第60回日本腹部救急医学会総会
会長 岡本 好司
北九州市立八幡病院
外科 ⁄ 消化器・肝臓病センター
産業医科大学医学部第一外科学
この度、記念すべき第60回日本腹部救急医学会総会会長を仰せつかりました岡本好司と申します。令和6年(2024年)3月21(木曜)〜22日(金曜)の2日間、北九州市にある北九州国際会議場、AIM(アジア太平洋インポートマート)3F、西日本総合展示場にて開催させていただきます。北九州市での開催は、教室の先輩である(故)伊藤英明教授が、2001年(平成13年)に第36回日本腹部救急医学会総会会長の名誉を拝しており、23年ぶり2回目の開催となります。その際は、事務局として学会開催をお手伝いさせていただきました。その光景は、今も走馬灯のように思い出します。また、2024年は本学会が研究会から学会へと移行した1993年から30年の節目でもあります。学術集会長を務めてこられた腹部救急領域の多くのレジェンドの先生が築き上げてきた歴史と伝統のある本会を主催させていただくことは大変光栄に存じますと同時に責任の重大さに身の引き締まる思いです。このような機会を頂きました学会役員・学会評議員ならびに会員の皆様に心より感謝申し上げます。
さて、今回のメインテーマは、「誠心直道、腹部救急の真髄を極める」とさせていただきました。現在の北九州市小倉にある小倉城の城主であった小笠原忠真に息子宮本伊織を出仕させていた剣豪で有名な宮本武蔵が完成した二刀流(右手に大太刀、左手に小太刀を持って戦う剣術としてよく知られていますが)の流派である「二天一流」の理念が「誠心直道」です。武蔵が残した「五方之太刀道」や「五輪書」にあるように、物事を成し遂げるに様々な道があるように思われるが、結局は、ただ誠の心と直ぐなる道を進むことが肝要であるとの武蔵からのメッセージです。医療の現場も同じです。腹部救急の診療現場では、華やかな手技や新しい方法での診療に目が行きがちです。しかし、疾患の病態や治療の基本は今も大きくは変わっていないことも多く、誠心直道の心を持って腹部救急診療を極めて行っていただきたいと思います。指導する側もされる側も物事をシンプルにかつ合理的に判断し、誠の心を持って患者のために診療し、若手医師を育成し、若手医師は自己研鑽を積んでいただきたいと考えます。皆様からの研究、症例の成果を発表していただけると幸いです。
また、名古屋大会から続く Modified Socratic Method(MSM) による教育セミナーや名誉創立者の高田先生を中心とした鼎談なども企画したいと考えています。
2024年3月での開催は、教育セミナー以外は、完全なる現地開催を目指しております。初春の北九州を訪れて頂き、桜満開の小倉城や決闘で有名な巌流島、関門海峡、河豚やクエ(福岡ではアラと呼びます)料理などを楽しんでいただければ幸いです。皆様が参加して良かったと思っていただけるような学会を開催していく所存です。何卒、宜しくお願い申し上げます。