第47回日本脳卒中学会学術集会
　会長：宮本　享

第51回日本脳卒中の外科学会学術集会
　会長：清水宏明

第38回スパズム・シンポジウム
　会長：森岡基浩

2022年2月よりスマートコングレスとして開催してまいりましたstroke2022は5月末日をもってオンデマンド視聴が終了し閉会いたしました。3学会の会長から閉会のご挨拶申し上げます。

まずは素晴らしいご発表を頂きました演者の皆様、セッションをまとめていただいた座長の皆様、そして何よりも熱心にご聴講いただいた参会者の皆様に心からお礼を申し上げます。大阪での会場開催の期間中には新型コロナウイルス感染症第6波に対するまん延防止など重点措置が発令されていたこともあり、現地参会者数を制限せざるを得ませんでした。行き届かない点も少なくなかったと存じますが、何卒お許しくださいますようお願い申し上げます。

感染状況がいかなる状態であっても開催できるように2年越しで計画してまいりましたスマートコングレスの広い時間と仮想空間という効用もあり、参会者総数はかつてない多さで10,302名となりました。感染状況の収拾により学会もいずれは現地開催形式に戻っていくことができると思われますが、現地開催でなければできないこと、スマートコングレスでこそできることを組み合わせて、どのようなあり方が参会者のためになるのかという参会者ファーストの目線で考える学会に変貌していくのではないかと今後の展開が期待されます。Stroke2022といたしましては、アフターコロナ時代の新しい学会のありかたを提案できたのではないかと考えております。

さて、スマートコングレスにより、3学会いずれもが数多くのプレナリーセッションを行うことができ、会員に対して新鮮なメッセージを送ることができたように感じております。

日本脳卒中学会としては、｢健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法｣と「脳卒中と循環器病克服第二次5か年計画」を受け、脳卒中患者・家族等への情報提供・相談支援を充実するための、脳卒中療養相談士制度の導入のための多職種講習会を実施いたしました。Stroke2022には医師以外に合計4,333名という非常に多くのメディカルスタッフの参会者がありました。次年度以後もstroke meetingにおいて脳卒中療養相談士講習会が開催される見込みであり、多職種元年と位置付けて開催したstroke2022としては大変うれしい結果となりました。

日本脳卒中の外科学会としては、最近の進歩・普及が著しい血栓回収、Flow diverterやもやもや病、画像診断などの最新知見、脳動脈瘤や動静脈奇形の最先端治療、標準的手術や穿通枝などの基本的な対応、controversialな頭蓋内及び頚動脈の病態などのシンポジウムを企画し、活発なdiscussionをいただきました。手術ビデオや脳卒中の外科学会の技術認定に関連した教育セッションも多数ご参加いただき、充実することができました。また、会長講演として、虚血発症頭蓋内内頚動脈解離の全国調査研究の結果を報告させていただきました。ご協力いただいた全ての先生に心から御礼申し上げます。

スパズム・シンポジウムとしてはスパズムのメカニズムを改めて基礎から見直し治療の作用点を理解することを目的としたシンポジウムにて冠動脈病変／病理学／薬理学の観点から見直し、本年から認可された新たなスパズム治療薬の紹介まで行うことができました。また今日まで日本のスパズム研究を主導してこられた“レジェンド”と言われる先生方の研究の軌跡とこれからの研究への提言をいただくことができ大変示唆に富むシンポジウムとなりました。これに関連し基礎研究のセッションも多くの方が視聴していただくことができ若手の脳外科医も含めてSAH/スパズムの病態と治療にこれまで以上に関心を持っていただく機会になったものと思います。またこれ以外にも大変優れた発表を多くいただき大変充実した学会となりました。これも参加の皆さまがたのお陰です。厚く御礼申し上げます。本学会は来年からSAH/スパズムシンポジウムという名前になりますが学会の目的は従来と変わりません。これからも皆様のご参加／ご支援よろしくお願いいたします。

脳卒中診療に携わる我々が自らの未来図を描ける環境が整ったという意味を込めてStroke 2022のテーマを3学会共通で「明日へのシナリオ」とさせていただきました。参会者の皆様がそれぞれの立場で、5年後10年後のあるべき姿についてシナリオを書いていただくために、Stroke 2022が少しでもお役に立つことができたのであれば、主催者といたしましてこの上ない幸せです。誠に有難うございました。