第135回中部日本整形外科災害科学会・学術集会

会長挨拶

会長 内尾 祐司

第135回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会
会長 内尾 祐司
島根大学 医学部 整形外科学

このたび、第135回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会を島根大学医学部整形外科学教室が担当させて頂きますこと、大変光栄に存じます。当教室が担当させて頂きましたのは、故 廣谷速人先生(初代島根医科大学整形外科学教室教授)が、昭和62(1987)年に第69回本学会学術集会を松江市で開催したものであり、33年ぶりでございます。

本学会学術集会は、昭和27(1952)年に第1回を清水源一郎先生(大阪大学医学部整形外科学教室教授)が主催されてから今回で第135回を迎えます。昭和27年は、太平洋戦争敗戦後、サンフランシスコ講和条約によって日本がやっと主権を取り戻した年でもあります。戦後の焼け野原からまだ復興の途上にあった当時、先達は整形外科災害外科学の進歩発展に寄与することを目的として、「近畿・東海整形外科災害外科学会」(仮称)を設立します。そして、翌昭和28(1953)年6月、名称を「中部日本整形外科災害外科学会」に定め、今日に至ります。日本はその後、「すでに戦後ではない」と経済白書に書かれた昭和31(1956)年を経て、高度経済成長、オイルショック、バブル景気と崩壊、「失われた20年」といわれる経済停滞と、激動の歴史を辿ります。一方、運動器疾患では、1950年代までの結核、60年代のポリオ、70年代の産業災害と変遷し、そして今、超高齢社会の到来とともに、運動器症候群(ロコモティブシンドローム)という、新たな課題が生じています。それらに対して、感染症の征圧・予防、マイクロサージャリー、関節鏡手術、脊椎内視鏡手術、人工関節、再生医療、iPS細胞等の開発、分子生物学、ゲノム解析、ロボット工学、人工知能などの進歩や、深部静脈血栓症塞栓症の予防・治療、医療安全対策の推進など、様々な領域の新たな整形外科学・医療の進歩・発展がなされてきました。令和の御代となった今、日本の未来、そして整形外科の未来はどうなるのでしょうか。

第135回となる本会では、日本の整形外科災害外科学のさらなる進歩と発展を期して、“日本の未来を創る”をテーマとして掲げました。

特別講演には、青山繁晴氏(参議院議員、前独立総合研究所代表取締役社長、東京大学教養学部非常勤講師)、斎藤成也先生(国立遺伝学研究所 集団遺伝研究室教授、東京大学大学院生物科学専攻教授)をお招きし、日本人の源流や日本の国となり(国柄・国体)とその未来を熱く語って頂きます。また、松本守雄先生(日本整形外科学会理事長、慶應義塾大学医学部整形外科学教授)には、日本整形外科学会の未来像をお示し頂きたいと思います。

さらに、教育研修講演では、池川志郎先生(理化学研究所 統合生命医科学研究センター骨関節疾患研究チームリーダー)、岩崎倫政先生(北海道大学大学院医学研究院 整形外科学教室教授)、紺野愼一先生(福島県立医科大学医学部整形外科学講座教授)、志波直人先生(久留米大学医学部整形外科学教室教授)、島田洋一先生(秋田大学大学院 整形外科学講座教授)、妻木範行先生(京都大学iPS細胞研究所増殖分化機構研究部門細胞誘導制御学分野教授)、中村雅也先生(慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授)、丸毛啓史先生(東京慈恵会医科大学整形外科学講座教授)など、各領域の第一人者をお招きし、それぞれ、ゲノム解析、新素材開発、運動器疼痛、宇宙工学の整形外科への応用、ロボット工学によるリハビリテーション、iPS細胞による軟骨再生、脊髄再生、医療安全など、各分野の最先端の医学・医療とその未来をお話し頂く予定です。

加えて、”Reviewers under 40”と題して、40歳未満の先生方に、ご専門領域のアップデイトなレビューを頂き、当該分野の現状と未来に解決しなければならない課題を纏めて頂くセッションを設ける予定です。

第1日目に全員懇親会を、「花と鳥の楽園」松江フォーゲルパークで開催します。また、3x3バスケットボール大会を行い、優勝者を表彰したり、Reviewers under 40での優秀なプレゼンターへの賞や優秀ポスター賞なども表彰する予定です。

本学会の多くの先達のご尽力によって、今日の日本の整形外科医学・医療が発展してきました。今後さらなる発展を期するためにも、どうか皆様方の活発なご討論をいただきますようお願い申し上げます。とくに、次代を担う若い整形外科医師の未来への飛翔のために、温かいご指導とご助言をいただき、本学会の135回に亘る素晴らしい伝統をお伝え下さるようお願い申し上げます。

10月の松江は神在月でございます。整形外科医学・医療の神様のご来訪を心よりお待ち申し上げております。学会の合間には、海の幸・山の幸も豊富な山陰の味覚を満喫しながら、日頃の疲れを癒して頂きたいと思います。どうか、多くの皆様のご参加と活発なご討論を心よりお願い申し上げます。

page top