ご挨拶
第70回北日本産科婦人科学会学術講演会
会長 横山 良仁 弘前大学大学院医学研究科 産科婦人科学講座 |
令和5年9月23日、24日に弘前市にて第70回北日本産科婦人科学会学術講演会を開催いたします。過去3年間は、中止(2020年)、完全WEB開催(2021年)、ハイブリット開催(2022年)でございました。コロナ禍にあり学術講演会のあり方が問われている昨今でございます。オンラインでも学習はできるものの人的交流は叶いません。学術講演会は、的を射る質問とスマートな回答、このやり取りが科学者としての医師の素質を伸ばす醍醐味だと確信しております。そこで本学会のテーマを、「集え!産科婦人科学の醍醐味を語り合おう」にしました。現地開催として鋭意準備中でございます。
産科婦人科学はいうまでもなく、周産期、生殖内分泌、婦人科腫瘍、女性医学の4分野からなりますが、各々の分野は密接に関連しています。生殖内分泌の代表的疾患である多嚢胞性卵巣症候群を例にすると、排卵障害から不妊症になりやすい病態でありますが、妊娠するとインスリン抵抗性があるため妊娠糖尿病になりやすい(周産期)、元々アンドロゲンが高いため将来2型糖尿病のリスクでもある(女性医学)、エストロゲン優位であるため内膜増殖症を経て高分化類内膜癌になる可能性がある(婦人腫瘍)、このように一つの疾患から女性の健康を守ることが産科婦人科医に課せられた使命と思っています。
コロナ感染が猛威を振るった3年間は、オンラインの利便性を学んだ貴重な期間であったことは否定しません。ITの発達と人間の知恵が結集された賜物と思います。日常では集いながらも黙食をし、マスクをして距離を置いて会話をする。手洗いとアルコール消毒を徹底する。このように感染症に打ち勝つ術も学びました。しかしながら、私たちは人間です。喜ばしい時は皆で祝福し、悲しい時は慰め合う。楽しい時は皆で笑い合う、面と向かって叱られてもなにクソと頑張る。この3年間は、人として喜怒哀楽が希薄になったのではと危惧しています。
学会テーマ「集え!産科婦人科学の醍醐味を語り合おう」によって産科婦人科の魅力を伝える発信力の回復に貢献できることを願ってやみません。コロナ前の「普通の」学術集会を開催したいと純粋に思うところです。9月の弘前は、夏のねぷた祭りが終わり10月からの紅葉シーズンを前にして比較的のんびりとした雰囲気です。学術講演会の合間には城下町の風情も是非味わってほしいと願っております。皆様のご来弘を教室員一同お待ちしております。