会長挨拶
第59回日本肝臓学会総会 会長 𠮷治 仁志 奈良県立医科大学 消化器・代謝内科教授 |
肝臓学の未来予想図 〜倭からの覧古考新〜
2023年6月15日・16日に第59回日本肝臓学会総会を奈良市で開催させていただきます。奈良での開催は故辻井 正先生が1993年に開催されて以来30年ぶりになります。
5月8日に感染症法が改正されCOVID-19が5類になり、今回は数年ぶりに現地での総会開催となりました。なお、子育て中や日々の多忙な診療など様々な理由で現地に来ることができない会員のためにオンデマンド配信を設定しています。多くのオンデマンド配信はスライドを単に配信することが多いですが、今回は会場にカメラを設置して発表・討論の状況を記録して配信しますのでハイブリッド開催と同じ臨場感でご視聴頂けると思います。
特別講演・海外演者による招待講演はライブ同時配信を行います。今回は医学以外の各方面で著名な方々に特別講演を依頼しています。我々医療者はともすれば狭い世界でモノを見がちです。例えば、経営の神様と言われた稲盛和夫氏の薫陶を受けた社員数8万3千人の京セラ元CEOの西口泰夫氏の特別講演などは医療の現場にも必ず役に立つ内容となるはずです。また、万葉集を軽妙な語り口でお話しになり、テレビなどでおなじみの奈良大学名誉教授の上野誠先生には万葉集の素人である私にもわかるようお話し頂くようにお願いしています。是非多くの方々に現地へ足を運んで頂くと共に、会場にお越し頂けない会員には事前登録を行ってご視聴頂きますようお願い申し上げます。
日常診療に役立つ40の肝疾患から糖尿病まで幅広いスポンサードセミナーもライブ配信を予定しており、総会登録者は全てのセミナーをご視聴頂けます。また今回初めての試みとして、個別セミナーに関しては各メーカーによる無料同時配信も行います。個別セミナーに関しては総会登録も不要です。詳細は各スポンサードセミナーの担当者にお尋ねください。
今回の総会では、肝臓学会として初めての宣言となる「奈良宣言」を発出します。初日の午前中に記者会見を行い、午後から特別セッションを予定しています。会員の先生におかれましては、市民や非専門医への啓蒙のため「Stop CLD (Chronic Liver Disease)せんと君のALT>30」を広くご活用頂ければ幸いです。
また、学会会期中に休憩所には床几によるお茶席「奈良のおもてなし」をネームカードの「おもてなし券」でお楽しみ頂けるよう準備しています。
奈良市へのアクセスは京都・大阪から30~40分、伊丹空港から会場直行バスで約60分です。日本最古の都である奈良には東大寺、興福寺、春日大社など多くの歴史建造物があります。野生の鹿 (古来から奈良では鹿は神の使者と考えられています)が憩う奈良公園を含めて、多くが会場から15分以内で移動可能ですので学会の合間に古都散策も楽しんで頂ければ幸いです。学会初日の評議員懇親会では「雅楽」の演奏や各種郷土料理も用意しています。評議員の先生以外も参加可能ですので奮ってお越し下さい。
学会は2日間ですが、17日の午前中には日本アルコールアディクション医学会との合同サテライトシンポジウムを開催します。受刑者の肝炎ウイルス陽性率は非常に高く、臨床医としてどのように対応すれば良いか専門家の先生方からお話し頂きます。本シンポジウムはハイブリッド形式での開催となりますので、こちらも併せてご参加頂ければ幸いです。
今回の総会でWEBでは難しい現地での「重ね合う議論」を通して日本の肝臓学を最古の都から世界へ発信する足がかりとできれば幸いです。 多くの方々のご参加・ご登録をお待ちしています。