会長挨拶
第22回日本臨床腫瘍学会学術集会
会長 高山 哲治
徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学分野 教授
第22回日本臨床腫瘍学会学術集会長を拝命いたしました徳島大学の高山哲治です。はじめに、2024年1月1日の能登半島沖地震に被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
このたびの日本臨床腫瘍学会学術集会を、2025年3月6(木)~8日(土)に兵庫県神戸市の神戸コンベンションセンターにて主に現地(一部ハイブリッド形式)で開催いたします。
日本臨床腫瘍学会(JSMO)は2004年に学会として正式に発足し、日本におけるがん治療学、とくに薬物療法の発展や普及、がん医療の均てん化、適切な臨床研究の推進、がん薬物療法専門医の育成、等々に取り組んで参りました。神戸市における開催としては、2016〜2018年に第14〜16回大会を南博信先生(神戸大学)、谷本光音先生(岡山大学)、中西洋一先生(九州大学)が開催され、7年ぶり4回目の開催となります。また、徳島大学としては、当学会の前身である日本臨床腫瘍研究会のときに曽根三郎先生が開催しましたが、学会としては初めての開催です。また、私は前職の札幌医大時代に、上司の新津洋司郎先生が札幌にて第5回大会(2007年)を開催しましたが、そのときのJSMO学術集会の熱気を今でも良く覚えております。私は、その後徳島大学に着任し、消化器がんを中心に幅広くがんの診断と治療を行って参りました。その間、JSMOは大きく飛躍し、本邦におけるがん薬物療法専門医や腫瘍内科医は著しく増加し、世界的に優れた臨床試験(治験)が多数実施されるとともに、我が国の臨床腫瘍学の国際化が進みました。JSMO学術集会の参加者も増加し、JSMO2023では参加者数が約6500名以上にのぼり、このうち外国人は570名以上に達し国際化も進んでおります。
2018年の第3期がん対策推進基本計画では、初めて「がんゲノム医療」の推進が記載されました。周知の通り、がんのゲノム医療は個々のがん組織の「ゲノム情報」を含めたオミックス検査情報をもとに、個々のがんに適した「医療」を行うことです。2019年からは、がん遺伝子パネル検査が保険収載されましたが、有効な分子標的薬に到達できる患者さんの頻度は低く、わずか10%に満たないと報告されています。こうした背景をもとに、今回のテーマを「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」と致しました。つまり、がん患者さんが実際に有益ながん治療薬にたどり着ける個別化治療を目指す、という内容に致しました。
一般演題では、是非新しい研究成果を発表していただき、世界中の多くの皆さんと情報共有をして頂きたいと思います。がんと共に生きる患者さんの為のアドボケートプログラムは例年通り充実したものにしたいと思います。会長企画では各部会が扱わない臓器横断的プログラム、最近注目されている全ゲノムシークエンスやliquid biopsy、遺伝子パネル検査で推奨された保険適応外薬の使用方法、等々をプログラムに盛り込む予定です。COVID19は終了しましたので、是非とも現地に参加して頂き有意義なDiscussionをして頂ければと思います。また、神戸市にて美味しい料理やお酒を飲んで頂ければと思います。海外からも多数の先生方に現地参加して頂き、国際色豊かな学会なることを期待しております。
神戸市にてお会いできることを楽しみにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。