第16回医療の質・安全学会学術集会
大会長 矢野 真
日本赤十字社医療事業推進本部総括副本部長
第16回医療の質・安全学会学術集会の大会長を仰せつかりましたので、ご案内とご挨拶をさせていただきます。第16回学術集会は2021年11月27日(土曜)~28日(日曜)に神戸国際展示場・神戸国際会議場で開催させていただく予定です。COVID-19等、状況が不透明な部分もありますが、与えられた条件の中で、質の高い学術集会となるよう、準備を進めていく所存です。
メインテーマは「心でつなぐ安全文化~Cosmetic complianceとの戦い~」といたしました。「安全文化」という言葉は聞きなれつつも、漠然としており、皆様がどれだけ意識されているかわかりませんが、私自身は長年医療安全に関わり、多くの医療施設の状況を見聞きしてきた中で、施設による「安全文化」の違いを感じることがあります。その違いの要因を表すキーワードの一つが「Cosmetic compliance」ではないかと考えています。「Cosmetic compliance」とは文字通り「見かけ上の法令遵守」という意味ですが、医療法で決まっているから、診療報酬の施設基準だからということで、取り組んだものの、形だけに終わっていることを言います。もちろん、目的達成のためには形から入ることは重要で、医療安全部門の熱心な取り組みにより、組織的な取り組みとして機能しているかもしれません。しかし、「安全文化」として、職員一人ひとりの心の中に醸成され、代々受け継がれていくことは必ずしも容易ではありません。10年、20年かけて、組織文化となっていきます。第16回の学術集会では、この「心でつなぐ安全文化~Cosmetic complianceとの戦い~」という視点で、何かを探ることができればと考えております。
副大会長、プログラム委員長、副委員長は、長年医療安全に取り組んできた仲間たち(のうち中堅のベテラン)です。そして、医療の質・安全に関心をもっている皆様が本学会の主役です。皆様と一緒になって、学術集会を盛り上げていきたいと思います。ご支援、ご協力をお願いいたします。