ご挨拶
第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会 大会長 倉智 雅子 (国際医療福祉大学成田保健医療学部 言語聴覚学科) |
第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会は、令和4(2022)年9月23(金)、24日(土)の両日、千葉県千葉市の幕張メッセにおいて開催させていただきます。会員数が15,000人を超える学際性豊かな学会の学術大会大会長を仰せつかることは光栄の至りであり、貴重な機会をお与え下さいました鎌倉やよい理事長、植田耕一郎前理事長ならびに役員、会員の皆様に心より感謝申し上げます。
今回の大会テーマは「摂食嚥下のSDGs」です。ご存知のとおりSDGsは「持続可能な開発目標」の略で、ここ数年、誰もがよく耳にしてきた言葉でありましょう。2015年の国連サミットで採択され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標となっています。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓ったSDGsは当学会の理念にも通ずると考え、大会テーマに据えました。第28回大会(JSDR2022)では、国内的にも国際的にも摂食嚥下リハビリテーション分野で「誰一人取り残さない」ことを目指し、2030年(およそ10年先)を視野に、私たちは何を考えるべきか、どこに向かうべきか、意見を出し合い、議論する機会にしたいと考えております。
第28回大会は、言語聴覚士(ST)が16年ぶりに大会長を務める大会で、伊藤元信先生が2002年に開催された第8回大会(宇都宮)、熊倉勇美先生が2006年に担当された第12回大会(倉敷)以来、3回目となります。STは現在、本学会で最大の会員数を占める職種であることから、「STが大会長を務めることには大きな意義がある」と感じられます。大会長の力は限られていますが、JSDR2022は「STがつくる大会」、「オールSTで取り組む大会」として、STの持てる力を結集して準備に当たって参りました。STの先生方、どうか最後までお力をお貸しください。そして、参加者の皆様には、ST大会長ならではの大会企画を満喫いただきたいと願っております。
本大会はSDGsの「17のゴール」に因み、「17のカテゴリー」を設定しました。それらは、1研究、2小児、3高齢者、4ステージ、5疾患、6栄養、7評価、8治療、9地域、10連携、11経済、12倫理、13リスク、14教育、15世界、16感染、17災害で、それぞれを表す17種類のアイコンも用意しました。教育講演、シンポジウム、パネルディスカッションをはじめ、特別講演、市民公開講座、各種セミナーなど、各カテゴリーに関係の深い企画をたくさん設けましたので、第一線でご活躍の臨床家・研究者のご登壇を楽しみにしていただきたいと存じます。大会プログラムや大会会場でアイコンを眼にした際、SDGsの精神や活動を意識していただければ幸いです。
気になる大会の開催形態ですが、本大会は当初、新型コロナ感染症とは関係なく、これからの時代の学術大会の形として、ハイブリッド開催(現地参集ならびに後日のオンデマンド配信)を考えておりました。育児や介護、地理的な事情から現地参加が難しい会員でも、誰一人取り残されることなく、しっかり繋がることのできる大会を実現するためです。しかしながら、感染の終息は一向に見えず、やはり今年の大会も感染拡大を理由に演者や座長が現地参加を断念せざるを得ない状況を想定しなければならなくなりました。大会参加者のお立場からは、現地参加、後日のオンデマンド視聴(一般演題・ポスター発表も含みます)のほか、企業協賛によるスポンサードセミナー・イブニングアワーに限っては当日のライブ配信視聴が可能です。昼食時のランチョンセミナーを実施しない代わりに、現地参加ができない方も朝から夕方まで協賛企画はオンライン視聴ができるよう工夫いたしました。演者や座長の先生方には、企画によってはリモート登壇いただけるよう手配しました。残念ながら、海外演者のリモート登壇はありませんが、今回は思いの外、多くの方が海外からの参加を表明して下さっています。大会前日の9月22日に予定されているAsian Dysphagia Society(ADS)設立に向けたKickoff Symposiumにもアジア諸国のご高名な先生方が来日を計画してくださっていますので、国際色豊かな対面の集いが実現することを祈りたいと思います。
会場となる千葉県の幕張メッセは、JSDR開催地としては皆様にはお馴染みの場所と存じます。企業展示にも多くの企業様が出展くださいますので、ご事情の許す方には是非とも会場に足を運んでいただきたいと願っております。安全・安心な大会開催のための感染防止対策を施しつつ、大会関係者一同、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。