会長挨拶
日本超音波医学会第97回学術集会
会長 岩永 史郎
(埼玉医科大学国際医療センター心臓内科)
日本超音波医学会第97回学術集会を2024年5月31日から6月2日までの3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜会議センターをメイン会場として開催いたします。学術集会のメインテーマは「Fusion of Science and Art」としました。超音波検査は医学の様々な領域で活躍している画像診断法であり、医学的知識の上に成り立っているばかりではなく、画像を撮像する技術も必要となります。単に描出できた、診断できただけでは十分ではなく、見る人を圧倒し、納得させる画像を記録することが重要です。超音波検査を行うものは、画家や写真家と同様に芸術家でなくてはいけません。この学術集会を、多様な領域の専門家が鮮明な画像と説得力のあるデータを共有できる場にしたいと考えて、メインテーマを決めました。
日本超音波医学会の特徴は多様性です。工学フェローは超音波を臨床応用する上で不可欠な新技術や基礎知識を臨床家に与えてくれます。理工学分野の研究によって、超音波医学はここまで進歩してきました。また、診療領域ごとに専門家が集まる他学会と異なり、多種多様な専門性を持つ医師が超音波医学というひとつのテーマの基に集まっています。さらに医療機関では臨床検査技師、看護師、診療放射線技師など多くの職種の医療従事者が最前線で超音波検査に携わっています。このような多様性を持つ会員が集合して議論を戦わせるのが、日本超音波医学会学術集会です。この学術集会では、工学と医学の融合、疾患領域を超えた融合、チーム医療としての医療従事者の融合といった種々の面でFusionをもたらしたいと思います。そのひとつとして、私が専門とし、循環器領域で多用される経食道心エコー図検査を含めた超音波内視鏡検査を取り上げたいと思います。消化器系の内視鏡検査・治療には、超音波内視鏡が多用されています。また、産婦人科領域などでも超音波内視鏡は不可欠な検査となっています。様々な分野で活躍している超音波内視鏡検査の魅力を会員の皆様にお伝えできればと思います。また、海外に比べて、本邦では使用できる超音波造影剤が少なく、その適応疾患も限られています。超音波造影剤が様々な疾患の診断に不可欠であることをご理解いただくセッションも企画しています。超音波内視鏡と超音波造影剤のふたつを領域横断テーマとして取り上げます。
日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)の尾本きよか理事長(自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学第1講座)と相談し、日本乳腺甲状腺超音波医学会 第1回春季大会と同時開催とすることとしました。両学会に参加を希望される皆様の利便性を考えた上での決定です。超音波医学に関する研究結果や症例を学術報告し、知識を共有し、議論を行う場として、多くの皆様方にご参加いただけるように準備をしております。皆様の演題登録やご参加をお待ちしております。ぜひ、多くの皆様とパシフィコ横浜の会場でお会いできれば幸いです。
最後に、今回の学術集会会長を私にお任せいただいた、日本超音波医学会の理事長・理事の先生がたをはじめ、ご協力いただく関係各位に深謝いたします。
令和5年5月吉日