第37回日本小児臨床アレルギー学会

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司会: 橋本 光司(ときわ台はしもと小児科アレルギー科)
川上 一恵(かずえキッズクリニック)

子どもの喘息を治すには

吉田 幸一(東京都立小児総合医療センター アレルギー科)

アトピー性皮膚炎の治療と生活上の予防の仕方

佐藤 佐由里(山王病院 皮膚科)

食物アレルギーの最新の知識

只木 弘美(国立病院機構横浜医療センター 小児科)

栄養士からのアドバイス

長谷川 実穂(昭和大学医学部 小児科学講座)

Q & A

参加者の皆様からいただいた、一部の質問事項に演者が回答しております。(6月28日更新)

Q1.
アトピーと腸内環境は関わりがあると聞いた事があるのですが、医学的な根拠はありますか。(質問者:東京都/40代)
A1.
腸内細菌の研究は近年プロバイオティクスと呼ばれ、盛んにおこなわれています。免疫細胞の動きが腸内細菌の状態による変化するところまでわかっているようですが、アトピー性皮膚炎については、まとまったデータはまだ出ていません。ただ、「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎のガイドライン」にはプロバイオティクスの研究の成果が今後アトピー性皮膚炎の病気の解明や治療につながる可能性があることははっきり書かれていますので、今後の研究に期待したいです。
Q2.
アトピー性皮膚炎だが、思春期でニキビがある。どのように治療したらいいか。スキンケアもニキビ用だと乾燥しそうです。スキンケアも教えて下さい。(質問者:大阪府/50代)
A2.
アトピー性皮膚炎でにきびも出てきた場合、治療はどちらにウエイトを置くかという問題があります。にきびの症状の状態で治療法は変わります。炎症が強いときは短期間抗生物質の内服薬で炎症を抑えます。毛穴が詰まった白いにきびが増えた場合は、皮脂を少なくして、広がった毛穴を小さくできる外用剤がありますので、2~3か月刺激が出ないように使っていくとにきびができにくい状態になってきます。
塗り薬については、ステロイド剤やタクロリムス軟膏はにきびの炎症を悪化させることがあるので、炎症の強いにきびには塗らない、軟膏のついた手でにきびを触らない注意も必要です。

思春期のにきびには通常にきび用あるいはオイリースキン用のスキンケア製品がありますが、アトピー性皮膚炎のある方が使うと、皮膚炎や乾燥が悪化することがあります。基本的には、敏感肌用のスキンケア製品を使ってください。朝石鹸洗顔する習慣がない場合は朝も低刺激性の石鹸でにきびの集中した部分をやさしく洗顔し、保湿してもらうようにしています。

思春期のにきびは生活習慣も大事で、試験勉強などで、寝不足になると色々注意していても、にきびはひどくなってしまいがちなので、試験が終わったら規則正しい生活に戻しましょう。

Q3.
現在協和キリンがアトピーの薬を開発中ですが、有望な治療薬の最新情報を教えて下さい。(質問者:東京都/30代)
A3.
アトピー性皮膚炎の治療は数年前よりめざましく進歩しましたが、小児用にまではなっていません。
成人あるいは16歳以上、18歳以上の治療が主体ですが、今後小児にも使える治療法が出てくるものと考えます。
ただ、内服薬や注射薬は効果は高いけれど、高額だったり、使用前に全身の検査が必要だったりするものもあり、重症な患者さん向けになる可能性があります。

主なものは

2018年 デュピルマブ (注射薬)抗IL-4α受容体抗体
2020年 デルゴシチニブ(軟膏)JAK阻害剤:こちらは重症でなくても使用可能です。
バリシチニブ(内服薬)JAK阻害剤
2021年? アブロシチニブ、ウパダシチニブ JAK阻害剤
現在試験中 トラロキヌマブ 抗IL-13抗体
ネモリズマブ  抗IL-31抗体
Q4.
子供のアトピー性皮膚炎が薬を使ってもなかなか良くなりません。薬が合っていないのでしょうか?毎晩身体が暖まると痒い痒いとかきむしってしまいます。(質問者:東京都/40代)
A4.
子供は大人と違って掻くのをがまんできません。
かきむしってしまう場合は塗り薬だけに限らず、内服薬も併用して、夜間掻かないようにすると、回復が早くなります。
薬をぬっても良くならない原因はいくつかあります。
1)塗る量と回数が少なく、期待できる効果が出ていない。
2)塗り薬の効果の強さを上回るほど湿疹の状態は重症。
3)湿疹の上に細菌感染による膿痂疹や、単純ヘルペスなど、感染症を合併している。
4)スキンケア製品や塗り薬にかぶれて、逆に刺激による皮膚炎が重なっている。
など考えられますので、治りが悪い場合は主治医先生を受診してください。
Q5.
新生児時期からの保湿が重要という情報は浸透してきたと思うのですが、実際保湿剤を使用する時に何を使用したら良いか迷います。
保湿剤を選ぶにあたっての時期や赤ちゃんや親の特徴、また市販されているもので使うと良いもの良くないもの(商品名を言えれば知りたいですが、難しければ見るといい成分などのポイントなど)が知れると嬉しいです。(質問者:東京都/20代)
A5.
様々な保湿剤が病院薬あるいは市販で出ています。合っていれば市販のものでも、かまいません。
赤ちゃんのうちは皮膚が薄いので、ワセリンなど、刺激が少なく保護する効果の高いものがおすすめです。
近年、クリーム・ローション・フォームなどいろいろな形態で塗りやすくなった保湿剤があります。
成長とともにべたつくのをいやがるお子さんもいますので、このようなものが使いやすいかと思います。
ただ、ヘパリン類似物質含有の保湿剤は顔などもともと皮膚も薄い部分や湿疹の上に塗ると血行促進作用のため、かゆがるお子さんもいますので、注意が必要です。また、尿素含有保湿剤もこのような部位に塗ると、尿素の刺激でぴりぴりしたり違和感が出るので、こちらも注意しましょう。
Q6.
こどもの喘息治療は、どのくらい継続すると良いですか。
A6.
喘息の本体は気管支粘膜に生じている炎症(アレルギーを引き起こす物質が活動的になっている状態)と考えられます。炎症が出来上がるとすぐに消えません。症状が改善しても長期的に持続することがあります。炎症は血液検査では評価できません。3か月、6か月単位で経過を見ながら治療の方針を立てることが大事です。
Q7.
小児科によって治療期間が異なるのですが成人の喘息に移行しないようにするにはどのような治療をするのが良いのでしょうか。
A7.
Q6にて回答した通りです。経過を見ながら状態を評価することが望まれます。小学校5,6年生になっても症状を起こす喘息児の炎症は残っていると思われます。この炎症が消えないと喘息は治りません。コントロールできないときには炎症を抑えるような吸入ステロイドの使用が必要です。炎症が消えることが治ることと考えてください。
Q8.
風邪のひきやすい時期3か月のみLTRAや1年〜3年内服するケース、こどもは内服しない方がいいからと症状が軽快すると内服しないケースなど様々ですが、最近の治療のスタンダードは、いかがでしょうか。
A8.
Q6、7で回答した通りです。症状が消えても炎症は持続します。その時の症状だけでなく、経過をみながら炎症の状態を考えながら治療することが望まれます。
Q9.
アレルギー専門の先生が実際に行っているご対応、一般的な治療方針を伺いたいです。
息子(6歳)は重度知的障害・重度自閉症・中程度ADHDの診断を受けております。喘息、花粉症、ハウスダスト、犬猫アレルギーがありどれも軽くはありません。通年で乾燥肌がひどく、皮膚科に通っては保湿剤を処方していただき塗っております。
口内のひどい感覚過敏があり、薬の服用には文字通り苦戦の日々です。
食事療法を試したいとは思うものの、365日3食同じものばかり食べる偏食の我が子には、そんなもの通用しません。現在はかかりつけの小児内科でお薬を処方していただいております。
食事にしろ薬にしろ、やはり何年何十年と年月を掛けて慣れさせる他ないのでしょうか?今は本人がパニックを起こさないことを優先に、かかりつけの小児科へ通っていますが、何かあった時のために早めにアレルギー科を受診するべきだと思われますか?
何卒宜しくお願い致します。
A9.
本人の苦痛を伴うことは避けたほうが良いのですが、喘息は重くなると入院が必要になる病気です。これだけは悪くならないようにしたほうが良いと考えます。症状が落ち着かなけれモーターの吸入器で吸入ステロイドの使用はしたほうが良いと思います。嫌がるのであれば薬が無くならなくても5分でも良いからしましょう。喘息発作で苦しくなるほうがつらいですから。かかりつけの先生とアレルギーの専門病院で連携があれば心配はないと思います。
Q10.
アレルギー負荷を自宅で行う際、仕事と学校の都合で夕食になってしまいます。
アナフィラキシーを起こした歴があり、なかなか量を増やせません。
A10.
確実に大丈夫な量を把握していれば、夜に食べさせるでもよいと思います。体調不良の時は避けましょう。負荷というのは今まで食べている以上の量を食べるということでしょうか?増やす場合は夜は適当ではありません。同じ量でも良いので継続が大事です。長期の休みの時に病院で負荷試験が望ましいと思います。
Q11.
スギ花粉の減感作療法は保険がきく。と聞いてますが、注射でも舌下でも適用なのでしょうか?他の花粉やアレルゲンに対しても、保険がきく減感作療法はあるのでしょうか?また減感作療法は注射は約半年、舌下の場合は、2年とか3年もかかると聞いてますが、そうなんでしょうか?
A11.
注射でも舌下でも保険適応はあります。舌下はスギとダニだけですが、注射用ではブタクサ、ハウスダスト、真菌、そば粉などもあります。治療効果は免疫的な反応が徐々に弱くなるので、個人差はあると思いますが数か月から2,3年はかかります。
Q12.
ナッツアレルギーは、卵他のアレルギーのように、将来的に改善できるものなのか。
A12.
最近は少量から始め、食べ続けることでピーナッツでの経口免疫療法の効果は報告され始めました。
Q13.
学校での対応について、二者択一の完全除去が望ましいことはわかるが、実態として、非加熱と加熱で対応を分ける方が実態にあっているという現場が圧倒的に多くマニュアル作成に困っています。生の果物は除去するが缶詰は提供する、飲用牛乳は除去するが料理に牛乳を使用したものは提供するといった対応についてはどう思われるでしょうか。
A13.
基本的な対応は文部科学省の作成した食物アレルギー対応指針に沿って行われます。集団の中では確実にリスクのない対応が望まれます。しかし、現場の判断、特に栄養士に任される部分は残されます。栄養士によって、患児によって、学校によって多少の対応の違いはあります。
Q14.
学童期の鶏卵の消化管アレルギーの治療アプローチに関しての情報が知りたいです。
A14.
乳児期に始まったものと学童になり始まったものはかなり異なります。乳児期発症であれば多くは治ります。学童期発症であれば、どのようなタイプかを評価する必要があります。除去して問題なければ除去継続します。治るか治らないかは定期的に負荷試験を行い繰り返し評価します。学童期の特に症状が持続するタイプは専門病院に通院する必要があります。
Q15.
小学生低学年の娘が花粉症からくる食物アレルギーのようです。ずっと続くものなのでしょうか?
A15.
このタイプは治らないかもしれません。しかし、症状は口内違和感、かゆみ程度のことが中心です。気にならないレベルであれば摂取して差支えないでしょうし、加熱したものは大丈夫なことがほとんどです。
Q16.
小児喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーがある子供にとって、新型コロナウイルス感染症にかかってしまった時のリスクは他と比べて違いはあるのでしょうか。
また、このようなアレルギー体質の子供にとって、新型コロナワクチンの接種をするかどうかを判断するときに、何か留意した方がよいことはありますか。
A16.
基本的にはアレルギー疾患は新型コロナのリスクにはならないようです。喘息があると悪くならないことは世界的な疫学調査で分かりました。しかし、コントロールの悪い状態が良いとは思えません。十分にコントロールしましょう。可能であればワクチン接種はしてほしいと思います。多くの薬にアレルギーがある場合は躊躇するかもしれませんが、そのようなことがなければ、条件は一緒です。
Q17.
新生児時期からの保湿が重要という情報は浸透してきたと思うのですが、実際保湿剤を使用する時に何を使用したら良いか迷います。
保湿剤を選ぶにあたっての時期や赤ちゃんや親の特徴、また市販されているもので使うと良いもの良くないもの(商品名を言えれば知りたいですが、難しければ見るといい成分などのポイントなど)が知れると嬉しいです。
A17.
使い心地の良いものであれば良いと思います。病院ではヘパリン類似物質が中心です。保湿剤ではありませんがワセリンや亜鉛華軟膏などは皮膚を保護する上で効果的です。使って印象の悪いものは止めましょう。ドラッグストアで販売されていても、良いものは多く、使い心地は人それぞれです。どういうコンセプトで作られたか、開発者の姿勢も重要かもしれません。市販薬でMCキトサン配合薬、セラミド3配合薬も良さそうです。
Q18.
成長と共に寛解しない食物アレルギーにも、治療のひとつとして減感作療法は検討できるでしょうか?
A18.
効果は100%ではありません。しかし、食べることで治っていくエビデンスは増えています。10歳を過ぎる前に始めると良いと考えます。
Q19.
赤ちゃんの、消化管アレルギーについて詳しく聞きたいです
A19.
多くは牛乳タンパクが原因です。タイプはいくつかありますが多くは1歳半程度で治ります。最近は鶏卵、特に卵黄によるものが増えている傾向です。
Q20.
乳アレルギーは大きくなっても治りにくいと聞いたのですが、本当ですか?
A20.
鶏卵、小麦より厄介なことが多いのは事実です。しかし、みんな重いわけではありません。10歳過ぎれば90%以上は治ります。
Q21.
野菜と喘息の緩和効果についてこの野菜は良い!というアドバイスがあったら是非教えてください
A21.
直接的な効果というより、野菜を多く摂る人の生活習慣を反映しているということではないでしょうか。
Q22.
アレルギーになってしまう原因を知りたいです。
A22.
体質があると起きやすいのです。そこにきっかけが加わりスイッチが入るのですが、乳児湿疹や皮膚の乾燥から刺激が加わりアレルギーを起こそうとする物質が増えてきます。その後ダニなどに対する反応が進むようです。逆にエンドトキシンという物質が体に先に侵入するとアレルギーを起こしにくくなったりします。ここでは詳しく説明できませんが、10年単位で新しいことがわかってきています。
Q23.
小さい頃発症した喘息などは、いつ頃改善されるのか知りたいです。
A23.
Q6、7、8で回答した通りです。コントロール用状態を続けることで炎症は消えていきます。消えないときに大人に持ち越す可能性が高くなります。
Q24.
食物アレルギー対応解除の基準が知りたいです。(卵の場合、どのくらい食べられればよいのか。生卵が大丈夫になるまで解除にならないのか?)
A24.
学校給食では基本的には文部科学省他で作成の「食物アレルギー対応指針」に従っています。これは〇か×の対応であり、鶏卵であれば1個摂取可能でなければ除去となります。リスクを排除する対応です。給食では生は使用しないので加熱卵1個食べることができれば給食は提供されます。牛乳は200ml、小麦は主食として対応できる量が大丈夫か否かということです。
Q25.
花粉症を治したい。
A25.
スギ花粉症であれば、舌下免疫療法、皮下免疫療法で日常生活に支障ない状態にすることができます。
Q26.
小児アトピー性皮膚炎について、いつまでたっても痒みから解放されず、子ども本人に相当ストレスがかかっているのを日々感じててもどうすることもできない。少し良くなり、悪くなりを繰り返し、本人の治ってほしいを叶えてあげるにはどうしたらいいのか、何か答えが欲しいです。
A26.
アレルギー専門病院を受診してください。時に小児アレルギーエデュケーターのいる病院が良いと考えます。外用薬の塗り方で症状は大きく変わります。
Q27.
娘は、ハウスダストアレルギー、ダニアレルギー、スギ花粉のアレルギーがあり、スギ花粉の季節にアレルギー性鼻炎になります。娘が、ペットを飼いたいと言うので、血液検査の結果で娘のアレルギー反応が出なかった動物(ハムスター、うさぎ)を飼おうと思っているのですが、ダニなどが増えるかと思うので、症状が酷くならないか心配です。家の掃除と食事に気をつけていれば、ペットを飼っても大丈夫でしょうか?
A27.
喘息やアトピー性皮膚炎が十分に良くないときはお勧めしません。
Q28.
今13歳の子供が卵とナッツ類のアレルギーなのですが、卵は今からでも少しずつ食べるようにすれば食べれるようになりますか?
A28.
10歳を過ぎると食べ物に対する慣れは起きにくなります。アレルギー専門医の受診をお勧めします。
Q29.
3歳前から現10歳まで 毎晩キプレス、アレジオンを服用していますが、将来的に健康への影響はないものなのでしょうか。
A29.
心配はありません。アレジオンは妊娠中は避ける薬ですが、それ以外は問題ないと思われます。
Q30.
4歳の娘が喘息と診断されています。母であるわたしは軽度のアトピー性皮膚炎です。特に娘のために、部屋の掃除や寝具の洗濯など、環境を改善したいと思っています。科学的根拠のある環境改善の方法をまとめて記載した本や資料がありましたらタイトルを教えていただければありがたいです。
A30.
本ではありませんが、webサイト2件紹介します。おなじみのダスキンは日本で掃除のノウハウが最もわかっている企業です。研究所ではかなり専門性が高い研究をフィードバックしています。環境アレルゲンinfo and careは環境とアレルギー、呼吸器疾患の関連を研究しています。
ダスキン開発研究所 https://www.duskin.co.jp/rd/laboratory/feature/Allergy/dap01/,
環境アレルゲンinfo and care株式会社 http://www.eaic.jp/column/10153004.html
Q31.
5歳の牛乳アレルギー クラス3の子を持つ母です。牛乳を現在、7cc摂取して減感作療法を継続しています。
言い訳になるかもしれませんが、フルタイム勤務で子供が3人おりワンオペ育児中で、中々、毎日牛乳を与える事が難しい時もあり、週1〜2回になってしまう時もあります。
やはり、毎日摂取するのと、週数回摂取するのでは、アレルギーの改善に違いがあるのでしょうか。最低でも週何回あげるほうが良いのでしょうか。
A31.
お母さんの無理がない範囲でよいですよ。できれば2回以上で。毎日与えて親子でストレスほど悪いことはありませんから。
Q32.
以前に神奈川で乳の自宅負荷中に低酸素脳症となってしまったお子さんのその後や、家庭での注意を知りたいです。
A32.
神奈川のことは存じておりません。 注意点です。経口免疫療法として、毎日少しずつ食べ進めると牛乳1mlしか飲めなかったのが、100mlまで飲めるようになります。しかし、風邪ひいたり、体調不良のため2週間以上中断してしまうことがあります。このようなときに中断する前と同じ量を飲むと再び症状が起きる場合があります。これは見せかけの改善だったということです。繰り返し摂取することで、アレルギーを起こす物質が増えなくなり、中断すると元に戻ってしまうのです。これは珍しいことではなく、人によっては、本当に食べて大丈夫な状態かどうかを確認する必要もあります。
Q33.
一度アレルギー反応を起こしたら、その抗原に対しての反応が弱まることはないのでしょうか?
アレルギー反応を起こすような抗体が作られないようにするためにどんなことに気をつけたら良いですか?特に乳幼児期において、予防出来ることがあれば知りたいです。
A33.
子どものアレルギーは反応は弱くなることが多いのです。特に食物に対する反応は多くの人で消えていきます。発症していないのであれば、心配しすぎないでください。予防はあまり心配せず、無駄な除去食をしないことです。皮膚の状態は良くするに越したことはありません。乾燥、湿疹があり皮膚が傷んでいると、そこを間口に刺激が侵入しアレルギーを起こしやすい免疫状態になることが分かってきました。
Q34.
運動誘発性の消化管アレルギーについて。
診断のしかたなど、どういう時に考える必要が、あるかなど。
A34.
特定の食べ物を食べた後に運動し、皮膚の症状、喘息の症状などのアレルギー症状が起きる状態を食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼びます。症状を起こしたときの状況が重要です。
Q35.
鶏卵による消化管アレルギーは、自然治癒することも多いとネットでは見る。実際は、どのような経過をたどり治療、治癒していくのかを沢山の子どもたちをみている専門の先生からお聞きしたい。
A35.
印象でお話しします。この2年ほどでかなり増えているように思います。卵黄摂取後の嘔吐が主症状であることが多いようです。普通の即時型というタイプとは異なり、通常は除去し半年~1年の経過で負荷試験を行います。私の患者さんでは3歳まで症状が続く子はあまりいません。あまり心配はしなくても良いと思いますが、専門医受診をお勧めします。
Q36.
生後7ヶ月の子の離乳食を進めているが、米以外食べない(一口食べて出してしまう)ため、アレルギーがあるかどうか判断できず困っています。
アレルギーになりやすい食材の適切な食べさせ方や、時期などがあれば教えて欲しいです。(可能ならば食べない子へのアプローチなどもアドバイスがあればお願いします)
A36.
米以外食べない子は結構いると思います。予防的には心配で食べさせないことを避け、早くから少しずつ食べることが予防になると考えられます。かかりつけ医に相談することをお勧めします。
Q37.
息子10歳
薬の正しい塗り方を改めて知りたいです(保湿後ひどい所だけステロイドのボアラをピンポイントで塗って、うっすら出でいる所も薄く塗っています、指膝から下はマイザーを塗っています)
保湿だけの日はほとんどありません。4歳の頃からダラダラ塗り続けています。
食物アレルギーもあります。「卵、ナッツ、魚卵)※私も幼い時からアトピーです。今は酷くなってステロイド、プロトピックを塗っています。
A37.
とにかくしっかり塗ることです。薄くではなくたっぷりです。昔は基準がありませんでした。今は人差し指の第一関節分の量を手のひら2つ分に塗ることが推奨されています。良くなってもやめないで、1日おき、2日おきとゆっくり抜いていきます。それは皮膚の中にある炎症を抑えるためです。炎症は見た目の状態が良くなっても残っています。炎症があれば塗るのをやめると悪くなるのです。アレルギーの専門医がいるクリニック、病院を受診してください。できればアレルギー専門看護師(小児アレルギーエデュケーター)のいる所をお勧めします。正しい外用薬の塗る方で全然変わってきます。
Q38.
乳幼児がアナフィラキシーを起こした時エピペンは使用できますか?
A38.
1歳過ぎれば処方することが増えてきます。乳児期は打つことが推奨される大腿の筋肉量が不十分、体重も少なく使用できません。
Q39.
保育園で栄養士をしています。
アトピー、鼻炎持ちで私自身は困っていますが、アレルギー食についてお話しを重点的に、最新情報など、参考になればと思っています。よろしくお願いします。
A39.
参考になったでしょうか。東京都では保育園職員向けの研修を毎年行っています。令和2年度はweb配信でした、令和3年度も実施予定です。
Q40.
離乳食を食べない時の進め方について、食物アレルギーがあっても、反応が出ない安全な量を極小量食べ続けた方が良いと聞きました。どのような手順で実行するのが適切であるか、教えて頂きたい。
A40.
専門病院を受診して進めましょう。初期摂取量を決めるのは負荷試験です。可能な量から繰り返し摂取することでその食べ物に対する免疫的な反応が弱くなることを期待します。これを経口免疫療法と言いますが、自己判断で進めるのは危険です。
Q41.
離乳食を食べない時の進め方について、食物アレルギーの疑いがある場合、受診する際にはどこに、どのような準備をして、臨むことが良いのでしょうか?
A41.
大事なことは症状が起きた時の状況、経過です。記録をつけましょう。明らかにひどい症状であれば早めに受診が望ましいと考えます。
Q42.
離乳食を食べない時の進め方について、エビ、カニで軽いアレルギー反応が出た子供を小児科で診てもらいました。治らないから除去して気を付ければ良いのでは?という感じで疾患の概念が無いような印象でした。確かに命の危険はない特性とも取れます。現在の社会的認識として食物アレルギーの疾患と体質のボーダーはどのように考えれば良いのでしょうか?日常生活に支障をきたすかどうかが判断基準と言われそうですが、家族皆同じ食事ができることを望む事は、自己診療の領域でしょうか?
A42.
アレルギーの専門医は一部です。多くは症状があれば気を付けて生活しましょうと言います。それはその通りです。しかし、子どもの食物アレルギーは治ることが多いので積極的に治す対応もあります。負荷試験を行い食べても大丈夫な量を把握します。そのうえで、大丈夫な量から食べます。

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