理事長講演
演者: |
持田 智 |
(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科) |
会長講演
演者: |
金井 隆典 |
(慶應義塾大学医学部内科学(消化器)) |
特別講演
特別企画
「Physician Scientist への誘い」各世代からみた Physician Scientist 育成への提言
シンポジウム
シンポジウム1 ※英語セッション
消化器臓器から俯瞰する免疫・炎症・代謝連関
Broad look at immunity, inflammation, and metabolism involving the digestive organ crosstalk
生体を構成する多様な器官系は、それぞれが特徴的な制御機構を持ち、複雑な生体内応答を示す。肝臓、膵臓、胆道、消化管と脳や自律神経、心臓、腎臓さらには筋肉や骨髄といった各臓器間には、巧妙で複雑な制御システムが存在する。近年、恒常性維持機構における各器官系および各臓器の基本的な生理機能の理解が格段に進み、代謝学や腸内細菌、免疫学、組織微小環境、細胞外小胞、イメージング、マルチオミックス研究などから、臓器間ネットワークの解明のためのさまざまな学際領域を融合した研究が報告されるようになり、創薬開発にも発展している。本セッションでは、消化器系臓器を中心に置いて、免疫、炎症、代謝系、さらに神経系をはじめとしたさまざまな多臓器連関に注目し、特定の臓器、学際領域に限定することなく最新知見について俯瞰し、議論を深めたい。
Living organisms comprise organ systems, each with their own unique regulatory mechanisms that generate complex in vivo responses. All these systems include intricate regulatory mechanisms around the organs, such as those found between the liver, pancreas, biliary tract, and gastrointestinal tract and the brain and autonomic nervous system. These are also found between the heart, kidneys, and even among muscles and bone marrow. Recent advances have led to a detailed understanding of the basic physiological functions of these organ systems and organs within homeostatic or regulatory mechanisms. Consequently, interdisciplinary studies encompassing areas including metabolism, intestinal bacteria, immunology, tissue microenvironment, extracellular vesicles, imaging, and multi-omics have revealed interorgan communication networks that considerably facilitate drug discovery and development. In this session, our primary focus will be on organs within the digestive system while also addressing those involved in immunity, inflammation, metabolism, and the nervous system. We will provide an overview and further discuss the latest findings spanning various organs and interdisciplinary fields, without limiting ourselves to a specific organ or academic field.
司会: |
坂本 直哉 |
(北海道大学病院消化器内科) |
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妹尾 浩 |
(京都大学医学部附属病院消化器内科) |
シンポジウム2
消化器癌領域における免疫関連有害事象
消化器癌に対する薬物療法の進歩は著しいが、近年の進歩は免疫チェックポイント阻害薬と遺伝子異常の診断と遺伝子異常に基づく治療(いわゆるゲノム医療)によるところが大である。免疫チェックポイント阻害薬の臨床導入により、食道癌、胃癌、MSI-H大腸癌、肝癌、胆道癌など、各種消化器癌の治療成績は大きく向上したが、免疫関連有害事象(irAE)の対応が課題となる。irAEに関して、早期発見と適切な対応により重症化が防げるものも多く、知識と経験を持った医療者による患者の状態の把握と気づき、血液検査、各種レントゲン検査、内視鏡検査等の注意深い観察がポイントになる。院内外における各種マニュアルの作成と情報共有、院内や地域でのチーム医療が強く求められている。本セッションでは、irAEの実態や診断・治療、各施設や地域での対応、患者指導など、臨床に役立つ演題の応募を期待している。また、基礎研究からのアプローチも歓迎する。
司会: |
室 圭 |
(愛知県がんセンター薬物療法部) |
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伊佐山 浩通 |
(順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科) |
シンポジウム3
消化器病におけるAIの活用
第4次産業革命におけるAIの急速な発展により、消化器病の診療、研究、教育の多岐にわたる分野に大きな革新をもたらしている。大規模言語モデル(LLM)を備えた生成AIは、自然言語のディープラーニングから医用画像までを理解するようになってきた。診療面では、AIが内視鏡、画像診断や病理学的データの解析において高い精度を示し、消化器癌の早期診断や治療計画の最適化に貢献している。また、研究面ではAIが大量のゲノム等のデータを高速に分析し、新たな疾患の予防策や治療法の開発に寄与している。本シンポジウムでは、具体的なAIの応用事例を通じて、消化器分野にもたらす革新と未来への展望について議論する。医療AIの最先端技術や創薬研究、電子カルテ、内視鏡、外科手術などのAIの応用事例に焦点を当て、AIの進化がもたらす潜在的な可能性と、消化器分野におけるさらなる発展に向けた方向性を共有する。
司会: |
高山 哲治 |
(徳島大学病院消化器内科) |
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中本 安成 |
(福井大学医学部附属病院内科学(2)分野) |
シンポジウム4
消化器疾患再生医療の近未来
消化器領域は多彩な臓器の疾患を対象とした診療を担っているが、これら疾患において重篤かつ難治な経過を辿った場合、不可逆的かつ広汎な臓器機能の破綻を来し得る。また、慢性炎症や発がん等を起因とする正常組織の破壊・機能の喪失が生じた際、如何なる方法で速やかに本来の構造と機能を回復させ得るのか、未だ多くの課題が残されている。近年、オルガノイド技術や組織工学・ゲノム編集技術等の大幅な進展により、消化器領域においても細胞や組織を用いて喪失した組織・臓器の機能を回復させるための再生医療の実用化と普及が既に始まっている。また新たに、細胞外小胞(エクソソーム)を如何に使うかの臨床を踏まえてのガイダンスも発出され議論も進んできた。日本消化器病学会では、再生医療研究推進委員会の活動を通じて多くの再生医療の研究、臨床展開が進んでいる。本シンポジウムでは消化器領域における新しい再生医療を切り拓く基礎的な研究から、実用化に向けた臨床研究が進展している研究まで幅広い演題を募集し、私たちの領域における再生医療研究が描く近未来を共有する機会としたい。
司会: |
寺井 崇二 |
(新潟大学医歯学総合病院消化器内科) |
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岡本 隆一 |
(東京医科歯科大学病院消化器内科) |
シンポジウム5
機能性消化管疾患の病態と診療の展開
機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)を代表とする機能性消化管疾患は現在、Disorders of Gut-Brain Interaction (DGBI)と呼称される。DGBIの病態は消化管運動障害、内臓知覚過敏、バリア機構破綻、腸内細菌叢、食物成分、心理的ストレス・不安・うつなど様々な因子が複雑に関与しているとされる。現在までに、GERD、FD、IBS、慢性便秘症、慢性下痢症の診療ガイドラインが発行され、フローチャートに基づいた治療がなされているが、未だ難治例も多く存在する。また、DGBIには機能性胸やけ、反芻症候群、げっぷ障害、腹部膨満感・腹部膨隆、便失禁など様々な疾患が含まれており、このような疾患の診療の現状については十分に明らかとなっていない。本シンポジウムではDGBIの病態や診療の現状・課題について新しい知見を幅広く募集し、今後の研究の展開を討論したい。
司会: |
春日井 邦夫 |
(愛知医科大学病院消化管内科) |
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藤原 靖弘 |
(大阪公立大学医学部附属病院消化器内科学) |
シンポジウム6
炎症性腸疾患治療の課題における外科と内科のディベート
潰瘍性大腸炎の内科治療の進歩は著しく、難治による手術例は減少したが、代わりに病悩期間が延長することによる癌/dysplasia例が増加している。炎症性発癌例では基本的に大腸全摘術が行われるが、炎症性発癌と通常型発癌の鑑別診断は容易ではなく、さらに許容されれば内視鏡的粘膜下層剥離術を行い厳重経過観察することもある。また、高齢発症例が増加し、急速に進行する重症型も多いため、手術のタイミングが遅れたり、術後合併症により予後不良となることも経験する。クローン病の内科治療の進歩も著しいが、狭窄例に対するバルーン拡張術の適応とその限界や、膿瘍例に対する治療方針に関しても、内科医と外科医の意見が必ずしも一致しないことがある。そこでシンポジウム6では、内科治療の進歩により新たに生じている問題点・課題を提起してもらい、内科医と外科医が積極的に討論を行うことで、治療の考え方やストラテジーの構築を目指したい。
司会: |
池内 浩基 |
(兵庫医科大学病院炎症性腸疾患外科) |
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猿田 雅之 |
(東京慈恵会医科大学附属病院内科学講座消化器・肝臓内科) |
シンポジウム7
消化管希少疾患に挑む:Bench to Bedside
内視鏡技術や遺伝子解析技術の進歩により消化管希少疾患の病態解明が進んでいる。炎症性腸疾患のどれにも分類されなかったものが単一遺伝子のバリアントが原因の「monogenic IBD」と診断されたり、「非特異性多発性小腸潰瘍症」の原因遺伝子の同定や診断法の進歩、家族性地中海熱に関連した消化管病変である「MEFV 遺伝子関連腸炎」の概念確立に加え、「腸管ベーチェット病」ではレジストリーが進んでいる。一方、遺伝性消化管ポリポーシスは特徴的な臨床像を呈する疾患群として知られてきたが、近年新たな原因遺伝子の存在が示されている。消化管希少疾患の病態解明には基礎的手法の進歩に加えて、症例を発見する診断力、症例を多施設ネットワークで蓄積する体制の構築、研究成果を臨床現場に還元させる発信力も必要である。本シンポジウムでは様々な消化管希少疾患の基礎的・臨床的取り組みにつき最新の知見を含めて討論する場としたい。多数の演題の登録を期待します。
司会: |
松本 主之 |
(岩手医科大学附属病院消化器内科) |
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穂苅 量太 |
(防衛医科大学校病院内科学) |
シンポジウム8 ※英語セッション
消化管腫瘍に対する低侵襲内視鏡治療の最近の進歩
Recent Advances in Minimally Invasive Endoscopic Treatment for Gastrointestinal Tumors
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)の登場から20年以上が経過し、表在型の消化管腫瘍の標準的な治療法として広く普及し、それに伴い多くの内視鏡治療用デバイスが開発されている。これまで非常にリスクが高いとされていた十二指腸のESDは先進施設を中心に良好な治療成績が報告され、消化管のより深部を切除する筋層での剥離や消化管全層の切除も行われるようになってきている。こうした高難易度治療を可能にするために切除後の創部の内視鏡的縫合や被覆による保護についても手技の進歩は著しい。さらに内視鏡治療に化学放射線療法を組み合わせることによる集学的治療も試みられている。本セッションでは消化管腫瘍に対する内視鏡治療の最前線について議論したい。
More than 20 years after the development of endoscopic submucosal dissection (ESD), endoscopic treatment is becoming more sophisticated as the development of devices and techniques. ESD of the duodenum, previously considered very high-risk, has been reported its improved outcomes, mainly by high-volume centers. Dissection in the proper muscular layer and even full thickness resection is now also being performed. There has also been significant progress in protection of wound by endoscopic suturing and covering material those enable challenging procedures described above. Furthermore, multidisciplinary treatment combining endoscopic therapy and chemoradiotherapy is being attempted. In this session, we would like to discuss about the cutting edge of endoscopic treatment for gastrointestinal tumors.
司会: |
斎藤 豊 |
(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院内視鏡科) |
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加藤 元彦 |
(慶應義塾大学病院内視鏡センター) |
シンポジウム9
消化管出血のマネジメントを見直す
消化管出血(内視鏡的切除後出血や静脈瘤性出血を含む)は、消化器病専門医が夜間や休日などの時間外に診療を行う機会も多い消化器救急における代表的な病態である。近年の内視鏡機器及び技術の進歩により小腸を含めた全消化管の検索が可能となり、出血点の同定に適した画像強調内視鏡やgel immersion endoscopyに代表される新技術の開発や手技の工夫がなされている。また、ペプチド由来吸収性局所止血材の開発や大腸憩室出血においてバンド結紮術が導入されるなど、内視鏡的止血法も日々進歩している。本シンポジウムでは、抗血栓薬への対応、CTなどの内視鏡以外の診断モダリティの位置づけ、適切な内視鏡実施のタイミングや周術期管理、出血源の診断へのストラテジー、内視鏡的止血法の工夫、内視鏡的止血の限界とIVR、外科的手術への移行など、医師の働き方改革の時代に適した消化管出血のマネジメントについて皆で考えてみたい。多くの演題応募を期待している。
司会: |
浦岡 俊夫 |
(群馬大学医学部附属病院内科学講座消化器・肝臓内科学分野) |
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藤城 光弘 |
(東京大学医学部附属病院消化器内科) |
シンポジウム10
小腸疾患の内視鏡診断・治療法の工夫
21世紀の最初の4分の1が経過する。アプローチが容易ではなかった小腸が内視鏡診療の現実的な対象となったのがこの四半世紀である。小腸内視鏡のガイドラインが発表され、小腸癌取扱い規約の策定も進められている。腫瘍性疾患に加えて、血管性病変や、主に若年で発症するクローン病などの炎症性の疾患も重要な対象である。カプセル内視鏡では新型の機器や読影ソフトも発表されているが、正確さと同時に読影の効率化が求められている。さらに、慢性疾患におけるモニタリングをどのように行うのか。バルーン内視鏡は観察のみならず内視鏡治療も可能であり、有用性と侵襲のバランスを考えて実際の診療体系にどのように組み込んでいくのか。本シンポジウムでは、小腸内視鏡の多様な側面を総括し、今後を展望するものとしたい。
司会: |
山本 博徳 |
(自治医科大学附属病院消化器内科学部門) |
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大塚 和朗 |
(東京医科歯科大学病院光学医療診療部) |
シンポジウム11
切除可能食道癌、食道胃接合部癌における治療戦略
近年、食道癌および食道胃接合部癌の治療において、薬物療法や手術手技の進歩により、より効果的で安全な治療が開発されています。食道癌では、術前化学療法が標準治療でしたが、抗がん剤を3剤併用するDCF療法が従来のCF療法より生命予後を改善しました。免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が術後治療として有望であり、術前化学療法への応用も期待されています。胸部食道癌に対する胸腔鏡手術は、開胸術に比べて呼吸機能を温存し、長期生命予後も良好です。接合部腺癌でも、術前の3剤併用化学療法の有用性を検証する試験が始まっています。海外では術前化学放射線療法が標準治療でしたが、術前術後の3剤併用化学療法が標準になりつつあります。化学療法にICIを併用する試験も行われています。一方で、有害事象の管理や高齢者への適応などの問題も多くあります。本セッションでは、臨床試験の結果を臨床にいかに反映するか議論したいと思います。
司会: |
竹内 裕也 |
(浜松医科大学医学部附属病院上部消化管外科) |
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加藤 健 |
(国立がん研究センター中央病院頭頸部・食道内科) |
シンポジウム12
高リスクMASLDの診断と治療
2024年に脂肪肝の疾患概念が整理され、従来のNAFLDの呼称がMASLDに改定された。新たに付け加えられた要件は、定められた代謝異常の五因子のうち少なくとも一つを有することとなっており、改めて脂肪肝診療にける心代謝系危険因子の把握の重要性が示されている。MASLDは最も頻度の高い肝疾患のひとつであり、日常診療でも、非侵襲的肝線維化・脂肪化評価の重要性が広く認知され、奈良宣言でもFIB-4 index 1.3以上を線維化進展のリスク因子としてあげている。ここ1年で欧米でのガイドラインに含まれるELF scoreや超音波やMRエラストグラフィ、脂肪減衰法なども次々と保険収載された。しかし、このような絞り込みを行ったとしても、診療の対象となる患者数は膨大であり、より優れた「高リスクMASLD」の診断法が求められている。治療に関しては、従来のガイドラインに記載されているものも含めて、肥満症治療の分野で新たな展開が生じている。本企画では、高リスクMASLDの診断と治療というテーマで、最新の研究成果を広く公募したい。
司会: |
飯島 尋子 |
(兵庫医科大学病院消化器内科学肝胆膵内科) |
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竹原 徹郎 |
(大阪大学医学部附属病院消化器内科) |
シンポジウム13 ※英語セッション
進行肝細胞癌に対する薬物療法
Systemic therapies for advanced hepatocellular carcinoma
進行肝細胞癌の一次薬物治療として、現在、免疫複合療法であるアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法、デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法が位置づけられている。また近い将来、現在進行中の臨床試験の結果の公表も期待されている。従って、このような目覚ましい進歩により進行肝細胞癌診療は大きな転換期を迎えている。現在、免疫複合療法の治療選択、治療効果に関連する肝細胞癌の臨床病理学的背景、バイオマーカー、がん微小環境等の知見が集積されつつある。その一方で、免疫複合療法後の効果的な治療シークエンスの確立、奏功例に対する肝癌治癒を目指したコンバージョン治療戦略、免疫関連有害事象の病態解明と適切なマネジメントなど、解決すべき課題も多く残されている。本シンポジウムでは、進行肝細胞癌の薬物療法について、明日からの肝癌診療・研究に繋がる幅広い視点からの演題を募集し、課題解決に向け将来展望も含めて議論を深めたい。
Combination immunotherapies, including atezolizumab + bevacizumab and durvalumab + tremelimumab, are currently employed as 1st line systemic treatments for advanced hepatocellular carcinoma. The treatment of advanced hepatocellular carcinoma is regarded as having reached a major turning point, because data from ongoing clinical trials will soon be published. Findings regarding the clinicopathological background of hepatocellular carcinoma, biomarkers, the cancer microenvironment, and other topics relevant to the selection and effectiveness of combination immunotherapy have been compiled. However, various issues remain unresolved, such as establishing effective treatment sequences after combination immunotherapy, identifying strategies for conversion treatment to cure hepatocellular carcinoma in responded cases, and elucidating the pathology of immune-related adverse events and their effective management. To address the above issues, the present symposium will feature presentations from a wide range of perspectives to contribute to future treatment and research on systemic therapy for advanced hepatocellular carcinoma and further discussions, including future prospects.
司会: |
工藤 正俊 |
(近畿大学病院消化器内科) |
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中尾 一彦 |
(長崎大学病院消化器内科) |
シンポジウム14
急性肝不全、ACLF -最新知見と治療の進歩-
厚生労働省研究班は急性肝不全、ACLFおよびその関連病態の全国調査を毎年実施している。その結果、急性肝不全はウイルス性が減少するとともに、薬物性と自己免疫性が増加するなど実態は変化しているが、内科治療による救命率には向上が見られないことが明らかになった。一方、ACLFは重症型アルコール性肝炎が主体であり、肝移植の適応とならない症例が多いが、内科的治療の体系は確立されていない。予後の向上には、地域ごとに診療連携を強化し、標準化した人工肝補助を普及させる必要がある。感染症などの合併症も減少させなければならない。また、肝移植を念頭においた予後予測法の再評価、海外の診断基準、予後予測法との整合性の検討、肝再生を目指した新規治療法の開発など、今後の課題は山積している。本シンポジウムでは、これら急性肝不全とACLFを巡る話題を広範に発表していただき、今後の研究の方向性を討論する。
司会: |
井戸 章雄 |
(鹿児島大学病院消化器内科) |
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持田 智 |
(埼玉医科大学病院消化器内科・肝臓内科) |
シンポジウム15 ※英語セッション
急性膵炎・慢性膵炎診療の現状と今後の展望
Current Status and Future Prospects for Management of Acute and Chronic Pancreatitis
急性膵炎・慢性膵炎診療は、過去30年で治療成績が著しく向上した。急性膵炎では重症急性膵炎の致命率が30%から6%に低下し、発症早期の致命率には著明な改善が見られ、後期の感染性合併症に対しても低侵襲治療が導入され治療成績が向上してきた。慢性膵炎では、早期慢性膵炎の概念が導入されるとともに、内視鏡治療の有効性と限界、外科治療の役割も明らかにされてきた。一方、急性膵炎では、発症早期における更なる治療法の開発導入、感染性合併症への治療介入の時期と各治療法の使い分けなどの問題が残されている。さらに、慢性膵炎では、早期慢性膵炎の診断法の確立、発癌防止を含めた全身状態の改善に向けた治療法の開発などが残された課題である。また、確立された治療法を如何に普及してゆくかは急性・慢性にかかわらず残された課題となっている。本シンポジウムでは、これらの問題点を含めて膵炎診療の現状と今後の展望を議論したい。
Over the past 30 years, the treatment outcomes for both acute and chronic pancreatitis have improved significantly. The fatality rate for severe cases of acute pancreatitis has dropped from 30% to 6%, with notable improvements in early stage fatality rates. Moreover, the application of minimally invasive treatments for late-stage infectious complications has enhanced treatment outcomes. In the context of chronic pancreatitis, the concept of early chronic pancreatitis has been introduced, and the effectiveness and limitations of endoscopic treatment, and surgery have been clarified. On the other hand, several challenges remain for acute pancreatitis. Including the development and implementation of additional treatments during the early stages of disease onset, determination of the optimal timing for therapeutic interventions in infectious complications, and the appropriate application of each treatment modality. Challenges in chronic pancreatitis include establishing diagnostic methods for early chronic pancreatitis and developing treatments that focus on improving the overall physical state, including the prevention of carcinogenesis. Furthermore, the widespread adoption of established treatments remains a significant issue for both acute and chronic pancreatitis. In this symposium, we will discuss the current status and future prospects of pancreatitis managements limited to these issues.
司会: |
竹山 宜典 |
(社会福祉法人大阪暁明館病院消化器外科) |
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正宗 淳 |
(東北大学病院消化器内科) |
パネルディスカッション
パネルディスカッション1
腸内細菌研究が繙く消化器疾患の病態解明
腸内細菌叢と消化器疾患に関する研究は新しい時代を迎えようとしている。細菌叢に対するショットガンメタゲノム解析、ロングリード解析と代謝物に対する質量分析手法、さらには糞便移植技術の応用、シングルセル解析などが急速に進歩し、病態モデル動物の解析だけでなくヒトを対象にしたエビデンスを取得しようとする研究も開始されている。本シンポジウムでは、消化器疾患の病態機序の解明に向けた新たな治療目標となる腸内細菌の特定とその制御方法、病態に関与する腸内細菌代謝物の同定、マイクロバイオーム創薬への取り組み、腸内細菌叢とヒトゲノムとの関わりなど意欲的なストーリー性のある課題を期待したい。
司会: |
内藤 裕二 |
(京都府立医科大学附属病院生体免疫栄養学講座) |
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安藤 朗 |
(滋賀医科大学医学部附属病院消化器内科) |
パネルディスカッション2
ロボット支援下手術の最前線と未来への展望
2018年以降、消化器領域では上下部消化管から肝胆膵領域まで幅広い術式が保険収載されたことにより、ロボット支援手術の普及が急速に進んだ。最近では、進行癌に対する手術、複雑な再建または機能温存を目指した手術など、より高難度な術式に適応が拡大している。一方、新機種のロボットが次々と臨床現場に導入されるようになり、それぞれの機種において標準術式の定型化や資格の取得が課題となっており、これらの技術をどのように標準化し、安全かつ効果的に教育していくかが問われている。さらに、手術支援ロボットには高額な購入費および維持費がかかり、医療経済的な問題も無視できない。本パネルディスカッションでは、消化管および肝胆膵の各領域におけるロボット支援手術の最新状況を紹介いただくとともに、AIやVR技術と融合など将来的な展望についても議論を深めたい。技術的側面、適応や術後成績、教育システムや経済性など、さまざまな視点からの発表を期待する。
司会: |
田邉 稔 |
(東京医科歯科大学肝胆膵外科) |
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竹政 伊知朗 |
(札幌医科大学附属病院消化器・総合、乳腺・内分泌外科) |
パネルディスカッション3
食道運動障害の最新診療
高解像度食道内圧検査(high-resolution manometry: HRM)とシカゴ分類、per-oral endoscopic myotomy (POEM)の登場により、食道運動障害の診療はパラダイムシフトを遂げた。シカゴ分類は簡潔にまとめられていたv3.0から、負荷テストを含めたv4.0にアップデートされ、病態をより正確に評価できるようになっている。しかし、症状の原因が特定できないケースやシカゴ分類に当てはまらない異常所見を認める症例もあり、近年では食道の収縮だけではなく、伸展性評価の重要性も指摘されている。全身性強皮症などの膠原病や自己免疫性神経節障害などの食道運動障害を来たす全身性疾患にも注意が必要である。食道アカラシアに対する治療については多くのエビデンスが報告されているが、非食道アカラシアに対する治療は依然確立されていない。本セッションでは、食道運動障害の病態評価や治療に関する新たな知見について議論したい。
司会: |
伊原 栄吉 |
(九州大学病院病態制御内科学) |
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栗林 志行 |
(群馬大学医学部附属病院光学医療診療部) |
パネルディスカッション4
便通異常症の診断・治療の最前線
日常診療において便通異常を訴える患者は多い。若い世代では、女性は便秘型、男性は下痢型の過敏性腸症候群が多い。男性も女性も年齢とともに便秘症が増加し、特に高齢者では、器質性、症候性、薬剤性便秘が多いとされている。海外では、慢性便秘において直腸肛門機能異常による便排出障害が比較的多いことも報告されている。近年、エビデンスレベルの高い新規慢性便秘治療薬として、ルビプロストンやリナクロチド、末梢型オピオイド受容体拮抗薬としてのナルデメジンなどの登場により治療法の選択肢が広がっている。さらに便通異常への腸内細菌叢の関与も注目され、糞便移植治療も検討されている。最近、便通異常ガイドラインが発刊され、実地医家における便通異常に対する意識も高まりつつある。本主題では、便通異常症の診断・治療に関する研究の演題を広く募集する。
司会: |
塩谷 昭子 |
(川崎医科大学附属病院消化器内科) |
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中島 淳 |
(横浜市立大学附属病院肝胆膵消化器病学教室) |
パネルディスカッション5
アレルギー性消化管疾患の病態と最新の治療:EGIDから食物アレルギーまで
近年、本邦においてアレルギー性消化管疾患が注目されるようになってきた。特に、食物アレルギーが誘因の一つとなる好酸球性消化管疾患(EGID)は増加傾向にあり、好酸球性食道炎(EoE)や小腸・大腸を中心に全消化管に病変が起こりうるnon-EoE EGIDの実態が明らかになりつつある。一方、最近では通常型の食物アレルギーとは異なる食物蛋白誘発性胃腸炎(FPIES)の成人例なども報告されており、消化管におけるアレルギー誘発の新たな病態解明が待たれている。本セッションでは、アレルギー性消化管疾患について、上部・下部消化管、基礎的・臨床的な内容を問わず、広い範囲から演題を募集し、本邦におけるアレルギー性消化管疾患の実態を明らかにするとともに、病態解明や新規治療法開発の現状、今後の課題などを含めて活発にディスカッションする機会としたい。
司会: |
石原 俊治 |
(島根大学医学部附属病院内科学講座第2) |
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鈴木 秀和 |
(東海大学医学部付属病院消化器内科) |
パネルディスカッション6
炎症性腸疾患の診療環境は近年、激変してきている。国内の患者数は潰瘍性大腸炎とクローン病を合わせて30万人を超え、毎年のように新薬が登場し、治療選択肢は増加している。さらに、treat-to-targetの概念が広く受け入れられ、バイオマーカーによる厳重なモニタリングや内視鏡的寛解を達成し長期的な寛解維持を目指す治療戦略が実践されるようになってきている。一方で、有効な治療薬は増えたものの、少なからず一次無効はあり、二次無効や安全性などの課題も残っている。また、罹病期間の長期化に伴い、炎症性発癌が問題になってきている。さらに、人口の高齢化に伴う高齢発症患者の増加は、診療上あるいは社会的にも今後大きな課題になるであろう。このような変化の中で、本パネルディスカッションでは、炎症性腸疾患の診断・治療に関する最先端の研究結果を幅広く発表していただき、今後の炎症性腸疾患診療の目指すべき方向性について活発に議論を行いたいと考えている。
炎症性腸疾患の診断・治療の最前線
司会: |
平井 郁仁 |
(福岡大学病院消化器内科) |
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松岡 克善 |
(東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科) |
パネルディスカッション7
日本から世界に発信する臨床研究から炎症性腸疾患の未来を考える
炎症性腸疾患病態解明を目指した基礎研究について、本邦から数多くの成果が公表されてきた。臨床研究についても、本邦オリジナルの診断・治療法が開発され、実臨床で使用されることができるようになった。その一方で、研究デザインが不十分なことや、単施設での少数例における研究が中心であったことが課題であった。しかしながら、近年ビッグデータを用いたコホート研究や多施設共同研究による診断・治療法の有用性に関する研究、その時代における臨床的課題を解決しうる臨床研究が本邦から公表されるようになってきている。
本パネルディスカッションではその成果を発表していただくのみならず、「なぜこの研究に取り組んだのか?」という研究に至った発想や、研究を通じて経験した臨床研究の課題についても言及していただきたい。世界に発信できる未来志向の臨床研究を遂行するための方策を演者・聴衆者が一体となったディスカッションの場としたい。
司会: |
仲瀬 裕志 |
(札幌医科大学附属病院消化器内科学) |
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長沼 誠 |
(関西医科大学附属病院消化器肝臓内科) |
パネルディスカッション8
検診内視鏡の現状と課題
消化管がん検診において内視鏡検査は有効なツールである。上部消化管では、死亡率減少効果が示された胃がん以外にも、咽頭・食道や十二指腸病変の検出が期待される。上部パートでは、撮影法や精度管理、リスク層別化に加えて画像強調内視鏡、AIなど多角的な視点で議論を進めたい。さらに、減少確実な胃がんに対する検診の在り方も議論したい。他方、下部消化管(大腸)では、便潜血検査に全大腸内視鏡検査(TCS)を組み入れた対策型検診への期待が高まっているものの、対象集団や検査間隔の設定、安全性の担保、検査施行医の要件、精度管理、PCCRC(内視鏡検査後発見大腸癌)の問題など課題が数多く残っている。下部パートでは、TCSを組み入れた大腸がん検診の実現に向けた議論を行いたい。対策型・任意型を問わず検診内視鏡を実施している施設、診療で上・下部スクリーニング内視鏡検査を積極的に行っている医療機関からの演題も広く募集する。
司会: |
後藤田 卓志 |
(公益財団法人がん研究会有明病院上部消化管内科) |
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松田 尚久 |
(東邦大学医療センター大森病院消化器内科) |
パネルディスカッション9
大腸T1b癌に対する低侵襲治療
大腸 T1b 癌の治療は、約10%のリンパ節転移のため外科的腸切除が標準治療とされている。しかし、言い換えれば大腸 T1b 癌患者の90%は不必要な手術を受けている可能性もある。更に、同じ手術でも下部直腸T1b癌とその他の部位のT1b癌とでは侵襲の程度が全く異なる。そのため、リンパ節転移低リスク因子の再検討、AI、Liquid Biopsyによる新たなリスク因子の検討が近年なされ、内視鏡的切除のみでの治療を増やす方向で議論が進められている。一方、内視鏡治療の技術進歩により、トラクションデバイスを用いたESD、Per-anal endoscopic myectomy (PAEM)、全層切除、LECSなど、T1b癌においても垂直断端陰性で切除できる方法が可能になりつつあるが、その治療戦略に関する十分なコンセンサスはない。本パネルディスカッションでは、大腸T1b癌に対する内視鏡的切除適応拡大の可能性、新しい低侵襲治療(PAEM、LECS、全層切除など)の演題を募集し、大腸 T1b 癌に対する新たな治療戦略について議論したい。
司会: |
池松 弘朗 |
(東京大学医科学研究所附属病院消化器内科) |
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岡 志郎 |
(広島大学病院消化器内科) |
パネルディスカッション10
胃癌診療における現状と課題
近年、抗PD-1抗体薬、抗Claudin抗体薬などの新規薬剤が開発されるなど胃癌化学療法の進歩はめざましく、切除不能・再発胃がんの治療成績が向上しただけでなく、切除可能にConversionすることも少なくない。また、周術期補助化学療法による手術成績の向上も期待される。本セッションでは、「治療戦略」をKey Wordとして、「バイオマーカーに基づく個別化医療」、「集学的治療」などについて、現状と今後の展開について議論したい。
司会: |
朴 成和 |
(東京大学医科学研究所附属病院腫瘍・総合内科) |
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野村 幸世 |
(東京大学医学部附属病院消化管外科) |
パネルディスカッション11
肝移植の現状と適応拡大
日本は生体肝移植を世界に先駆けて体系化し、目覚ましい進化を遂げて成熟期を迎えている。
一方、欧米ではここ10年ほどtransplant oncologyの概念のもと切除不能な肝・胆道がんに対する肝移植が大きく注目され、肝門部領域胆管がん、肝内胆管がん、大腸がん・神経内分泌腫瘍肝転移、肝類上皮血管内皮腫などへの適応拡大が進んでいる。肝細胞がんに対する移植適応のgold standardであるミラノ基準の拡大も継続して行われている。
またmachine perfusion(機械灌流)の臨床実装でextended criteria donor(高度な脂肪肝を認める場合や高齢ドナー、心停止後ドナーなどの適応拡大ドナー)から摘出された肝臓の機能改善による移植が可能となった。
さらにFontan関連肝疾患、門脈灌流異常症やオスラー病などの希少疾患への適応拡大も待たれる。
臓器移植はしばしば”victim of its own success”と称され、その発展と共に適応が拡大され恒常的な臓器不足に喘ぐ。2023年に初めて年間の脳死肝移植数が100件を超えた日本の肝移植の未来はどうあるべきか、さまざまな観点から「適応拡大」を議論していただきたい。
司会: |
江口 晋 |
(長崎大学病院移植・消化器外科) |
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日比 泰造 |
(熊本大学病院小児外科・移植外科) |
パネルディスカッション12
肝細胞癌病期のsubclassificationと集学的治療
近年の肝細胞癌の治療は、分子標的薬から免疫チェックポイント阻害剤などの薬物療法をはじめとする急激な進化に伴い、その選択肢や適応もめまぐるしく変化している。現状の治療指針として、本邦では肝癌診療ガイドライン、欧米ではBCLC staging systemに基づいたアルゴリズムが推奨されているが、BCLC intermediate stageではBolondi分類やKinki criteriaなどのsubclassificationも提唱されている。また最近では、oncological resectabilityに関するExpert Consensus Statementが発表され、新たな分類としてのBRが定義された。
本セッションでは、肝細胞癌病期のsubclassificationの新提案やそれらに基づいた各施設における集学的治療の方針について紹介していただきたい。
司会: |
島田 光生 |
(徳島大学病院消化器・移植外科学) |
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黒崎 雅之 |
(日本赤十字社武蔵野赤十字病院消化器科) |
パネルディスカッション13
自己免疫性肝胆膵疾患病態解明と診療戦略(除くPSC)
本PDでは自己免疫性肝胆膵疾患として、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、さらにIgG4関連疾患である自己免疫性膵炎(AIP)とIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の4疾患を取り上げる。いずれも病態は十分明らかになっておらず、分野横断的な基礎研究によって病態解明を進める必要がある。感度・特異度の高いバイオマーカーが存在しないため診断に苦慮することも多く、新規診断手法の開発も重要な課題である。治療についてはPBCではPPARアゴニストなど新規治療薬の開発が進んでいるものの、他の3疾患では依然としてステロイド薬が第一選択薬であり、アザチオプリンの使用が承認されているAIHも含め治療不耐例や不応例が存在することから、新規治療の開発が急務である。
当日は各施設の成績を発表していただきながら、これら4疾患の病態、診断、治療について幅広く議論したい。この分野に造詣の深い施設のみならず、初めての施設からの応募を心から歓迎する。
司会: |
大平 弘正 |
(公立大学法人福島県立医科大学附属病院消化器内科) |
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田中 篤 |
(帝京大学医学部附属病院内科学講座) |
パネルディスカッション14
胆道癌の診断・治療・診療連携
胆道癌には胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌が含まれる。CT、MRI、EUS、ERCPなどの画像診断の進歩にも関わらず、画像のみで診断できる症例は決して多くなく経乳頭的、EUS下生検などの病理診断が必要である。一方、ドレナージ、手術、化学療法など胆道癌治療は日進月歩である。特に、化学療法においては免疫チェックポイント阻害剤が使用可能になり、FGFR2融合遺伝子陽性症例に対するペミガチニブ、NTRK融合遺伝子陽性に対するエヌトレクチニブ、ラロトレクチニブも保険収載され、がん遺伝子パネル検査の普及によりそれ以外の治療も選択可能となった。また、診断・治療ともに高度な技術・経験が求められる症例が多く、ハイボリュームセンターと地域医療機関の連携が必要となる機会も多い。今回は、胆道癌の診断・治療・連携について近年の変遷や新たな試みとその成績を報告いただき、現状を把握するとともに今後目指すべき方向を模索したい。多数の応募を期待する。
司会: |
波多野 悦朗 |
(京都大学医学部附属病院肝胆膵・移植外科) |
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川嶋 啓揮 |
(名古屋大学医学部附属病院消化器内科) |
パネルディスカッション15
肝胆膵疾患診療におけるInterventional EUSの進歩
1992年にEUS-FNAが初めて報告されて以来、Interventional EUSは診断と治療の両面で大きく発展してきた。その進歩は肝胆膵診療を大きく変えたと言っても過言ではない。診断においては、 FNB-needleを用いることが主流となり、病理診断のみならず採取検体を用いた遺伝子解析も行われている。治療においては、被包化壊死や胆道のドレナージは、デバイスの進歩により安全かつ確実に実施できるようになった。また、抗腫瘍治療としての薬剤等の注入や焼灼術、静脈瘤等の血管病変に対するコイル留置や組織接着剤注入など、新しい技術が次々と開発され、大きな進歩を遂げている。本セッションでは、肝胆膵疾患に対する様々なinterventional EUSをご発表頂き、本分野の進歩およびそこに潜む課題を皆で共有しながら、次なる道を探りたいと考えている。なお、次代に向けた野心的な試みについての発表も歓迎する。
司会: |
入澤 篤志 |
(獨協医科大学病院内科学(消化器)講座) |
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糸井 隆夫 |
(東京医科大学病院消化器内科) |
ワークショップ
ワークショップ1
「飲」「食」と消化器疾患の新知見
医食同源や薬膳という言葉にあるように、食事が健康と密接に結びついている事は古来より明らかである。しかし、様々な栄養素からなる食生活と病態の解明・治療への応用はエビデンスとして確立するのが難しい領域でもある。近年、様々な解析法の進歩により、腸内細菌と消化器疾患の病態関連について明らかになってきている。食事の内容によって、どのように腸内細菌が影響を受けるのか、どういった疾患のリスクが変動するのか、病院受診者のみならず多くの人が興味を示す分野であろう。逆流性食道炎, 機能性ディスペプシア, 過敏性腸症候群, 炎症性腸疾患、慢性肝障害、慢性膵炎、胆石症などへの食事やアルコールを含む飲料が疾病に関わるリスク、腸内細菌叢やその代謝物への影響、食事療法による治療効果に関する最新の知見をお示しいただき、今後の消化器疾患研究における「飲」「食」の重要性を活発に議論したい。
司会: |
髙木 智久 |
(京都府立医科大学附属病院消化器内科) |
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森 英毅 |
(慶應義塾大学医学部内科学(消化器)) |
ワークショップ2
消化器癌に対する遺伝子パネル検査の現状と課題
消化器癌においても治療標的となるバイオマーカーを探索し最適な治療を提供するPrecision Oncologyの時代になりつつある。わが国においては、2019年6月に、がん遺伝子パネル検査(CGP)が保険適用となり、2024年5月現在で約76,000人の患者さんがCGPを受けているが、治療に繋がる割合は10%以下と限定的である。2024年5月現在で、保険適用のCGPは5つあるが、今後増えてくる可能性と、CGP以外のコンパニオン診断もあり、それらの使い分けを考える必要もある。また、CGPは、がんゲノム医療の指定医療機関でしか受けられず、均てん化の面では大きな課題が依然として存在する。今後は、治療後の遺残の早期検出であるMinimum Residual Disease (MRD)検査も、臨床導入される可能性もあり、CGPの利活用は、がん治療にとっての必須検査になると予想される。本WSでは、消化器癌に対するCGPの現状と将来像、そして課題解決に向けた幅広い内容を公募したい。
司会: |
加藤 直也 |
(千葉大学医学部附属病院消化器内科学) |
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武藤 学 |
(京都大学医学部附属病院腫瘍薬物治療学講座) |
ワークショップ3
消化器、肝胆膵疾患におけるバイオマーカーの探索
多くの消化器疾患領域において治療の進歩により予後改善が期待できる時代となった。いっぽうで効率的な薬剤選択、ハイリスク群の抽出、疾患活動性のモニタリングには適切なバイオマーカーの存在が不可欠であり、患者QOLの向上や医療費抑制の観点からもバイオマーカーの開発や有効利用は重要な課題である。本セッションでは消化器疾患の診断、予後予測、薬剤選択、疾患活動性モニタリングなどに有用なバイオマーカーについて領域を超えて議論したい。新たなバイオマーカー開発の試みや、既存のバイオマーカーの実践での新たな活用方法など幅広い演題を募集する。
司会: |
上野 義之 |
(山形大学医学部附属病院内科学第二講座) |
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久松 理一 |
(杏林大学医学部付属病院消化器内科学) |
ワークショップ4
ヘリコバクターピロリ診療のアップデートと全除菌時代に残された課題
わが国では無症候者を含むH. pylori 感染胃炎患者の全例除菌が保険診療で可能であり、ボノプラザンを用いたレジメンは除菌成功率が極めて高い。ただ、多剤耐性、薬物過敏症、併用薬との相互作用など除菌困難例も存在する。胃癌予防には小児・若年層の除菌が理想であるが、未成年者の感染診断と除菌治療の時期や感受性検査による個別化医療などコンセンサスが未だ十分ではない。感染率減少、除菌普及により多様化する背景粘膜に発生する胃癌を診断するには、内視鏡所見から未感染、現感染、既感染、Non-Helicobacter pylori Helicobacter species(NHPH)や自己免疫性胃炎などH. pylori 以外の原因を判別し、萎縮、腸上皮化生など胃癌リスク層別化を適切に行う必要がある。多くは除菌後例を除いた静止画によるが内視鏡・X線画像の人工知能による補助診断向上への期待や胃マイクロバイオーム解析などデータサイエンスにも注目が集まっている。本ワークショップでは残された課題を整理し近未来の胃癌撲滅に繫がるH. pylori診療のup-to-dateな議論を深めたい。
司会: |
村上 和成 |
(大分大学医学部附属病院消化器内科) |
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磯本 一 |
(鳥取大学医学部附属病院統合内科医学講座消化器腎臓内科学分野) |
ワークショップ5
炎症性腸疾患の非侵襲的病勢評価方法の進歩
近年、生物学的製剤や低分子化合物など炎症性腸疾患に対する内科治療が劇的に進歩したことに伴い、かつての治療目標であった症状の改善はあくまで短期的な目標とみなされ、内視鏡的寛解(粘膜治癒)といった長期的な目標を目指した治療戦略の実践が重要視されるようになった。実際、内視鏡的寛解は疾患予後改善と相関することから長期的治療目標として妥当であるが、侵襲性の面から内視鏡による頻回のモニタリングは困難であるため、侵襲が低く繰り返しが可能な病勢評価法の必要性が増している。その代表が血清(LRG・CRP)・糞便(カルプロテクチン)・尿(PGE-MUM)などのバイオマーカー、もしくは腸管エコーやMRIなどの低侵襲な画像検査であろう。本ワークショップでは、これらの低ないし非侵襲的な検査法に関する最新の研究成果を通して、各検査法の位置づけや使い分けなどを含めた最適なモニタリング戦略を議論頂きたい。
司会: |
江﨑 幹宏 |
(佐賀大学医学部附属病院消化器内科) |
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小林 拓 |
(北里大学北里研究所病院消化器内科) |
ワークショップ6
消化管疾患の病態理解を深める研究
消化管は口腔から直腸まで連続した器官であるが、一連の管腔は部位別に必要とされる機能から特有の臓器が連結している。そのため、各臓器の恒常性破綻による疾患が多岐にわたり、その病態も未だ明らかではなく解決すべき課題が非常に多い。消化管恒常性に関する機能制御機構や他臓器との連関機構を含め、腫瘍性疾患・炎症性疾患などの消化管病態に関する基礎的な研究成果を幅広く募集する。さらに、病態に切り込む臨床研究やトランスレーショナル研究も含めて募集する。基礎と臨床の双方からの研究成果を共有することで多角的なアプローチから消化管疾患病態の理解を深める機会としたい。
司会: |
永原 章仁 |
(順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科) |
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土屋 輝一郎 |
(筑波大学附属病院消化器内科) |
ワークショップ7
十二指腸腫瘍の臨床病理学的特徴と内視鏡治療
近年、十二指腸腫瘍に遭遇する機会が増えてきており、2021 年には十二指腸癌診療ガイドラインが刊行された。しかし、発見される腫瘍には癌以外の病変も数多く含まれており、その診断と治療には未だ多くの課題が残されている。また十二指腸上皮性腫瘍は、胃型と腸型に大別されその臨床病理学的特徴が大きく異なることが知られており、その特徴を考慮して診断し、適切に治療戦略を立てることが重要と考えられる。これまで十二指腸の内視鏡治療は、解剖学的特性や消化液の存在から極めて治療の難易度や偶発症のリスクが高いと考えられてきたが、様々な知見が蓄積され、状況に応じて治療手技を使い分けることにより、許容できる治療成績が報告される様になってきた。本セッションでは十二指腸腫瘍の臨床病理学的特徴に関する最新の知見や、それに応じた治療戦略と治療成績を示してもらい、十二指腸腫瘍の特性とそれに応じた内視鏡診療のあり方を議論したい。
司会: |
九嶋 亮治 |
(滋賀医科大学医学部附属病院病理学講座) |
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矢作 直久 |
(慶應義塾大学病院腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門) |
ワークショップ8
膵癌治療成績向上のための集学的治療戦略
膵癌に対する治療としては、外科切除、化学放射線療法、化学療法の大きく3つの治療戦略が挙げられる。実臨床においては、切除可能膵癌に対する術前補助療法+切除+術後補助化学療法、Borderline resectable膵癌に対する化学放射線療法/化学療法+切除+術後補助療法、局所進行膵癌や遠隔転移を有する膵癌に対する化学放射線療法/化学療法後のConversion surgeryなど様々な集学的治療が行われている。本セッションでは、外科と内科がコラボレーションして、膵癌患者に最善の治療を提供するためにどのような治療戦略を立てるべきか、日本での実臨床の治療成績や臨床試験の結果に基づき、膵癌治療成績の向上を目指してDiscussionする。
司会: |
海野 倫明 |
(東北大学病院外科病態学消化器外科学分野) |
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池田 公史 |
(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院肝胆膵内科) |
ワークショップ9
結腸・直腸癌における集学的治療
局所進行直腸癌に対する治療方針はupfront surgeryが中心であった本邦においても、化学放射線治療(CRT)等の術前治療が施行される機会が増加している。近年、欧米ではTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が標準治療となり、術前治療によって完全奏効が得られた患者には手術を行わないNon Operative Management(NOM)の概念も登場し、局所進行直腸癌治療は大きな転換点を迎えている。また、MSI-H大腸癌においては術前免疫治療による著明な抗腫瘍効果が示されてきているように、ゲノム情報に基づいたプレシジョンメディシンの開発も進んできている。本セッションにおいては、本邦における結腸・直腸癌における集学的治療のこれまでの成績や、実施中の臨床試験も含めた治療開発状況を含めて検討し、集学的治療の最前線について議論していただきたい。
司会: |
渡邉 純 |
(公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター) |
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坂東 英明 |
(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院消化管内科) |
ワークショップ10
肝線維化・肝発癌における基礎と臨床の融合
肝線維化・肝発癌の制御は、進行性肝疾患の予後を規定する。世界中で肝線維化進展および肝発癌抑制を目指した基礎研究と臨床応用が進んできているが、現時点で決定的なものはない。近年両分野の研究は目覚ましい発展を遂げており、シグナル伝達や細胞動態も明らかになりつつある。線維化や発癌に関わる細胞応答のみならず、肝微小環境や遺伝子・エピジェネティック・免疫・腸内細菌・老化・性差・肥満・アルコール・糖尿病を始めとした各種合併症などの複合因子が複雑に絡みあった結果として進展することが報告されている。さらに、肝線維化の変化や発癌・再発予測を正確に反映する非侵襲的診断法や新規マーカーの開発も求められている。今回のワークショップでは、基礎および臨床から幅広く演題を募集し、両分野の融合による活発な議論を通じて、日本から発信する肝線維化・肝発癌における病態の解明および新しい診断・治療法の可能性について討論したい。
司会: |
考藤 達哉 |
(国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院肝炎・免疫研究センター) |
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吉治 仁志 |
(奈良県立医科大学附属病院消化器・代謝内科) |
ワークショップ11
肝硬変・門脈圧亢進症 病態解析と診療の進歩
肝硬変は原因治療とともに、全身状態維持のための肝庇護療法と、肝硬変特有の門脈圧亢進症などの様々な合併症に対する対策が必要になる。成因としては、B型、C型肝炎よりもMASH、アルコールが増加し、それに応じた対応が求められている。また近年、様々な肝硬変に対する治療薬、治療法が創出され、その臨床実績の再評価を必要としている。また、それに伴い、肝硬変および門脈圧亢進症の病態の複雑さが明らかになるとともに、アンモニア代謝、サルコペニアに対する対策、低蛋白低栄養状態に対する栄養介入、運動療法のエビデンス作りなど新たな診療対応が求められるようになっている。
本セッションでは肝硬変および門脈圧亢進症についての病態解析につながる基礎的・臨床的エビデンス、ならびに診療の進歩についての実臨床の成績を発表いただき、情報を共有するとともに、複雑な病態に基づく診療の進歩と今後の在り方を含めて議論していきたい。
司会: |
名越 澄子 |
(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科) |
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日浅 陽一 |
(愛媛大学医学部附属病院第三内科) |
ワークショップ12
Elimination of viral hepatitis:啓発・創薬から臨床応用の新知見と諸問題
HBV持続感染症の長期治療目標としてFunctional cureが提案されてから 10 年以上が経過したが、核酸アナログやIFNなど既存の薬剤のみでは機能的治癒を達成することは困難で世界中でHBV RNA阻害剤や免疫増強薬など新規抗HBV薬の開発が進み臨床応用が期待されている。一方、DAA 療法によってHCVを排除できる時代になったが、SVR達成後の肝発癌、門脈圧亢進症、代謝異常に伴う肝外病変などの課題が残されており、適切なフォローアップシステムの構築、感染者の正確な囲い込みから治療、多職種の肝炎医療コーディネーターとの診療連携、ICTを用いた診療連携など各施設で様々な取り組みが行われている。本セッションでは、B型肝炎創薬から臨床応用の新知見、撲滅が視野に入ったC型肝炎の今後の診療のあり方について基礎・政策・臨床研究から様々な意見を集約し議論したい。
司会: |
榎本 信幸 |
(山梨大学医学部附属病院消化器内科) |
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田中 靖人 |
(熊本大学病院消化器内科) |
ワークショップ13
膵嚢胞疾患の診断と治療
近年、各種画像診断技術の進歩とともに膵嚢胞性病変に遭遇する機会が増加しているが、その質的診断ならびに治療方針に苦慮する場合がある。実地臨床では、膵嚢胞性病変が腫瘍か非腫瘍か、腫瘍の場合にはその良悪性の鑑別も要する。また腫瘍性、炎症性の場合には治療が必要か、経過観察とするのか正確な判断が求められる。さらに、治療法については外科治療のほかに、炎症性の場合には内視鏡的治療や経皮的治療も選択肢となる。精密な診断の下で悪性と判断された場合膵切除適応の基本であるが現状画像診断に頼ることもあり、またリンパ節郭清を伴う膵切除を行ったにもかかわらず前癌病変である場合も稀ではない。浸潤性膵嚢胞性腫瘍は膵管癌と比べ予後に差があるのか、その解決は何かがこれから問われる。吟味された知見をご発表頂き、膵嚢胞疾患の鑑別診断や経過観察法、治療とその後の管理について現行の課題克服に向け診療の進歩に繋がる結論へ導いてほしい。
司会: |
七島 篤志 |
(宮崎大学医学部附属病院肝胆膵外科学分野) |
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良沢 昭銘 |
(埼玉医科大学国際医療センター消化器内科) |
ワークショップ14
原発性硬化性胆管炎をめぐる諸問題
原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis; PSC)は難治性の肝胆疾患であり内科的に有効な治療法は存在しない。症例の多くは胆汁鬱滞から肝硬変に至り、症状改善を目的とした内視鏡的治療の有効性も報告されているが肝移植が唯一の根本的治療である。一方、移植後高率に再発を認めることも臨床上の大きな問題点である。炎症性腸疾患を高率に合併することを特徴とし、遺伝因子、免疫学的因子、環境因子など複合的な要因が病態の形成、進展に寄与すると考えられているが未だに不明な点が多い。近年、シングルセル解析、空間トランスクリプトーム解析をはじめとする解析技術の進歩により、これまで明らかにされていない病態の一面も明らかになりつつあり、治療面では、胆汁酸、免疫、線維化、腸内細菌などを標的とした臨床試験も進められている。本ワークショップにおいて、PSCの疫学、病態、診断、治療に関して多数の施設から最先端の情報を発表いただき、外科的、内科的視点から幅広い議論を行いたい。
司会: |
長谷川 潔 |
(東京大学医学部附属病院肝胆膵外科) |
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中本 伸宏 |
(慶應義塾大学医学部内科学(消化器)) |
ワークショップ15
良性胆道疾患診療の現状と今後
良性胆道疾患には、先天性疾患、機能性疾患、自己免疫性を含む炎症性疾患、結石、感染症、外傷や術後合併症などが挙げられよう。最近では免疫チェックポイント阻害剤による胆管炎に代表される新しい病態も加わり、そのスペクトラムは極めて多彩となっている。これらに対し、各種の画像モダリティーやEUS、ERCP、POCSなど内視鏡を用いた画像診断・組織診断が積極的に試みられているが、未だ悪性疾患との鑑別を含め正確な診断に苦慮することも多い。また薬物療法、内視鏡的インターベンション、外科的アプローチなど様々な治療オプションの中で、低侵襲かつ長期経過を見据えた選択に難渋するケースも多く経験する。本ワークショップでは、各種の良性胆道疾患の病態をどのように診断し、カテゴライズのうえ最適な治療法選択に導くか、各ご施設の最新の試みについてご発表いただきたい。既存のコンセプトに捉われない意欲的かつ積極的な演題応募を期待する。
司会: |
安田 一朗 |
(富山大学附属病院第三内科) |
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児玉 裕三 |
(神戸大学医学部附属病院消化器内科学分野) |
キャリア支援委員会特別企画
キャリア支援の現状、課題、継続について ~働き方改革1年が経過して~
医師の働き方改革が2024年から開始となった。厚生労働省の働き方改革検討委員会によると、その取り組みは医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組みやタスクシフティング、そして女性医師などの支援を骨子としている。昨年までは各施設における働き方改革への準備としての取り組み、医師がより充実した働き方を実現するための具体的な工夫として実践例に基づいた経験、取り組みをご紹介いただき、議論を重ねてきた。そこで、本セッションでは働き方改革開始1年後に直面している課題を明らかにし、医師全体の負担を軽減しつつ、医療の質を落とさず、男女問わずにそれぞれのキャリアの継続、支援、活躍、そして家庭運営が持続可能であるのかなど将来の展望について議論できる場としたい。
司会: |
梅村 武司 |
(信州大学医学部内科学第二教室(消化器内科)) |
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野村 幸世 |
(星薬科大学薬学部医療薬学研究室) |
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松村 真生子 |
(長野中央病院消化器内科) |
メディカルスタッフ特別企画
目に見えぬ医療(従事者)の環境問題をいかに整えるか
医療を取り巻く環境が複雑化し、働き方改革が実装化される昨今、メディカルクラーク、臨床工学士、超音波検査技師などへのタスクシフトにより医療の効率化が求められている。一方で、限られた人材リソースのなかで医療従事者の健康を守るための持続可能な環境整備は未だ十分とはいえない。欧米では放射線被ばく、飛沫感染、筋骨格系障害(Musculoskeletal Disorders:MSDs)は医療労働災害として認知されている。さらに、SDGsのコンセプトは、内視鏡領域でも欧州を中心に「Green Endoscopy」の新規概念が提唱され「持続可能な世界」の実現へ動いている。本セッションでは、目に見えず認識されにくい医療労働災害やSDGsにフォーカスし、医療従事者の健康を守る・持続可能な環境をつくるためのコンセプトを共有したい。自施設の取り組みや新規の提案を幅広く募集する。
司会: |
小原 英幹 |
(香川大学医学部 消化器・神経内科学) |
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竹中 完 |
(近畿大学医学部消化器内科) |