ごあいさつ

当番世話人 波多野 悦朗
(京都大学肝胆膵・移植外科/小児外科教授)
来る2025年6月27日(金)から28日(土)の会期で、第32回肝がん分子標的治療研究会をホテルグランヴィア京都(京都市)で開催致します。テーマは「最前線で選ばれる1stライン治療とは」としました。肝細胞癌や肝内胆管癌の治療は現在新たな薬物が次々と認可され、治療戦略が多様化しております。そのため最近の研究会と同様に会期は2日間とさせていただきました。
肝細胞癌治療は近年の免疫チェックポイント阻害剤や分子標的治療の進展により飛躍的な進化を遂げています。しかし薬物療法における課題は依然として多く、1stライン治療としての薬物療法の適切な使い分けや免疫関連有害事象のマネジメント、ラジオ派焼灼術や放射線治療など局所治療との併用の意義など、さまざまな検討が必要です。なかでも奏効率の高い薬物療法の登場により近年あらたに切除可能性分類が提唱され、薬物療法と手術との集学的治療によって進行肝細胞癌に対してもコンバージョン手術が期待されています。さらには薬物療法後の肝移植、あるいは肝移植後の肝細胞癌再発に対する薬物療法の確立も重要な課題です。
肝内胆管癌に対しても複数の免疫チェックポイント阻害剤が使用できるようになりました。化学療法剤と免疫チェックポイント阻害剤の使い分けや遺伝子パネル検査に基づいた薬物療法、薬物療法後の肝内胆管癌に対する肝切除や肝移植の可能性など、肝内胆管癌においても論じるべき様々なトピックが挙げられます。
本研究会では、新時代を迎えた肝がん治療について最新の研究成果や臨床経験を共有し、現状と将来展望について議論を交わす場にしたいと考えております。