第25回日本災害医学会総会・学術集会
会長 中山 伸一
(兵庫県災害医療センター センター長)
謹啓 時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
この神戸・阪神間・淡路の地を阪神・淡路大震災が襲ったのは1995年。本学会は、その翌年の1996年に日本集団災害医療研究会として第1回が大阪で開催されたのを皮切りに毎年開催され、日本集団災害医学会、そして日本災害医学会と名前も変え、会員数も5,000名を越す規模に大きくなりました。阪神・淡路大震災から25年を迎える2020年、いわば第25回記念大会ともいえる学術会議を神戸の地で開催させていただく運びとなりました。
あの震災での教訓と反省をもとにわが国の災害医療体制は大きく見直しが進み、災害拠点病院やDMATに代表される変革と進歩を遂げて参りました。被災を経験した者のひとりとして、その事実を目の当たりにする時、喜びと関係者への感謝の思いで胸が熱くなるのを覚えます。
しかしながら、その一方で同時にわが国を襲う災害はその数も種類も増加の一途をたどり、まるで私たちの努力や進歩をあざ笑うかのようです。南海トラフ地震も予想されている“災害列島”に生きる私たちが、今後どう準備(Prevention & Prepardness)を進めて行くべきなのか、一度立ち止まって様々な角度から見直す時期に来ているのではないか?そんな思いから、今回の学術集会では、そのメインテーマを敢えて「これでいいのか、災害医療!」としました。わが国の災害医療対応システム自体のあり方、急性期以降の様々な医療・保健・福祉関係のチーム間や多機関におけるSeamlessな連携と協力、それらの研修・教育・訓練のあり方、災害時の情報共有、国と自治体との役割分担、サイエンスとしての災害医学の確立等など、未来へとつなげて行けるように建設的に議論すべきことはたくさんありましょう。
つきましては、今後の災害医療・災害医学の進むべき道について共に模索すべく、活発な討論を繰り広げていただきますよう、心からお願い申し上げます。
謹白