会長挨拶

この度、第34回東北救急医学会総会・学術集会(第30回日本救急医学会東北地方会)の会長を拝命し、同会を2020年6月13日(土)、15年前の中越地震の被災地、新潟県長岡市で開催させていただく運びとなりました。

近年、「医療の崩壊」という言葉をよく聞くようになっています。医師や看護師の過重労働、年々増加する救急搬送などの全国的な問題の他にも、地方においてより顕著となっている医師や医療機関の偏在などの問題があります。救急医療の分野においても同様に、その存続が厳しい状況となっております。

そこで今回のテーマは、「地方の救急医療の存続を考える」としました。例年掲げられている前向きなメインテーマに比べ、やや重いものとなっていますが、救急医療をとりまく状況や対策を考えていく場にしたいと考えております。

基調講演を、日本病院会会長で、社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長の相澤孝夫先生にお願い致しました。相澤先生は、一人一人の「救急」に寄り添い、安心して暮らせる地域のためにと「相澤ER」を稼動させるなど、救急医療や地域医療について長年尽力されてこられており、そのご経験・ご見識から、私たちにとって有意義なお話をいただけると期待しております。また、国の立場から、厚生労働省としての今後の見通しなどについての講演を、更に、医療と病院前救急それぞれの立場から、各県の状況や活動などを話し合うシンポジウムを予定しています。

サブテーマでは、「移植医療」についても取り上げます。富山大学小児科の種市尋宙先生にご講演いただき、市民公開講座もあわせて開催する予定です。種市先生は6歳未満で本邦初の脳死下臓器提供事例を主治医として経験され、以来ずっと推進活動を継続してご活躍されておられます。移植医療への救急・集中治療医の関わりの重要性などについてお話しいただく予定です。

また、例年通り幅広い一般演題についても募集いたします。今回の台風19号による被災地の活動報告や、皆様の日頃の救急・医療活動を通じての経験や知識について実りのある交流を期待しております。

会場の近くには中越地震についての長岡震災アーカイブセンター「きおくみらい」などもございます。また、越後長岡の食とお酒についても堪能いただけるようスタッフ一同知恵を絞っておりますので、是非当地に足をお運び下さい。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第34回東北救急医学会総会・学術集会
(第30回日本救急医学会東北地方会)
会長 江部 克也
日本赤十字社 長岡赤十字病院 救命救急センター センター長

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