この度第48回日本マイクロサージャリー学会を2021年12月3日(金)〜12月4日(土)、つくば国際会議場にて、また同時に第5回アジア太平洋マイクロサージャリー学会(5th APFSRM)を同12月1日(水)〜12月3日(金)に同会場で開催させて頂くことになりました。5th APFSRMは本来であれば2020年11月に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大につき延期となり、今回あわせて開催させていただく運びとなりました。
第48回大会の事務局は筑波大学、5th APFSRMの会長は柿木良介先生に準備委員会の事務局長は引き続き服部泰典先生にお願いしております。
学会ポスターは歌川広重の名所江戸百景より深川洲崎十万坪、後ろに見える山は筑波山です。左下の海に浮かんでいる樽は日常の症例や研究の波に揺られている私達を象徴しているのかも知れません。空には鷲が悠々と高所から見下ろし全てを視界にいれています。本学会のテーマ「俯瞰 ― Overview」はマイクロ的な視野に陥りがちな我々がもっと他の分野をこの鷲のように俯瞰できればと思いつけております。右奥に見えるロケットはつくばの象徴でもあり、下界から高いところに昇って俯瞰していきたいとの思いも表しています。
形成外科分野も本学会が48回を迎えるにあたり当初の特殊な世界というものから形成外科、整形外科が身につける基本的技術になりました。各分野で発展してきましたが、お互いの分野の理解が薄くなっているように感じています。本学会では第5回アジア太平洋マイクロサージャリー学会とあわせて開催ですので、両学会に参加いただきマイクロサージャリーの基本的技術から最新のロボット、3Dまで幅広く俯瞰出来る学会にしたいと思っております。
特別講演は山海嘉之 筑波大学 システム情報系教授/サイバニクス研究センター研究統括/未来社会工学開発センター長・CYBERDYNE(株)代表取締役社長/CEOにお願いいたしました。山海先生はご存じのようにロボット工学の第一人者で装着型サイボーグHAL®(Hybrid Assistive Limb)を開発され、実用化された著名な先生です。発想から実用化、企業化への挑戦についてお話し頂き、諸先生のお役に立てればと思っております。
またもう一つの講演としては浮世絵で有名な原宿の太田記念美術館 上席学芸員の渡邉晃先生に浮世絵に見る筑波山といったテーマで浮世絵のテクニックなどについてお話し頂く予定です。
学生時代に形成外科の講義で進行性顔面半側萎縮症(Romberg病)の遊離鼠径皮弁による再建や有茎・遊離皮弁による乳房再建を見て衝撃をうけたのが、マイクロサージャリーに興味を持ち、形成外科の道に進んだきっかけでした。本学会は1987年に第14回を先代の中山凱夫教授が開催されて以来、34年ぶりのつくば開催です。また1988年に北海道大学を卒業、形成外科に入局した私が最初に参加した全国学会が奇しくも同年、熊本で行われた第15回の本学会でした。卒後数ヶ月でほとんど内容も理解できないながらも前外側大腿皮弁の黎明期で活発な議論がなされていたのを今でも覚えております。本学会を当大学で主催させて頂くことに感慨深いものがあります。
前回のつくば開催時は非常に不便であったと聞いていますが、今は秋葉原からつくばエクスプレスで50分前後と非常に近く便利になりました。秋葉原は東京駅から山手線で2駅、新幹線でも航空機でも来やすい場所です。
2020年は新型コロナウイルス感染などもあり、Hybrid開催となりました。学会の意義としては発表を聞くほか、時間制限があるためできなかった質問を直接フロアで行ったり、非公式な意見交換を行ったり、人的交流を深めるということでもあると考えております。現在まだコロナウイルス感染症の影響はありますが、医療者へのワクチン接種も進んでおり、12月には現地で開催できると考えております。
今回は昨年実施できなかった技術講習会の開催、昨年好評であったスーパーマイクロサージャリー学会の第二回開催、ハンズオンでは人工神経の吻合、微小エコーによる血管、リンパ管の描出(事前申し込み制)なども企画しております。
2020年お会いできなかった多くの先生と交流を深める機会になればと願っております。
それではつくばで皆様とお会いできる事を楽しみにしております。
第48回日本マイクロサージャリー学会学術集会
会長 関堂 充
(筑波大学医学医療系 形成外科 教授)