第20回日本ヘルニア学会学術集会(20周年記念集会)
第20回日本ヘルニア学会学術集会
会長 三澤 健之(帝京大学医学部外科学講座)
日本ヘルニア学会会員ならびに関係者の皆様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます。
この度、記念すべき第20回日本ヘルニア学会学術集会をお世話させていただくことになりました。大変光栄に存じますとともに、あらためてその責任の重さに身が引き締まる思いです。
思い起こせば、本会名誉理事長(もと帝京大学医学部外科学講座主任教授)の冲永功太先生が本学会の前身である日本ヘルニア研究会を発足され、第1回研究会を赤坂プリンスホテルで開催したのが2003年4月12日のことでした。それから20年目という節目の年に、冲永先生の薫陶を受けた私が同じ帝京大学の一員として学術集会を開催させていただくのも不思議な巡りあわせであると感じております。ご存知の通りJHSの事務局は現在も帝京大学内にありますが、本会の発展に情熱を傾けられた冲永先生のデスクには過去の全学術集会の抄録集や関係資料が今も整然と並んでいます。
さて、このたびの第20回学術集会のテーマを、シンプルかつ潔く、『repair』の一語で表現させていただきました。Repairの訳としてだれもが思いつくのは『修復』でしょう。修復とは、『修繕してもとのとおりに戻すこと』です。よくよく考えてみますと、数多ある一般・消化器外科手術の英語表記でこのrepairという言葉が使われるのはヘルニア以外にほとんどありません。もしヘルニア手術のポイントがsacの切除であるならresectionやremovalを、後壁の補強であればreconstructionかaugmentationを、またヘルニア門の閉鎖ならばclosureやsutureなどが使われてもよさそうなものです。しかし敢えて医学用語には程遠いrepairが使われているところに実は深い意味(深意)があり、他の手術と良い意味で差別化がなされているように思われます。私は、このシンプルな『ことば』の中に、何か外科医療の本質めいたもの、すなわち完璧を目指す職人気質、プロフェッショナリズム、さらには一子相伝の奥義といったものさえ感じます。
本学術集会ではこの『repair』という言葉の深意を考えつつ、ヘルニア診療の原点に立ち戻って、白熱した議論を交わしていただきたいと思います。また、この20年の間に何が変わったのか、そして何が生まれたのかを振り返っていただき、その中からヘルニア診療の将来を展望していただきたいと考えております。
海風の爽やかな初夏の候、異国情緒の漂う横浜の地に是非とも大勢の方々のご参加をお願い申し上げます。
See U soon in YOKOHAMA!
2021年6月吉日