APFSRM2020 第5回アジア太平洋マイクロサージャリー学会 / 第47回日本マイクロサージャリー学会学術集会

ご挨拶

第47回日本マイクロサージャリー学会学術集会会長
JA山口厚生連 小郡第一総合病院 整形外科
服部 泰典

服部 泰典

第47回日本マイクロサージャリー学会学術集会を、2020年11月20日(金)〜 21日(土)の2日間、北九州国際会議場において開催させていただきます。本学術集会を山口大学整形外科出身者が主催するのは、第17回(1990年)の土井一輝先生、第39回(2012年)の酒井和裕先生に次いで3回目となります。私は1991年に山口大学を卒業し、その当時山口大学で活躍されていた土井先生、酒井先生や伊原公一郎先生の鮮やかなマイクロサージャリーの手術に憧れて山口大学整形外科に入局しました。1995年からJA山口厚生連小郡第一総合病院に勤務し、土井先生のもとでマイクロサージャリーの研鑽を積んでいます。大学卒業後満30年の記念すべき年に本学術集会を開催させていただくことができ、まことに感慨深いものがあります。

日本マイクロサージャリー学会は、多くの先達の偉大な業績により世界のマイクロサージャリーを牽引し続けており、2023年には節目となる50周年を迎えます。最近では、穿通枝皮弁、リンパ管静脈吻合術などの新たな領域も普及してきている一方、マイクロサージャリーに興味を持つ若い医師が減少し、本学会の会員数が伸び悩んでいるという課題を抱えています。学会テーマは、“Pioneering the Future of Microsurgery(マイクロサージャリーの未来を切り拓く)” とさせていただきました。先達の偉大な業績を振り返るとともに、本学会の将来を担う若いマイクロサージャンがその未来について深く議論する場になればという想いが込められています。

本来であれば、本学術集会は第5回アジア太平洋マイクロサージャリー学会(5thAPFSRM)との合同学術集会となる予定でした。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大のために、5thAPFSRMは2021年に延期され第48回日本マイクロサージャリー学会学術集会(会長:筑波大学形成外科関堂充先生)との合同学術集会となります。新型コロナウィルスと人類の戦いはまだ続くと思われますが、これからの学会のあり方、開催方法にも変革が必要とされています。2020年に国内で開催予定となっていた多くの学会が中止や延期、Web開催などに変更となりました。このような状況の中、新型コロナウィルスの感染拡大状況、本学術集会の特徴と規模、同時期に行われる他学会の開催方法などを慎重に理事会で検討した結果、本学術集会は予定通りに小倉で開催することになりました。ただし、現地参加できない会員の方々のために、オンデマンド配信なども行うハイブリッド形式での開催とさせていただきました。

新型コロナウィルスの感染の終息が見えない状況において、演題が集まるのか大変不安ではありましたが、シンポジウム、パネルディスカッション、一般演題等を合わせて約250題となりました。例年よりは少なくなっていますが、今年の特殊な状況の中では十分な数の演題が集まり、充実したプログラムを組むことができました。この場をお借りして、会員の皆様方のご協力に厚く御礼申し上げます。特別講演は、学会テーマ講演“Pioneering the Future of Microsurgery”として土井一輝先生と光嶋勲先生にお願いしています。WSRMのPresidentも務められた日本マイクロサージャリー学会が誇るお二人の先生に、マイクロサージャリーの未来を切り開くための方策を伝えていただければと考えています。シンポジウム、パネルディスカッションはそれぞれ4つのテーマを予定しています。この中でも、日本マイクロサージャリー学会で初めて取り上げるテーマとして、“マイクロサージャリーの海外臨床留学の勧め”というパネルディスカッションを企画しました。最近では、日本人全体の内向き志向のため、海外への留学者が減っていると言われています。私自身は約20年前に台湾のChang Gung Memorial Hospitalでclinical fellowとして1年間過ごしましたが、異なるバックグランドを持つ外国人と一緒に働いた経験はその後の臨床医としての人生に大きな影響を与えました。“Pioneering the Future of Microsurgery”のためには、若い時の海外での苦労も大切と思います。このパネルディスカッションが若い先生の海外留学を志すきっかけになれば望外の喜びです。

特別企画として“スーパーマイクロサージャリー血管吻合コンテスト”を開催します。血管吻合コンテストは日本マイクロサージャリー学会の初の試みですが、当初の予想を大きく上回る12チーム24名の参加者がエントリーしています。マイクロサージャリーの初心者にとっては、エキスパートの血管吻合の技を見学する絶好の機会になります。また、参加する会員にとっても、その技術を第3者に評価してもらうことにより、さらなる技術のレベルアップにつながります。また、“リンパ浮腫セミナー”として11月21日(土)に1つの会場を終日にわたりリンパ浮腫治療のための研鑽の場として設けることにしました。日本マイクロサージャリー学会の会員ではない看護師、理学療法士などの方々にも、最新のリンパ浮腫の外科的治療の現況を知っていただくために参加できるようにしています。教育講演、シンポジウムなどの他に圧迫療法の基礎を学ぶためのハンズオンセミナーも開催する予定です。ハンズオンセミナーでは、手術を実際に行っているマイクロサージャンに圧迫療法の重要性を学んでいただく機会になればと考えています。

新型コロナウィルス禍を前向きな気持ちで捉え、日本マイクロサージャリー学会のさらなる発展のきっかけとなる学術集会が開催できるように準備を行っています。ソーシャルディスタンスを保ち3密の予防に配慮した会場のレイアウトや動線を計画しています。密になる環境を避けるために、例年よりも多くの会場を使用して参加者が分散するようにしました。参加者が集中するランチョンセミナーなどの前後は時間的に余裕のあるプログラムにしました。学会参加登録は、当日登録の混雑を避けるためにホームページからの事前登録が可能としました。また、懇親会など多くの人が会食する催しは開催しません。このように例年とは大きく異なった学会運営になりますが、ご理解のほどお願いいたします。

開催地の小倉は古き良き日本の文化と最先端のロボット技術を持ち合わせた新旧の魅力が息づく街であり、九州各地や山口県などへのアクセスも便利な都市です。紅葉と美味しい地元の料理とともに、晩秋の連休をお楽しみいただけたら幸いに存じます。オンラインでもモニター画面越しの“face to face”のコミュニケーションが可能かもしれません。しかし、究極の職人技であるマイクロサージャリーには“in person”でしか伝えられない極意があります。11月に多くの会員の皆様方と小倉で“直接”お会いできることを願っています。

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