JSTH

第45回日本血栓止血学会学術集会

会期:2023年6月15日(木)〜17日(土) 会場:北九州国際会議場 会長:岡本好司(北九州市立八幡病院)

関連行事 市民公開講座

第45回日本血栓止血学会学術集会 市民公開講座

ポスター(PDF)

テーマ:「様々な年代の血栓止血領域の病気を勉強しましょう!!」
日 時:2023年6月17日(土)17:00~18:30
会 場:北九州国際会議場 国際会議室
主 催:日本血栓止血学会
共 催:北九州市
後 援:(公社)北九州市医師会
協 賛:(公財)北九州観光コンベンション協会

プログラム

司 会: 酒井 道生 (北九州安部山公園病院)
岡本 好司 (北九州市立八幡病院 外科/消化器・肝臓病センター、第45回日本血栓 血学会学術集会 会長)
演者1: 佐藤 哲司 (北九州市立八幡病院 小児科)
演 題: 「お子さんの出血が止まらないとき、病気ですか?」
子どもはよく青あざを作ったり、鼻血を出したりします。多くは止血して終わりますが、中には出血が止まらず病院を受診することがあります。今回は、そのような子どもの出血する病気を紹介したいと思います。生まれつき出血しやすい病気として、2つ紹介します。トップバッターは血友病です。ほとんどは男の子の病気です。一口に血友病と言っても軽いタイプから重たいタイプがあります。軽いタイプでも頭の中に出血したり、手術をして出血多量になることもあります。次はフォンウィルブランド病という病気です。この病気の多くは出血症状が軽いタイプで病院に来ることが少ないのですが、中には止血管理が必要なことがあります。最後は後天的な出血の代表的な病気である免疫性血小板減少症です。突然、出血斑が体中にでき発疹と紛らわしいのですが、圧迫しても消えないのが特徴です。血液検査で血小板だけが低値となり診断されることが多いです。こどもでは大人とくらべて一過性に終わることが多いのですが、中には重篤な出血をしたり、慢性化することがあります。こどもの出血が止まらないなと感じたり、青あざが多いなと思ったらまずはかかりつけの先生へご相談ください。
演者2: 津田 有輝 (北九州市立八幡病院 循環器内科)
演 題: 「身近に潜む静脈血栓塞栓症のお話〜あなたの息切れ、足の血栓が原因かも?!しれません〜」
「少し体を動かしただけで息切れがする」「アパートの階段を昇る時、今までと違ってすぐに息が上がる」「あれ、おかしいな?」と思うことはありませんか?労作時の息切れや呼吸困難は循環器外来でよくみられる症状の一つですが、狭心症や心筋梗塞といった動脈にできる血栓塞栓が原因となる病気以外に、「エコノミークラス症候群」による「肺塞栓症」に代表される、静脈にできた血栓塞栓が原因となる病気があります。
エコノミークラス症候群とは飛行機の搭乗など長時間体を動かさずにいることで足の血流が悪くなり、静脈の中に「血液の塊=血栓」ができてしまう病気のことです。足の静脈が血栓で閉塞すると足の腫れや赤みが現れたり、また血栓が肺の動脈を詰めると、息切れや呼吸困難、失神などの症状が現れる肺塞栓症が起こります。このような足の静脈血栓症や肺塞栓症は一連の病気と考えられ「静脈血栓塞栓症」と総称されます。
静脈血栓塞栓症は進行のスピードがさまざまで、60〜70歳代で起こりやすいことが知られており、要因として加齢に伴い日常の活動量が減少し静脈のうっ滞をきたしやすくなると考えられています。この病気は予防可能ですので一緒に学んでいきましょう。
演者3: 宮岡 亮 (産業医科大学 脳神経外科)
演 題: 「脳卒中に正しく備える」
『脳卒中』と聞くと、どのような印象をお持ちになるでしょうか。脳卒中を患った経験のある親戚や知人をお持ちの方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。今、皆様は脳卒中に適切に備えることができておられますか。ご不安に感じられる方はこの機会に学び直してみませんか。
脳卒中は、古くから疫病神が吹いた悪い風に中(あた)り、突然倒れる病として中風(ちゅうぶ、ちゅうふう)等と呼ばれ、恐れられてきた病気です。脳卒中の正体すら分からなかった昔の人々は為す術もなかったわけですが、現代においては、既にその原因や罹患しやすい人(年齢層、危険因子)等が近年続々と解明され、その治療法と予防法も急速な進歩を遂げています。我々は既に脳卒中と戦う術を持っているのです。
今回は、脳卒中の代表的な血栓症である「脳梗塞」について、とくに発症時の適切な対応と予防法についてお話をさせて頂きます。脳梗塞は、脳卒中の約75%を占める頻度の高い疾患ですが、過度に心配したり、反対に油断し過ぎたりしない事が大切です。正しい知識を得ることは、正しい備えに繋がります。今回のお話が、皆様の病気への理解を深め、今後のより良い人生を築く一助となれば幸いです。

page top