第32回内視鏡外科フォーラム

会長ご挨拶

ご挨拶に先立ちまして、全世界において、社会的および医療的問題となっておりますコロナウィルス(COVID-19)感染によって、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の方々に心からのお悔やみを申し上げます。また、現在闘病中の患者様および医療の最前線でご対応にあたられております、すべての皆様にお見舞いを申し上げます。

この度、第32回内視鏡外科フォーラムin福島を、2021年(令和3年)5月22日(土)に開催させていただくこととなりました。大変光栄なことと存じ、理事長の徳村弘実先生をはじめ役員、評議員、会員の皆様に感謝申し上げます。

私が、外科医としての第一歩を刻んだ1992年は、腹腔鏡下胆嚢摘出術が日本全国に普及しつつあるまさに内視鏡手術の黎明期でありました。研修医として過ごした病院では、胆嚢摘出術のおよそ半数が腹腔鏡手術で行われておりました。その頃より、内視鏡手術の先達が様々な工夫とピットフォールの克服を重ね、良性疾患から悪性疾患へ、そしてあらゆる外科領域へと適応が拡大し、そのすそ野を広げていきました。その発展には、内視鏡手術による拡大局所解剖の理解に加え、内視鏡手術デバイスの開発、改良、高解像度モニターや3D化、ロボットやVR技術、AIなどの手術支援技術の向上に支えられてきたことは言うまでもありません。現在では、あらゆる外科領域、あらゆる疾患を対象に各分野における定型化が進み、安全で低侵襲な治療が提供されるようになりました。今回のフォーラムのテーマは「継承と挑戦」とさせていただきました。『継承』として、これまで長年積み重ねてきた若手外科医の手本となる技や理論を、『挑戦』として、新たな術式の工夫や開発、ロボット手術、あたらしい教育のあり方など、これからの内視鏡外科手術に関する様々なテーマについて、各施設での取り組みをご報告いただければ幸いです。

2020年はコロナ禍の影響で、当フォーラムだけでなく多くの学会、研究会が中止あるいは延期を余儀なくされました。2021年は、2年分の蓄積された臨床経験や内視鏡外科領域の進歩を、参加者の皆様と共有したいと存じます。

第32回 内視鏡外科フォーラムin福島
会長 大木 進司
白河厚生総合病院 病院長
(福島県立医科大学 特任教授)