会長挨拶

会長 室 圭
(愛知県がんセンター薬物療法部)
この度、第98回日本胃癌学会総会を2026年3月4日(水)、5日(木)、6日(金)の3日間、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにて開催する運びとなりました。歴史と伝統のある本学会を私の所属する愛知県がんセンターで開催させていただくのは、胃癌研究会時代の過去に遡れば、第13回長与健夫先生(病理)、第41回山田栄吉先生(病理)、第48回春日井達造先生(内科)、第58回中里博昭先生(外科)が務められております。日本胃癌学会としては、山村義孝先生(外科)が第79回会長を務められた2007年以来19年ぶりであります。わが国の胃癌診療にまさに心血を注いで来られた諸先輩方と同じ重責を担うことは、大変光栄に感じるとともに、全身が引き締まる思いです。
日本胃癌学会総会は、胃癌を専門とする外科医、消化器内科・内視鏡医、腫瘍内科医、病理医、基礎研究者など、多岐にわたる専門家が一堂に集まり、自分たちの研究成果を発表し、それを互いに共有し熱く議論し、勉強する場であると認識しております。今回の総会のテーマを「エビデンスと実践、そしてその先へ/Evidence, Practice, and Beyond」としました。最近の胃癌薬物療法の進歩は著しいものがあります。その背景には、テーマに掲げたような、独創的な臨床開発、確かな臨床試験、そして実地臨床でのさまざまな工夫や取り組みがあったからこそであると考えます。エビデンスを構築しそれを実践すること、さらなる治療成績の向上を目指していくこと、このテーマこそが薬物療法を専門とする自分の医師人生そのものを具現化したものだと考えます。このことは薬物療法だけでなく、外科領域、内視鏡領域、病理の領域等にも共通した、癌診療のあるべき姿であるとも思っております。
今回の総会は、第11回APGCC(Asia-Pacific Gastroesophageal Cancer Congress)との合同開催となっております。アジアを中心に海外から各領域の第一人者や最前線で活躍している人たちを多数お招きして、国内外の老若男女の医師はじめメディカルスタッフの方々は勿論、胃癌診療の主役であるべき患者さんとそれを支える方々などを含めて、できるだけ多くの人たちに現地参加していただきたいと切に願っております。第11回APGCC会長の後藤田卓志先生とは、中学・高校からの同級生でもあり、国立がんセンター中央病院で共に働いた盟友です。彼とともに、本総会を大いに盛り上げたいと思っております。
本総会は何故か私自身の縁もゆかりも無い沖縄で開催されます。それには幾つかの理由があり、会長講演で少し触れさせていただきます。
3月初旬の本州はまだまだ寒いなか、この沖縄はとても暖かく、独特の文化と歴史、綺麗な海、雄大な自然をはじめとする観光の宝庫です。この地で、最前線の学際的な議論で盛り上るとともに、国内外や各職種間の交流を図っていただき、そして、沖縄で過ごす貴重な時間を大いに楽しんでいただけたら私ども主催者としてこれ以上の喜びはありません。沖縄で皆様とお会いできること、大変楽しみです。
本来であれば、本総会の開催経費は参加者の会費で賄われるべきであり、できるだけ簡素、質素を旨として運営を企画してはおりますが、物価の高騰等により、諸経費の捻出に苦慮しておるところでございます。本総会および当分野に関連される企業の方々におかれましては、総会開催の趣旨にご賛同いただき、ご協力をお願い申し上げる次第でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。