第22回日本組織移植学会総会・学術集会

会長挨拶

会長 横田裕行
第22回日本組織移植学会総会・学術集会
会長 横田 裕行
(日本体育大学大学院保健医療学研究科長、教授)

この度、私は2024年8月17日(土)、18日(日)に以前に勤務をしていた日本医科大学教育棟で「第22回日本組織移植学会学術集会」をお世話させていただくことになりました。このような私が、第22回学術集会・総会をお世話させていただきますことは、大変光栄であるとともに、大きな責任を感じているところです。また、副会長は日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野、同高度救命救急センター長の横堀將司教授にお願いをしました。

救急医学に身を置く私にとって移植医療、特に臓器移植では提供側に位置することが多いのですが、組織移植に関しては、例えば広範囲熱傷患者さんの治療の際にスキンバンクから植皮のための皮膚を頂いたり、スキンバンクの輪番制でドナーが発生した際に採皮に携わることも経験するなど移植側の立場として活動する機会もありました。すなわち、救急医にとって組織移植は提供側の立場であったり、時に移植側の立場となり、両者の重要性や課題を認識する機会に遭遇することは稀ではありません。

そのような背景もあり、今回の学術集会のテーマは『連携 ~想いを繋ぐ~』とさせていただきました。移植医療は組織や臓器を提供していただく患者さん、患者さん家族の尊い意思とその想いを、移植を希望する患者さんに繋げるために様々な「連携」体制が必要です。それは、提供側医療施設から移植側医療施設への連携だけでなく、時に臓器移植ネットワーク、行政、警察、交通機関などの連携も必要となる場合もあります。提供側医療機関だけを考えても主治医、受け持ち看護師、院内コーディネーター等々の様々な医療スタッフの連携が必要であり、組織移植コーディネーターとの連携も必須となります。さらに、移植医療においては患者家族の意思決定支援を目的に、厚生労働省研究班と日本臨床救急医学会が中心となって養成し、2022年4月から診療報酬が算定できるようになった入院時重症患者対応メディエーターの役割が注目されています。特に、救命が困難となった患者家族へのケアや意思決定支援の中で、組織や臓器を提供したいという患者さん、その家族の潜在的意思を入院時重症患者対応メディエーターの介入によって主治医や受け持ち看護師と共有し、その想いを実現する機会が増えることが期待されています。そのような意味で、今回の学術集会では入院時重症患者対応メディエーターと組織移植の関わりについて、特に連携というキーワードでシンポジウム等の企画を考えております。

一方、組織と臓器を提供いただく際には、患者さん側にはそれぞれ別個の組織から様々な説明や同意書を記載しなければならず、結果として患者さんの家族に大きな負担を強いているのが現状です。今後、例えば組織移植コーディネーターや日本臓器移植ネットワークコーディネーターがより一層連携を図ることで、このような患者さん側の負担が軽減されるべきと考えており、そのような視点からの議論も必要と考えています。

これらの企画のほかにも、多数の演題を積極的に応募いただき、活発な意見が展開できるように、そして組織移植がさらに発展するための学術集会を提供したいと考えてまいります。つきましては、本学術集会が大きな成果を生むことができますよう、是非ともご支援を承りたくお願い申し上げますとともに、多くの演題と一人でも多くの方のご参加をお願い申し上げます。

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