会長挨拶

吉田 和道 第13回日本心血管脳卒中学会学術集会
会長 吉田 和道
滋賀医科大学 脳神経外科学講座

 このたび第13回日本心血管脳卒中学術集会(CVSS)を、2026年3月11日(水)に大阪国際会議場にて開催させていただく運びとなりました。なお、本会は「STROKE 2026」と同一会場において、その前日にあたる日程での開催となります。

 2018年の「脳卒中・循環器病対策基本法」成立を契機に、2020年には「循環器病対策推進協議会」が発足し、健康寿命の延伸を目指したさまざまな取り組みが本格的に始動いたしました。急性期から維持期・生活期に至るまでのシームレスな支援体制の構築に向けて、多職種の連携を推進する中心的役割として位置付けられている「脳卒中・心臓病等総合支援センター」モデル事業も、現在では全国の都道府県に展開されております。
 基本法の成立から7年が経過し、循環器病対策推進基本計画も第2期の後半に入ったこの重要な時期に、本学術集会の開催を担当させていただくことは、大変光栄であり、身の引き締まる思いでございます。

 本会は、循環器内科・心臓血管外科・脳神経内科・脳神経外科など、脳卒中および循環器病に携わる多分野の医療従事者が一堂に会し、領域横断的に議論を深めることのできる、ユニークかつ基本法の趣旨に沿った意義深い場であります。昨今、「ブレイン・ハートチーム」の概念は、心原性脳塞栓症の予防・治療において徐々に市民権を得つつありますが、動脈硬化性疾患をはじめとする全身脈管病に対するチーム医療は、実臨床においてなお十分に機能していない部分もございます。
 もちろん、各専門領域における最新の知見を共有することは極めて重要です。しかしながら、急速に少子高齢化が進むわが国において、さらに有効かつ実行可能な循環器病対策を構築するためには、疫学・人口動態・社会情勢といった広い視野からの俯瞰的な考察も不可欠と考えられます。以上のような背景を踏まえ、本会のテーマは「循環器病対策の深化:俯瞰と創造」といたしました。

 専門分野・職種・世代を問わず、参加者にとって実り多き学術集会となるよう、教室員一同、鋭意準備を進めております。早春の大阪にて、皆さまと活発な議論を交わせますことを、心より楽しみにしております。