ご挨拶

木戸 保秀

第31回日本慢性期医療学会

学会長 木戸 保秀

松山リハビリテーション病院 理事長

今回、令和5年10月19、20日に大阪国際会議場で第31回日本慢性期医療学会を開催することとなりました。テーマは「超少子高齢化時代と慢性期医療〜 Well Beingを目指した予防と云う役割〜」として、予防に対する慢性期医療の向き合い方について皆様方と共に考えていきたいと思います。
 私がリハビリテーション医療に向き合い始めた頃、恩師から「リハビリテーション医療は予防についてもっと意識すべきだ」の教えを忘れずに、また当院創始者が予防医療の先駆けであったことから、いまの予防の視点は何処にあるべきか、と言う原点に立ち戻り、「予防」で企画する事といたしました。
 そして、これからの時代に必要な予防医療とは少子高齢化と過疎化が進む地域の人々が安心して暮らせる社会作り「Well Being」であろうと思い至りました。それは地域の中だけで完結する事ではなく、I T(Information Technology)化が進む広い社会の様々な繋がりの在り方を模索し、その繋がり方も多様に変容していくDX(Digital Transformation)化は予防医療において大いに進めるべきではないでしょうか。

医療における予防、特に感染症、医療機関だけでなく介護福祉施設の感染症対策も今後さらに迅速且つ慎重な対応が必要となります。感染症によって閉ざされた中、スタッフ数も少ない状況で如何にパフォーマンスが発揮できるか、お互いしっかりと支えあう環境作り、そのDX化はこれからの時代に必要不可欠となります。
 感染症だけでなく栄養や食事対策も同様に重要な課題となっています。Well Beingを目指した栄養管理や食事提供について触れていきたいと思います。
 地域包括ケアシステムを完遂させるためには医療と介護、福祉間の連携は当然ですが、地域共生として様々な分野との連携や情報共有もまた同時に必要とされるものです。今回取り上げたい医工連携もその一つです。これらの一つ一つが自助力を高めるものであり、さらに互助力や共助による連携、情報共有によって地域の包括的パフォーマンスを向上することで患者様個々や、その地域のWell Beingも高めていくものと思います。
 また、昨今震災や豪雨災害だけでなくウクライナロシア戦争や東アジア問題等、様々な災害・危機が同時に多発的に起こる時代へと変わりつつあります。 我々慢性期医療関係者も危機管理対策を講じる必要性があります。DXの活用は迅速な危機管理対策に不可欠なものです。
 また、令和6年に医療・介護・障害のトリプル改定が行われます。その備えを整理する機会でもあります。

予防と云う役割を、①感染、②栄養、③災害の三つに大別し、それぞれのテーマを講演会、シンポジウムもしくはパネルディスカッション形式で行う予定です。感染症下でも皆様の積極的な参加が可能な形が準備できればと思います。
 また皆様方と会場で直接お会いできる事を祈願し、ご挨拶の言葉に代えさせて頂きます。

木下 祐介

第11回慢性期リハビリテーション学会

学会長 木下 祐介

光風園病院 院長

第11回慢性期リハビリテーション学会は第31回日本慢性期医療学会と併催となりました。現地で多くの方にご参加いただき活発な学会となるよう願っております。
 さて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた医療現場ではこれまでにない多くの経験を積んでいます。こうした中で私が感じた事の一つに、新型コロナウイルス感染症の治療後の患者さんの廃用症候群の怖さがあります。予備力の低いご高齢の方の中には、感染症は治癒したものの、「歩けない」、「食べられない」といった影響が長期間続き、感染する前の状態に戻る事ができない方も少なくありませんでした。
 しかし、慢性期医療の現場を振り返ると、こうした事象は新型コロナウイルス感染症に限った事ではありません。橋本康子会長の提唱されている「基準リハビリテーション」、「基準介護」の概念にもあるように、廃用症候群を生んでしまってからリハビリテーションを始めるのではなく、治療を開始する時から廃用症候群を生まないように治療する事が重要です。そもそも、効率的・効果的に治療を進めるためには、急性期から慢性期まですべての医療現場であらゆる疾患に対してリハビリテーションが必要である事を痛感しています。そして、ここでいうリハビリテーションはセラピストが行う訓練だけではありません。医師、看護師、介護職、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、患者さんの治療に携わり患者さんを支えるあらゆる職種がリハビリテーションの考えを共有し、それぞれの立場で実践していく事が必要です。
 今回の学会は日本慢性期医療学会との併催です。慢性期リハビリテーション学会の会場として一部屋いただき運営する予定です。「疾患治療に欠かせないリハビリテーション、多職種が行うリハビリテーション」をテーマに教育講演を企画しています。一般演題でも、リハビリテーション専門職だけではなく、多職種の皆さんによるリハビリテーションの取り組みをご紹介いただければと考えています。第11回慢性期リハビリテーション学会が慢性期医療ならではの素晴らしさを表現できる学会となるよう、微力ながら全力で努めて参ります。皆様宜しくお願い申し上げます。

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