第30回日本乳癌検診学会学術総会, The 30th Meeting of Japan Association of Breast Cancer Screening

主要プログラム

(2020年4月22日時点)

会長講演

【指定】
座長:中島 康雄(画像相談クリニック 院長/日本乳癌検診学会 理事長)
演者:大貫 幸二(岩手県立中央病院 乳腺・内分泌外科)

招待講演

【指定】
高濃度乳房(Dense Breast)に対する乳がんスクリーニング
座長:大貫 幸二(岩手県立中央病院 乳腺・内分泌外科)
演者:阿部 裕之(シカゴ大学 放射線科)
マンモグラフィは、ランダム化比較試験を通して有効性が証明された、唯一の乳がんのスクリーニング法である。しかし、がんの検出率は乳房の濃度によって変動し、いわゆる高濃度乳房(Dense Breast)では、非高濃度乳房に比べ、乳がんの検出率が著しく低下する。一方、乳がんの罹患リスクという点では、高濃度乳房の女性は平均より高いリスク(中等度リスク)があるとされている。このように高濃度乳房は、マンモグラフィでがんの検出率が低く、乳がんのリスクも高めであるため、追加のスクリーニング検査を受けることが勧められている。追加の検査として一般的なものは超音波検査であるが、造影MRIも選択肢の一つである。MRIは高コスト、造影剤の使用、などの問題があり、中等度リスクよりもさらに上の高リスク群に推奨されているが、がんの検出能の高さや検査のコストを低くする撮像法(Abbreviated MRI)の工夫などにより、中等度リスク群のスクリーニング検査としても注目されている。本講演では高濃度乳房に対するスクリーニングに関して、米国での現状を解説する。

教育講演

【指定】
「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の中間整理の解説
座長:大内 憲明(東北大学 名誉教授)
演者:笠原 善郎(福井県済⽣会病院 乳腺外科)

特別企画

マンモグラフィ検診の20年
【指定】
日本の対策型乳がん検診は1987年に視触診によって開始されたが、すぐに外来発見癌と検診発見癌で予後に差がないことが報告された。その後、宮城県や徳島県でマンモグラフィ併用により乳癌発見率と早期比率が高いことが実証されたのを受けて、厚生省研究班を中心に多くの新しい研究や事業が行われ、2000年にマンモグラフィが精度管理された形で対策型検診に導入され現在に至っている。その過程で、日本人で罹患率が高い40歳代においてマンモグラフィの感度が低いことが確認され、超音波検査の有効性を検証するJ-STARTが遂行されたが、これは、後に高濃度乳房問題の対応策という位置づけにもなった。超音波併用により特異度が低下するという不利益に対しては、総合判定方式が提唱されている。本企画では、その当時に研究や事業に直接関わった先生からお話をいただき、日本における乳癌検診の歴史的な経緯と現在の課題を会員で共有したいと考えている。
乳がん検診の次世代への架け橋
【指定】
本学術総会は「乳がん検診の次世代への架け橋」をメインテーマとして、リスクに基づくがん検診の個別化、次世代の医療情報と精度管理、乳がん検診に関する新技術の位置づけ、がん教育とbreast awarenessなど、新しい話題を取り上げたセッションも多く企画されている。いずれのセッションも是非参加したい興味深い内容で、活発な討論が展開されると期待しているが、参加者全員がすべてのセッションに直接参加することは難しい。そこで、総会の最後に、各セッションの座長を中心にご登壇いただき、全体を総括する特別企画を行うこととした。本セッションによって、参加者全員が最新のトピックスを知るだけでなく、現況に対する共通認識を持ち、次世代に向けての学会としての新たな展望が生まれることが期待される。

シンポジウム

乳房構成から見た乳癌検診のあり方を考える
【一部公募】
乳房構成は連続的で、MG診断感度からみても不均一高濃度と乳房散在の間で線引きする根拠に乏しいが、これまで『高濃度乳房』の文言が先行し、高濃度乳房があたかも一疾患や一病態として取り上げられてきた。市町村の対応も「高濃度乳房」に対してのみ通知や追加の検査を指導するなど、適切な対応がなされているとは言えない。このセッションでは、乳房構成の判定、通知方法、追加検査の位置づけなどについて、単なる高濃度、非高濃度ではなく、乳房構成から見た適切な乳癌検診のあり方を討論したい。特に検診現場での課題や問題点、ブレストアウェアネスなどについてもコメディカルスタッフからの発表もぜひお願いしたい。
次世代乳癌検診検討委員会企画:乳癌リスクに基づく乳がん検診
【指定】
乳がん検診は、マンモグラフィを用いた検診マンモグラフィが唯一、乳癌死亡率減少効果のエビデンスが証明されている正当な方法である。しかし、従来の対策型検診マンモグラフィは40歳以上の女性に対して2年に1回施行するという画一的な方法であるが、この方法では乳癌リスクの低いグループに対する利益/不利益のバランスに限界があり、むしろ乳癌リスクの低いグループには不利益が多くなることが明らかになってきた。そこで、近年、世界的に「乳癌リスク層別化による乳がん検診」の概念がトピックスとなっている。現在、乳癌リスク層別化による乳がん検診はエビデンスがない状況であるが、論理的ながん検診の考え方であり、日本の医療経済や医療効率を考えると避けて通れない道かもしれない。本セッションが次世代の乳がん検診を考える契機となることを期待している。
次世代の医療情報管理システムへの期待と課題
【指定】
近年、経済産業省や厚生労働省などにより、医療データの取り扱いに関する議論が急速に進んでいるが、医療関係者など国民はその状況を把握しきれてはいない。本セッションでは、我が国における医療データの利活用について、乳がん検診学会からの報告および、政府における現在の動向や今後の展望を紹介する。さらに、個人による医療データの管理や運用について先駆的な取組や問題点・望むべき方向性を提示した上で、乳がん検診の将来を見据えた多角的な議論を行いたい。

パネルディスカッション

乳がん検診精検報告書作成マニュアルを使ってみた
【公募】
日本乳癌学会検診関連委員会で「乳癌検診精検報告書作成マニュアル」が作成されたが、具体的な内容についてはこれから議論をして良いものを作って行くという方針である。本セッションでは、診断カテゴリー(DC)4、5の陽性反応適中度(PPV)を、後ろ向き研究で日本全国から持ち寄り、マニュアルの問題点について討議してみたい。DC4については、可能であればa(悪性確信度2〜10%)、b(悪性確信度10〜50%)、c(悪性確信度50〜95%)の亜分類の適否についても検討していただきたい。また、DC2D、3Dがあれば、症例を持ち寄ってその特異度やPPVについても検討したい。その他、マニュアルに準拠したビューワーソフトの開発、検診機関におけるシステムの検討などの演題も募集する。
乳がん検診でAIをどのように使えばよいのか
【一部公募】
我が国の乳がん検診はマンモグラフィ、超音波検査、MRIなど様々な画像診断を展開しているが、それに伴う医療従事者の負担も増大しており、負担軽減および精度向上を目的とした新しい画像診断技術の開発が急務となっている。一方、人工知能(AI)による画像診断技術の急速な発展は、特定分野では人間の認識能力をも超え、実際にAIを用いた医療機器も承認され始めた。今後この分野は更に発展し、それに併せて検診システムも変化していくことが予想される。そこで本セッションでは、現在の乳癌検診の到達点と問題点を踏まえ、近い将来到来するであろうAIを用いた画像診断の可能性や在り方について議論していく。特に検診に用いられるマンモグラフィ、超音波検査、MRIについて、現段階におけるAIの精度や利用方法を検討した演題も公募して、「AIを具体的にどう検診に用いることができるか」についての情報を共有していきたい。

ワークショップ

マンモグラフィ技術の現状と課題
【一部公募】
2000年に対策型乳がん検診へマンモグラフィが導入されてから今年で20年目となる。マンモグラフィの精度を保証するためには、撮影技術、装置の品質管理が重要である。これまで、日本乳がん検診精度管理中央機構は、撮影技術や品質管理の中心的な役割を担い、多くの講習会や施設画像評価を行ってきた。日本において精度管理体制は整備されているとはいえ、広く普及しているかというとまだまだ課題が多いとされている。また、近年マンモグラフィを取り巻く技術の進歩は目覚ましいものがあり、ブレストトモシンセシスなどの新しい技術への品質管理方法の確立も重要である。この20年の節目において、教育、撮影技術、品質管理等について一度現状を振り返りながら、今後のマンモグラフィ技術について様々な角度から議論をしていきたい。また、日頃から地域や施設ごとで行っている品質管理の取り組み、工夫などについての演題も公募する。
マンモグラフィと超音波診断の現状と課題
【指定】
マンモグラフィと超音波検査は乳腺疾患の診断方法として長く用いられており、日本では精中機構、JABTS、本学会が中心となって精度管理、教育を行っている。近年、マンモグラフィはデジタル化してモニタ読影が基本となりつつあり、アナログ読影時代のガイドラインでは幾つか検討すべき課題が生じている。また、超音波検査の要精査基準についても、実際の検診データが集積され幾つかの変更がなされた。さらに、両者の併用検診における総合判定の普及や教育が十分行われているとはいえない。本セッションでは、その道のトップランナーに集まっていただき、現在の検診モダリティの現状と課題について意見をいただく予定である。
新しい乳がん検診のモダリティの可能性と問題点
【指定】
現在の乳がん検診の代表的な検査方法としては、対策型検診のマンモグラフィ、任意型検診の超音波検査、高リスク群のMRIが挙げられるが、それぞれの検査は検診のモダリティとして完全なものではない。近年、幾つかの新しい診断方法が開発されており、乳がん検診で使用できる可能性がある。本セッションでは、それらの検査の原理、診断精度、解決すべき課題などを報告していただき、現在のモダリティのどの位置に入るのか、またはがん検診の層別化因子として用いることが可能なのかなどについて議論する予定である。
プレコンセプションケアにおける乳がん検診
【指定】
米国疾病予防管理センターやWHOは、妊娠前の女性やカップルの心身の健康状態を改善することによって、産後の母子の状態をより健康的なものにする「プレコンセプション・ケア」を提唱しており、日本でも、今後政策として広く展開されていくことが予想される。その中で、出産年齢の高齢化もあり乳がん検診も重要な位置を占めると考えられる。妊娠、授乳期の乳癌は、がん診療や周産期医療の進歩もあり、妊娠を継続しながら治療を行うことが可能になったが、妊娠前の診断が望ましい。しかし、30歳代のマンモグラフィや超音波検診の有効性は証明されておらず、米国では乳癌のハイリスクグループに対してMRIが行われているが、日本ではさほど普及していない。今回、4人の演者に講演をいただき、妊娠を希望する年代や妊娠初期の妊婦教育でのブレスト・アウェアネスの概念にも触れ、プレコンセプション・ケアの中の乳がん検診について考えてみたい。

要望演題

マンモグラフィにおけるCBTの臨床的意義
【公募】
マンモグラフィの圧迫乳房厚(compressed breast thickness:CBT)は遺伝要因と環境要因の両者が関連しており、薄い乳房は癌の診断がしやすいことなどが容易に想像できるが、まだ世界的に見ても臨床的にはほとんど検討されていない。本学術総会では、日本人のCBTに関連する臨床的なデータ、例えばマンモグラフィの乳房の構成の比率、マンモグラフィの感度、乳癌の触知する割合、早期乳癌比率、温存乳房内再発率、予後などを持ち寄り、乳腺疾患の診断や治療の層別化因子としてCBTが活用できるかについて議論したい。また、CBTに関する撮影装置の精度管理についての演題も募集する。

その他プログラム

乳房超音波診断ガイドライン第4版 改定のポイント
【指定】
「乳房超音波診断ガイドライン」の改訂第4版が2020年秋に発刊される予定である。これは、前回の改訂第3版から6年目の変更となる。今回の改訂における大きなポイントは、2018年5月の日本乳癌学会による乳癌取扱い規約第18版と、2019年11月に発行されたWHO分類第5版において行われた病理組織分類の変更への対応が挙げられる。特に、前者で浸潤性乳管癌の亜分類が硬性型、充実型、腺管形成型に変更されたが、従来の分類と比べ超音波画像上どのような違いがあるのかについても記載されている。また、超音波検診における要精査基準において、混合性腫瘍(嚢胞内腫瘍)に関しての大きな変更が行われたのも注目すべき点である。本セッションでは、JABTS乳腺用語診断基準委員会の委員にご登壇いただき、第4版改定のポイントを解説いただくとともに、乳房超音波ドプラ法と造影超音波に関する最新の知見も報告していただく予定である。
対談:がん検診の精度管理と組織型検診
【指定】
本学術集会でも、がん検診を正しく実施することについての議論は多く行われているが、より多くの人が受診できるシステムについての議論は少ない。日本では市町村により対策型検診が行われているが、住民の一定数は、企業の福利厚生の一環として行われている職域検診を受けている。職域検診は報告義務がないので市区町村では受診者を把握できないため、国全体としての正確な検診受診率が算出できず、有効な受診勧奨もできず精度管理が困難である。対策型検診の理想形は、がん検診対象者を名簿で一括管理できる組織型検診である。本セッションでは、がん検診システムに造形の深いお二人の先生にご登壇いただき、日本の健診・検診システムの現状と問題点、日本で組織型検診を行うにはどの様な手順が必用か、対策型検診の代替方法(マイナンバーと保険証番号の紐づけ)などについて議論していただき、会場の皆さんと日本のがん検診システムについて考えていきたい。
鼎談:過剰診断の現状と対応策
【指定】
がん検診の不利益の一つとして過剰診断がある。甲状腺がんや前立腺がんほど多くはないが、乳がん検診においても一定の割合で存在し過剰治療が懸念されている。過剰診断の不利益を低減させるためには、画像診断、病理診断、治療の各段階で対応策を検討することが考えられる。本セッションでは、特に「過剰診断を考えて、病理はどこから乳管内病変を癌とすべきか?」について、司会役の大竹先生のもと、武部先生からはTavassoliのDIN分類を題材として外科医の立場から、堀井先生からはLakhaniの考え方を元に病理医の立場から論じていただき、会場の参加者とともに過剰診断についての理解を深め、これからの乳がん検診やその後の乳癌診療について考えてみたい。
倫理教育関連講習会
広報委員会報告
超音波精度管理委員会報告