第36回日本外科感染症学会総会学術集会

ご挨拶

会長:小野稔

第36回日本外科感染症学会総会学術集会
会長 岡本 好司
北九州市立八幡病院
外科 / 消化器・肝臓病センター

この度、令和5年(2023年)12月15(金曜)〜16日(土曜)、第36回日本外科感染症学会総会学術集会を北九州市にて開催させていただきます北九州市立八幡病院の岡本好司と申します。本学会の第1回学術集会は、まだ日本外科感染症研究会であった時代の昭和63年12月17日に名古屋市にて開催されました。全国より54題の演題が集まり、術後感染症の予防および多臓器障害(MOF)と感染という2つの大きなテーマを中心に活発な討論がなされました。当時、研修医修了後に大学院生として研究に没頭していましたが、汎発性腹膜炎や急性閉塞性化膿性胆管炎からのDIC(播種性血管内凝固症候群)についての発表をさせていただきました。それから第35回学術集会まで皆勤賞で学会に参加してきました。当時は著名な先生の前で発表できることが嬉しく、また多くの先生と親しくさせていただき、成長できる糧を得るために頑張っていたことが思い出されます。今回で36回目の開催となりますが、学術集会長を務めてこられた外科感染症学の多くのレジェンドの先生が築き上げて来られた歴史と伝統のある本会を主催させていただくことは大変光栄に存じますと同時に責任の重大さに身の引き締まる思いです。このような機会を頂きました学会役員・学会評議員ならびに会員の皆様に心より感謝申し上げます。

さて、2020年1月から突如全世界を混乱に陥れたCOVID-19パンデミックは3年近く経ちますが、なお沈静化するに至っておりません。一方で、世界は経済活動を含めた生活の方向性をwith コロナで持ち直そうと舵を切り頑張っています。このような時であるからこそ本邦においても、外科感染症分野の縦断的かつ横断的な学術活動を継続発展させていかねばならないと考えています。

今回、本会のテーマを「『耐え難きを耐え、忍び難きを忍び』の心で外科領域感染症に挑む」にさせていただきました。この言葉は、皆様ご存知のように昭和天皇陛下が終戦の日に国民に向かって行った玉音放送での有名なフレーズであります。実は、小生の曽祖父にあたる山本玄峰老師(臨済宗妙心寺派の第21代管長、本名 岡本芳吉)が当時の鈴木貫太郎総理大臣からの依頼で進言したものです。終戦後も、『天皇は日本国の象徴である』などの進言もしているのですが、これらのことから岡本家の家訓として、この精神論を幼少期から叩き込まれてきました。今の日本の復興があるのも、当時の日本国民がこの気持ちを忘れずに戦後を過ごしてきたからと考えています。外科感染症の診療の極意も、辛抱強く、じっくりとかつ確実に一歩一歩進めていくことが大事と思います。絶対にあきらめない気持ちが診療でも、教育でも、研究でも大事と思っており、実践して参りました。是非、皆様の研究、症例の成果を発表していただけると幸いです。

2023年12月の開催は、現地での通常開催を目指しております。初冬の北九州を訪れて頂き、小倉城や巌流島、関門海峡、河豚やクエ(福岡ではアラと呼びます)料理などを楽しんでいただければ幸いです。皆様が参加して良かったと思っていただけるよう、学会を開催していく所存です。何卒、宜しくお願い申し上げます。

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