Global Navigation

HOME > 当学会について > 発起人挨拶
発起人挨拶
このたび、泌尿器領域の悪性腫瘍の診療や研究に携わる有志の医師により、「日本泌尿器腫瘍学会(Japan Society of Urologic Oncology)」を設立する運びとなりましたので、お知らせをさせていただきます。

 近年の泌尿器領域悪性腫瘍を取り巻く環境は大きく変化してきております。ご承知の様に、高齢男性の増加に伴い我が国の前立腺癌罹患者数は増加の一途であり、死亡者数も1万人を超えております。腎臓癌についても男女ともに罹患数、死亡数ともに上昇傾向が止まりません。また、膀胱癌や腎盂・尿管癌も高齢者の増加と連動して患者数は増加しております。一方、精巣を主たる原発巣とする男性の胚細胞性悪性腫瘍は罹患率こそ低いものの、好発罹患年齢が青壮年であることから社会的なインパクトは大変大きいものがあります。これら泌尿器領域の悪性腫瘍に対する最近の診断法、治療法の進歩は目覚ましいものがあります。特に、前立腺癌においてはロボット支援下手術の普及、高精度放射線治療の開発、去勢抵抗性癌に対する新規薬剤の登場など、ガイドラインの改訂が追い付かないほどの速度で治療法のパラダイムシフトが起こっております。一方、腎臓癌におきましても多数の分子標的薬剤が導入され、さらに新規免疫療法薬の導入が間近に迫っております。

 我が国ではこれまで泌尿器悪性腫瘍の診療は泌尿器科医が一手にその責を担ってきました。しかし、泌尿器悪性腫瘍の治療が高度化し多様化する中で、腫瘍内科医や放射線科医、腫瘍病理医など複数の専門領域の医師間の連携や薬剤師、看護師などによるチーム医療体制構築の必要性が高まっております。このような背景から国外ではすでに泌尿器腫瘍に特化した専門学会や研究グループが立ち上がりつつあります。また、アジアの泌尿器腫瘍の専門家によるAsia Pacific Society of Uro-oncology (APSU)という学術集団も活動を活発化させています。従いまして、我が国におきましても泌尿器悪性腫瘍の診療、研究を縦軸とした横断的な専門学会を設立し、幅広い専門分野の医療者による活発な意見交換や、国外の泌尿器腫瘍専門学会との連携、泌尿器腫瘍をsubspecialtyとして希望する若手医師に対する包括的教育の提供が急務となっております。

 冒頭に申し上げましたように、このたび泌尿器領域悪性腫瘍の診療に従事する医師が多数所属する日本泌尿器科学会を初め、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本病理学会や泌尿器腫瘍に関連する種々の研究会に所属されます有識者各位に発起人となっていただき、日本泌尿器腫瘍学会を設立する運びとなりました。泌尿器領域の悪性腫瘍の診療や研究に携わる皆様におかれましては、本学会設立の趣旨にご賛同いただき、積極的なご参加を頂きますようお願いする次第です。

平成27年1月
発起人一同