第73回西日本泌尿器科学会総会
会長 賀本 敏行
(宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座 泌尿器科学分野 教授)
第73回西日本泌尿器科学会総会の開催にあたり、ご挨拶を申し上げます。
2021年11月4日(木)から6日(土)まで、宮崎市にある宮崎観光ホテルで開催させていただきます。伝統のある本総会を担当させていただきますことは大変光栄な事であり、皆様のご支援に厚く御礼申し上げます。
本総会のテーマを「そもそもとまっとうを考える」とさせていただきました。このことについて、少し説明させていただきます。「そもそも(抑々)」は「はじまり」や「元来」という意味を持ちます。我々は日常診療において、「そもそも」そうすることが「当たり前だと思って、何気なく行っている」ことが多いのではないでしょうか。一方で、「まっとう(真っ当)」は「まとも」や「まじめ」という意味を持ちます。つまり、「まっとう」な医療とは、「患者に対して真に有益であり、医療者が常に目指すべき」医療と考えられます。我々が日常診療で行っている「そもそも」な医療は、なぜ「そもそも」と認識されるに至ったのでしょうか。またそれは、本当に「まっとう」な医療なのでしょうか。本総会では、まずはそれら「そもそも」な医療が、そう認識されるに至った「そもそも」の原因を再確認し、それが現代においても、果たして「まっとう」な医療なのか、最新のエビデンスや臨床経験を「まっとう」に集約した上で、徹底的に「考える」機会を作りたいと思い、本テーマを考案致しました。
泌尿器科診療の中で、考え得る様々な「そもそも」が、各領域に存在します。例えば「そもそもPSA高値だと前立腺生検を行う」「そもそもT1腎癌には腎部分切除術を行う」「そもそも高リスク表在性膀胱癌にはBCG注入を行う」「そもそも前立腺肥大症にはαブロッカーを投与する」「そもそも5mm以下の尿管結石は手術不要」「そもそも停留精巣は1歳頃に手術を行う」など、枚挙にいとまがありません。そういった様々な「そもそも」が、果たして「まっとう」なのか、もしそうでない場合には、新たな「まっとう」は何であるのか、そういった新たな「まっとう」を作り出すためには、何が必要なのか、多くのエキスパートの先生方に熱弁をふるって頂けるセッションを多数用意したいと考えています。また、普段皆様が疑問に考えておられる「そもそも」な医療に関して、こういう点が「まっとう」であった、あるいは、こういう点を変えたら「まっとう」になった、といったテーマがあれば、是非演題として応募して頂きたいと思います。
宮崎はひむか(日向)の国と呼ばれ、11月でも暖かく、燦々と降り注ぐ太陽が魅力です。大淀川に面する学会場からは、太平洋を見渡すことが出来ます。周辺に数々のゴルフ場やサーフィン場があり、地鶏の炭火焼きやチキン南蛮といった食文化も充実しております。現時点では、現地とWEBのハイブリッド開催を予定しております。多数の皆様のご来宮を心よりお待ちしております。