第6回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会

会長挨拶

第6回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会
開催のご挨拶

会長:土井 庄三郎

第6回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会
会長 土井 庄三郎
(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 院長)

この度、第6回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会会長を務めさせていただきます。

本学会は、我が国における肺高血圧・肺循環領域の基礎と臨床の全てを牽引する唯一の学会です。多領域にまたがる診療科(基礎~臨床、内科~外科、小児~成人)の医師だけでなく、看護師、薬剤師や臨床工学士など幅広く多職種のコメディカルも参画する、名実ともにオール・ジャパンの学会です。

今回の学術集会は、学会の存在価値を更に高める目的で、26年という長い歴史を持ち、私が代表幹事である日本小児肺循環研究会と、2019年に発足したEast Asian Society of Pulmonary Hypertension(EASOPH)の合同開催と致しました。2022年からは成人領域と小児領域の融合を図る予定としています。本学術集会の副会長兼プログラム委員として、循環器内科の片岡雅晴先生、呼吸器内科の守尾嘉晃先生、膠原病内科の安岡秀剛先生の3名の先生方を推挙させていただきました。また事務局代表兼プログラム委員を、私の母校東京医科歯科大学小児科の細川 奨先生にお願いしました。第27回日本小児肺循環研究会会長兼プログラム委員である山岸敬幸先生とは共に、今回初めてとなる合同開催を成功裏に導き、学術集会のテーマである「シームレスな多診療科の融合-小児~成人、基礎~臨床、日本~海外-」を実現していきたいと考えています。Pandemic COVID-19により第2回EASOPHの北京開催が延期となりましたので、今回は第2回EASOPHを日本で同時開催することになります。

私の専門領域であります小児循環器領域においては、「肺高血圧・肺循環」は昔から大きな1つの領域と認識され、殆ど全ての小児循環器医師が診療面では関わって参りました。出生直後の生理的肺高血圧、先天性心疾患に合併したEisenmenger症候群や肺の発育障害に伴う肺高血圧など、他にも様々な病態が混在しています。また複雑心奇形の術後であるFontan circulationは、肺循環領域ではまだまだ不明のことが多くあります。私が本格的に「肺高血圧・肺循環」領域の研究と臨床を始めた1994年は、まだ原発性肺高血圧という病名で多くの患児が亡くなっており、そのことを契機に大学に戻り研究を始め、1995年から3年間米国に留学しました。まさに「肺高血圧領域の暁」ともいうべき時代だった様に思います。帰国後に静注PGI2製剤がわが国でも認可され、2005年からは経口標的治療薬のラッシュとなりました。重症肺高血圧の予後がここまで改善する時代がやってくるとは、研究を始めた当初は夢にも思いませんでした。

そうは言っても全ての重症児が完治に至ることは不可能で、更なる予後改善には発症後可及的速やかに、専門施設における診断と治療を実現させることが必須で、そのような取り組みが喫緊の課題です。製薬企業、医療機器そして医療に携わる全ての人々とともに、我が国の「肺高血圧・肺循環」領域の医療を更に発展させ、世界に発信していきたいと考えます。

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