第6回日本リンパ浮腫学会総会
会長 作田 裕美
大阪公立大学大学院看護学研究科 教授
滋賀医科大学医学部臨床腫瘍学講座 客員教授
謹啓
この度、第6回日本リンパ浮腫学会総会を開催させていただくことになり大変光栄に存じます。
ご案内に先立ち、この度の“COVID-19”の感染拡大(本文をしたためております現在は第6波のさなかにあります)により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、長期にわたり最前線で診療とケアに従事下さっております皆様に心より感謝申し上げます。一日も早く収束が果たされ平穏な日々が戻ることを願ってやみません。
『リンパ浮腫患者とレジリエンス』をメインテーマに掲げ、第6回総会を2023(令和5)年3月4日(土)・5日(日)の2日間にわたり、大阪公立大学大学院看護学研究科阿倍野キャンパスで開催させていただきます。会員の皆様をはじめ多くの方々のご参加を賜りたく謹んでご案内申し上げます。
日本リンパ浮腫学会総会は2016年の学会設立以後、年1回会員が相集い、リンパ浮腫の予防から診断・治療・ケアに係る知識と技術の創造の場として、また患者を中心とした多職種連携の深化の場として機能してまいりました。第1回総会から会長を担われた諸先輩の工夫に満ちた多岐にわたる問題意識を反映したテーマをあらためて拝見し、学会総会の歴史はまさにリンパ浮腫学の進歩の軌跡そのものと深く感じ入った次第です。
コロナ禍の経験から、第6回総会ではメインテーマを『リンパ浮腫患者とレジリエンス』と致しました。キーワードは「患者」と「レジリエンス」です。理想的な医療の姿として「患者中心の医療」が叫ばれて久しいですが、患者中心の医療がどこまで実現できているか考えた時、心もとないものを感じざるを得ません。そもそもサービス財としての医療には、売り手と買い手の間に圧倒的な情報の非対称性が存在します。一方、サービスに対する充足度についても患者の満足感は多様で10人いれば10通りの満足感があります。医療者と患者の双方が互いの立場を学びあうことを通して、理想の実現には双方が課題を持つということを認識しなければならないのではないかと考えます。コロナ禍と表現される世界的危機を体験した医療者と患者(国民)は、真の患者(国民)中心の医療の在り方について深く考える機会を得たともいえましょう。コロナ禍から得た私の学びは、「人はそれぞれに勁い」という人への信頼です。そして、「真の患者中心の医療とは、医療者は患者のレジリエンスを引き出し支援すること、患者は自らの持つレジリエンスを鍛え再獲得すること」ではないかと考えるに至り、メインテーマを設定した次第です。学会総会では、メインテーマを反映した企画を鋭意準備してまいります。どうぞ数多くのご発表、ご参加を心よりお待ち申し上げます。
総会前日の3月3日は『船場のおひなまつり』イベントの最終日です。江戸時代より商人の町大阪の中心として栄えた船場ゆかりの旧家の雛飾りがあちこちで公開されます。忙しい日々を束の間忘れ、おひなさまを巡りながら船場の歴史と文化を偲ばれてはいかがでしょうか。ちなみに谷崎潤一郎の『細雪』で語られている会話は船場ことばです。「いとさん」「こいさん」「ごりょんさん」と、なんて味わいのある柔らかなことばでしょう。大阪弁は吉本だけやあらしまへんで。
謹白