気のこと,他の診断法のこと,診断後の治療のことも知る必要があります。また,最近では,確実な治療を行うために超音波検査がなくてはならないものになっています。多方面のことを手軽に学ぶ場所を提供したいとの思いからこのようなテーマといたしました。
参加者が学びたい内容を充実させるために,教育セミナーをたっぷりと行います。「教育セミナー ~明日からあなたもエキスパート~」と題して,たくさんの参加者に満足いただけるよう,プログラム委員の中でも技師を中心として若手医師とともに企画していただきました。また,JABTSでは近年,会員数の減少が問題となっています。足が遠のいてしまった方々のご意見を伺いながら,これまでの学術集会を振り返り反省しました。今一度,JABTSが輝いて参加してみたくなる学会となることを目指して,プログラム委員には,非会員や新進気鋭の医師・技師にも多数参画いただきました。そして,乳腺のサブテーマは,「術前薬物療法と画像 ~正しく見極め,確実に治す~」です。近年,乳癌の治療は,術前薬物療法後に手術を行い,薬物療法の効果に応じてその後の治療を決めることが主流となりつつあります。その結果,術前薬物療法で著しく小さくなってわかりにくくなった乳癌を,いかに適切に評価してその後の手術に結びつけられるかも重要となってきました。確実な手術を行うためには,JABTSが持っている技術はとても有用です。皆さまに興味を持っていただけるよう多くの乳腺外科医にお願いしてアイデアを出していただきました。これまで毎回,参加されていた先生方には若干の違和感を覚えるかもしれませんがご容赦いただければ幸いです。甲状腺のサブテーマは,「一般診療における甲状腺超音波検査のレベルアップ」です。日常診療で困っていることを解決するお手伝いをするのが目的です。薬剤性甲状腺機能症の超音波検査,日常よく遭遇する疾患シリーズなどを予定しています。
名古屋での開催は,第4回会長の遠藤登喜子先生以来22年ぶり,東海地区での開催も第14回会長の水谷三浩先生が三重県志摩で開催されて以来17年ぶりです。COVID-19の状況にもよりますが,現段階では会場にお越しいただく従来型の学会を考えています。東海地区の先生方も全国の皆さまをお迎えするのを楽しみにしています。COVID-19の影響で十分に議論ができなかった鬱憤を2022年に名古屋で開催するJABTS48で晴らそうではありませんか。
大垣市民病院 外科 亀井桂太郎