第92回日本胃癌学会総会
会長 落合 淳志
(国立がん研究センター 先端医療開発
センター長)
第92回日本胃癌学会総会開催にあたり
この度、2020年3月4日から6日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜みなとみらい)におきまして
第92回日本胃癌学会総会を開催いたすことになりました、国立がん研究センターの落合淳志です。
胃癌の罹患率や死亡率が少なくなったとはいえ、現在でもおよそ5万人の胃癌患者の方々が亡くなっており、これまで以上に新しい胃癌の診断・治療の開発が望まれます。
医学の発展は著しく、前世紀の終わりから始まった新しいコンピュータ技術、素材技術、分子生物学技術、インフォメーションテクノロジーなどの科学・技術の進歩が、実際の生活に導入されており、医療においても、昨年度からゲノム医療が始まり、新しい診断技術の開発、ロボット手術、分子標的療法、個別化医療と診断・医療が大きく変化し始めました。実際の医療面においても、患者の高齢者化、保健医療問題など、その環境も大きく変わりつつあります。胃癌患者数は今後増加しますが、20~30年後には素晴らしいことに減少し、胃癌医療の集約化や専門化を図る必要があることも想定されております。胃癌で苦しむ方が少なくなることは医療者にとって素晴らしい成果であるとともに、胃癌医療者側では、これまでの胃癌治療とは異なる新しい診療モデルを提案し作り上げることが必要であると思われます。
第92回日本胃癌学会では、テーマを「Beyond the frontier – 次世代の科学に基づいた胃癌診療を考える –」とし、最先端科学により現在の諸問題を越えて将来の日本の胃癌診療がどのように変わるのか、またどのように変えていくのかを皆さんで考えることを目指したいと思います。特に新しい治療法、研究を知ることで、これからの胃癌診療に資するとともに、この第92回総会が将来の胃癌学会の方向性について何らかの方向性を感じることができればと思います。
第92回総会では、これまでと同様に海外からの演者を含めた各種シンポジウム、胃癌の基礎的理解、特にこれから次々と導入されるロボット手術や機能内視鏡、次世代の病理診断とともに、スキルス胃癌など私たちが超えなければならない診療上の課題を取り上げ、新しい胃癌診療に関わるシンポジウム、特別講演、会長講演、教育講演などこれまでの胃癌との闘いをもとに、次の世代を超える新しい情報を皆さんで共有し、新しいシステムを作り上げる第一歩としていただきたいと望んでいます。