当番世話人挨拶
第29回日本肝がん分子標的治療研究会 当番世話人 持田 智 (埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科) |
2024年1月26日(金)、27日(土)の会期で、第29回日本肝がん分子標的治療研究会を、さいたま新都心のThe Mark Grand Hotelで開催致します。テーマは「肝がんの薬物療法」としました。肝がんの治療は、2009年にソラフェニブが承認されて新たな時代を迎え、2010年1月に第1回の本研究会が開催されました。以来、年2回の研究会が開催されていますが、2017年以降は新たな薬物が次々と認可され、研究の対象が多様化したことから、第27回、第28回研究会と同様に、会期は2日間とさせていただきました。
現在、肝がんの薬物療法としては9薬剤、7プロトコールが利用可能で、これらをどのように使い分けるかが課題です。特にセカンドライン以降の治療をどのように繋いで、長期間に亘って肝がんを制御していくかに関しては、新たなエビデンスを集積する必要があります。また、薬物療法と、肝切除、ラジオ波焼灼療法、IVR治療などを組み合わせて、根治を目指す治療戦略に関しても、さらなる議論が求められます。治療効果を規定する要因、有害事象の対策など、薬物療法に直結する基礎的、臨床的検討のみならず、背景肝の予備能を維持するための肝硬変、ウイルス肝炎に対する治療など、本研究会で議論すべき課題は多岐にわたっています。このため肝がんの薬物療法は、個々の症例のみならず、腫瘍結節ごとに個別化した治療法を検討するとともに、各施設での経験を集結して、治療法を均てん化する時期を迎えています。
本研究会で発表される演題が、肝癌診療ガイドライン、肝癌診療マニュアルが改訂される際に、新たなエビデンスとして取り上げられるようになれば幸いです。さいたま新都心に多くの方々がお出でいただき、実り多い研究会となることを期待しています。