第24回日本歯科医学会学術大会 会頭 住友 雅人 日本歯科医学会 会長 |
第24回日本歯科医学会学術大会は2021年9月23日から25日の3日間、開催されます。すでに4年前から開催に向けて周到に準備して参りましたが、2020年初頭からはじまった新型コロナウイルス感染拡大により、現実空間に大勢の人が集まる催しは難しい状況となりました。新しい生活様式、ニューノーマル、ウイズコロナなどのさまざまな言葉のもとで、多くの学術大会がオンライン開催となっています。第24回日本歯科医学会学術大会準備委員会でも、オンライン開催とオンサイト開催(現地開催)の割合を「その時の状況に合わせて、混合型(ハイブリッド)で開催とする」との考えも示されましたが、これだけ大規模な学術大会を「その時の状況に合わせて対応する」ということは、状況によっては混乱のリスクがあること、多くの会場を引き続き確保しておかなければならない上にオンライン運用のための人的そして物的も並行して整えなければならないことなどの理由から、実現リスクのより少ないオンライン開催と決定されました。会場として確保していた神奈川県横浜市のパシフィコ横浜は、大会本部、オンライン運営ステーション、無観客での開会式および開会講演、公開講演のために使用します。併催のデンタルショーはオンサイト開催(現地開催)と決定されています。このように様式は変わりましたが、私は、この学術大会を契機に多くの学会会員ならびに歯科医療関係者が歯科の方向性を認識し、社会に歯科医学、歯科医療の存在意義を強くアピールし歯科界を活性化するという目標達成は完遂できるという自信に至っています。大会テーマは「逆転の発想 歯科界2040年への挑戦」ですが、この大会準備の試練は、まさに「逆転の発想 歯科界2021年への挑戦」でありましょう。
さてオンライン開催として、より多くの方々に参加いただける大会であるために、今回は日本歯科医学会と日本歯科医師会が主体性をもって開催することにし、全分科会と7地区歯科医師会に併催を呼びかけました。結果、12の分科会と1つの地区歯科医師会から申し出がありました。それぞれの2021年度の年次大会が第24回の学術大会とジョイントすることになります。開会講演は今回のテーマを鑑み、仕掛学という新しい見地から「逆転の発想」に取り組んでおられる大阪大学大学院経済学研究科の松村真宏教授にご登場いただきます。公開講演は池上彰氏にお願いしました。公開フォーラムでは小学生、中学生、高校生とその保護者世代を対象にし、歯科界に進みたいという若者を増やすための企画としました。大会の核となる歯科のイノベーションについては2040年に向けたロードマップを示し、この学術大会を大きな契機として、健康寿命の延伸を目指します。
歯科界はこれまで、それぞれが真摯に努力をしてきたにもかかわらず、その努力が報われたという達成感に恵まれるどころか、マイナスのイメージを生み出しています。これまでのストラテジーではブレイクスルーは起こりません。発想の転換やパラダイムシフトのレベルよりももっと大きな挑戦が必要です。「逆転の発想」とは、従来思いもよらない構想、ときには非常識ともいえる大胆な行動、人を動かすカリスマ性などさまざまのストラテジーです。それらを駆使して「元気な歯科界」を創生し、その活力をもって健康寿命の延伸というこれから最も望まれる社会貢献を目指していきましょう。
世界に目を向ければ、新型コロナウイルスの感染拡大で大変な状況になっていますが、対応がSDGsの目標の実行であることは明らかです。世界的な危機には、人類が協調してとり組む必要があります。まさに世界的新結合です。われわれは歯科医療・歯科医学をもってこの戦いに挑みます。その意味においても第24回学術大会は重要です。この大会において歯科界の明確なストラテジーを構築し、次のステップへの足掛かりとしましょう。
ぜひ、多くのみなさんのご参集をお待ちいたします。
(2020年12月22日更新)