第26回 日本薬剤疫学会 学術総会

会長挨拶

第26回日本薬剤疫学会学術総会のテーマは”Regulatory Science Meets Epidemiology.”といたしました。

 医薬品医療機器の市販後安全性確保と適正使用を主なゴールとする薬剤疫学は、その科学的な基盤となる疫学のみならず、それが拠って立つ薬事規制へ考慮なしには成立しない学問領域です。承認後のみならず承認以前の臨床試験に関わる法制度の変革によっても、薬剤疫学に期待される役割と取り扱うべき領域には大きなインパクトをもたらすでしょう。GCPは従来介入試験データを取り扱う基準とされてきましたが、2017年のGCP renovationで示された新たな方針を受け、2020年には大幅なGCPの改正を迎え、ICH E6(R3)ガイドラインでは、日常診療下で得られる膨大なRoutinely Collected Dataをその対象とし、薬事上の意思決定に活用することとされています。レギュラトリーサイエンスという体系化された学際領域の中では、薬剤疫学は集団における医薬品の評価を担う学問として意義付けられます。この薬剤疫学で従来から汎用されてきたデータソースや、その解析技術が、安全性評価のみならず新薬承認審査などに用いられる途が開かれたのです。本会では、医薬品医療機器の開発ライフサイクルにおける薬剤疫学の利用と使命について、レギュラトリーサイエンスの観点を含めた議論を展開し、共有できますと幸いです。

第26回日本薬剤疫学会学術総会
会長 漆原 尚巳
慶應義塾大学薬学部医薬品開発規制科学講座 教授

写真:会長 漆原 尚巳