第112回日本病理学会総会

テーマ:病理学・病理診断業務からみえる難病克服への扉

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会長挨拶

会長:池田栄二

第112回日本病理学会総会
会長 池田 栄二
山口大学大学院医学系研究科病理形態学講座 教授

第112回日本病理学会総会を山口県下関市で開催させていただきます。伝統ある日本病理学会の長い歴史のなか、山口県での総会開催は初めてのことであり大変光栄に存じます。

病理学の目指すところは、難治性疾患の予後改善を視野に入れた疾患の病因病態の解明であります。一方で、病理学の蓄積された研究知見を基盤として確立された病理診断業務は、近年、医療現場において果たすべき役割が益々大きなものとなってきております。そうした時代の流れを受け、日本病理学会総会には、学問的研究成果を発表し議論する場にとどまらず、質の高い病理診断業務を実践する病理専門医を育成するための教育研修の場という社会的責務が課せられています。両者は一見交わらない路線ともみえますが、病に苦しむ人を治すという同じ終着点を目指しており、また質の高い病理専門医の育成は、疾患病変部の真の姿を目の当たりする病理医にしか見えない病因病態解明の糸口を探りだす目を育てる研究者育成としての側面も有しています。大学・研究所・病院の枠を外し会員が一丸となることによって、他分野の研究者ではなく病理医だからこそ見えてくる革新的医療への扉があるはずです。こうした病理学の潜在的可能性を探索すべく、今回の総会のテーマは‘病理学・病理診断業務からみえる難病克服への扉’といたしました。疾患の難治性克服のため病理学研究が向かうべき方向性とともに、新たな技術や機器が導入される次世代医療において病理医が果たすべき役割についても模索する場となればと考えております。

本総会では、上記のテーマに集束する形でシンポジウムとワークショップを企画いたしました。宿題報告として、金井 弥栄 先生(慶應義塾大学)、田中 伸哉 先生(北海道大学)、下川 功 先生(長崎大学)に、研究の集大成をご紹介いただきます。例年の通り、系統的病理診断講習会、臓器別病理診断講習会、分子病理診断講習会、剖検講習会も開催いたします。国際交流企画はついては、COVID-19感染拡大のため3年間現地開催ができておりませんでした。本総会は日独交流プログラムの年に当たっており、状況をみつつではありますが一堂に会する形で開催する予定です。将来の病理学・病理診断業務の担い手となる学部学生の参加するセッションも企画されております。また、会員、特に若手会員への良きメッセージとなればと思い、新たな研究領域を切り拓き牽引されてきた研究者の生き様を拝聴する機会を、特別講演として設けさせていただきます。COVID-19感染拡大の影響で、多くの学会がハイブリッド形式(オンサイトとオンデマンド配信)で開催され、オンデマンド配信の有する利点が知られるところとなり、これからの学会開催の方向付けがなされました。本総会については、一般演題(口演、ポスター)を含め学術的ディスカッションが必要なセッションはオンサイト、講習会はオンデマンド配信としたハイブリッド形式での開催といたします。

山口県は明治維新を先導した多くの若者を輩出した土地であり、その象徴ともいえる場が松下村塾です。吉田松陰先生は海を渡る志半ばで人生を終えましたが、松下村塾において身分の低い若者にも分け隔てなく教育の機会を与え、俊英を育て新たな日本を築き上げました。志さえあれば、小さな私塾でも歴史を変えられることを示されました。私ども小さな講座が主催させていただく本総会が、若手会員をはじめ病理学の道を選択した全ての会員が熱く語り合い、病理学・病理診断業務に新たな風を吹き込む場となれば、この上なく幸いに存じます。

令和4年5月

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